23.リリー、グランツさんの初仕事
23.リリー、グランツさんの初仕事
ハコブは、駅馬車乗り場に戻り、明日から車掌2名を雇った旨、
エリスさんに伝える。
「そうですか、リリーさんとグランツさんですか。
分かりました。グランツさんなら大丈夫でしょう。」
ハコブは心の中で、グランツさんだけですか、と突っ込む。
そのことを伝え、ハコブは宿に戻る。
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翌日、駅馬車乗り場に行くと、
すでにリリーさんとグランツさんと思われる人が来ていた。
リリーさんはいつものリリーさんだが、グランツさんは一見おとなしそうな、
30代くらいの男性だった。
「おはよう、ハコブ。」
「おはようございます。この度は指名依頼を出していただき、ありがとうございます。
私はグランツと申します。」
グランツさんは丁寧な対応だった。
グランツさんの話を聞くと、斥候歴15年らしい。
モンスターの出現を事前に探知する能力を持っているらしい。
ハコブは能力で準備した制帽と名札を2人に渡す。
「これは?」
「お客から見れば、従業員とお客、分かりにくいから、
この制帽と、名札を付けてほしい。」
とお願いをする。
制帽と名札は昨日の夜、ハコブが能力で準備をしていた。
ハコブは、もしワイバーンの様な、強いモンスターが現れた場合、
制服では、戦闘に影響が出ると思い、制帽と名札だけにした。
ちなみ制帽には、タイヤと街道をオマージュしたロゴと、フラン交通商会の文字が刺繍で縫われていた。
事務所から出てきたエリスさんにも、2人は挨拶をする。
アンヌさんにも、制帽と名札のことを伝え、良かったら、と渡す。
アンヌさんは、本日乗客は35人、荷物は木箱15箱との報告があり、
リリー、グランツさん、そしてハコブで、荷物の積み込みと追加椅子のセッティングをする。
アンヌさんから、荷物票とマリアンヌさんから借りた椅子の代金を受け取った。
アンヌさんが言うには、すでにある乗客の座席以上にお客のいることがあり、
クレメント交通商会から買い取りましょう、とのことだった。
しばらくして、出発時間になり、バスを乗り場の所まで回送させる。
リリーとグランツさんも、不慣れながら、乗客を案内する。
全員が椅子に座ったところでバスを発車させる。
「本日はフラン交通商会をご利用いただき、ありがとうございます。
それでは出発します。
走行時は揺れますので、立たない様、お願いいたします。」
とインカムで車内アナウンスする。
ハコブは門の所で、手を上げ見送るカイルさんを見ながら、
門を出ると、クレメント町への街道を快調に進んでいった。




