19.マリアンヌさんとの会話
19.マリアンヌさんとの会話
バスは4時間半で、クレメント町に到着することができた。
この町へは2回目だったので、
門番が覚えていてくれたので、
声をかけてくれる。
「以前の馬車が故障したので、しばらく、この新型馬車でこの町とフラン町の路線を運行します。」
と、門番に声をかけた。
門番は、
「わかった。」
と言い、すんなりと通してくれた。
エリスさんか書いてくれた地図をバスダイヤを確認するプレートに挟み、
地図を確認しながら、町の中を運転する。
5分ほどで、クレメント駅馬車乗り場に到着することができた。
この町の乗り場は、フラン町より大きく、転回場付きの乗り場が3つあった。
それと、馬車の整備倉庫が2つあり、大きな馬の納屋もある。
駅馬車が2台、転回場に停まっていた。
バスを転回場の端に停め、乗客を、切符を回収しながら下ろす。
何名かの乗客に、
「早くて快適で、安全だった。
ぜひ次も利用したい。ありがとう。」
「早く到着して驚いている。
安全に運んでくれて、ありがとう。」
等、感謝の言葉を言われた。
ハコブはそれがとてもうれしかった。
ハコブは、転回場の入口にある、
待合室の建物に入っていき、切符売り場のカウンターに、
「フラン町から来た御者だが、マリアンヌさんはいますか?」
と聞く。
「フラン…マリアンヌ? ああ、少しお待ちください。」
と言い、切符売り場の職員が、事務所に入っていく。
2,3分ほどして、切符売り場の職員が、1人の女性を連れて戻ってきた。
「彼女がマリアンヌです。」
「あなたは…。」
「ハコブと申します。
実は、マルクさんに協力を依頼され、私の所有する新型馬車で、
しばらく、クレメントからフランの便を運航行することになりました。」
「な、何か事故があったんですか?」
「実は、彼の馬車がゴブリンに襲われ、
彼の馬車が壊れ、彼と娘さんがけがをし、
当面私が御者をすることになったんです。
あっ、マルクさんと、クレアさんは無事で、命に別状はないですが、
怪我でしばらく御者をすることは控えた方が良いと思います。」
「そうですか。それは…。」
「あっ、そうだ、荷物を預かっています。」
「受け取ります。」
ハコブは、マリアンヌさんを連れて、バスの所まで行く。
「こ、これは、先日医療ギルドの前に停まっていた、なんてつるつるして、
カラフルな馬車…あれは、ガラスですか?」
「はい。」
「ちょっと中を見せてもらえますか?」
ハコブはバスの鍵を開けて、マリアンヌさんを中に迎え入れる。
「改めて中から見ると、大きな馬車、馬がいないのね。
どこに馬をつなげるの?」
「実は新型馬車と言いましたが、馬が必要ない馬車なんです。」
「えっ?」
「油でこの馬車、動いているんです。」
「興味がわきますね。
この丸い物は何ですか。」
「これはつり革と言って、立って乗るお客様が、走行時の揺れで、
転倒しないために、握る物です。」
「立って乗る???」
マリアンヌさんは驚いていた。
「はい、快適ではないし、疲れるので、短距離専用ですが。」
「そうなの。この紫色の小さい箱は?」
「これは、降りる人がココを押すと、運転手…御者に降りる意思が伝わり、
途中下車するために、停まる合図となるものです。」
「すごいわね、あっ、あれが荷物ですね。」
「そうです。」
「ちょっと待ってください。」
マリアンヌはバスを降り、
事務所から、2人、人を連れてきた。
「ベックさん、ボルドンさん、あそこの荷物を倉庫に運んでくださる?
フランからの荷物です。
あっ、ハコブさん、そこのクロヒョウ、肉屋で換金しましょうか?」
ハコブは少し考えた後、任せることにした。
「お願いします。」
ハコブは、エリスさんから受け取った、荷物票を渡す。
「ありがとう。」
ベックさんとボルドンさんは、荷物とクロヒョウを倉庫へ運び始めた。
「ええっと、フラン行の馬車の出発は朝8時で、
それまでに、切符や荷物輸送票の販売をするけれど…」
「この馬車は、座席は34席です。」
「改めて、たくさんの人を運べるのね。」
「でも、荷物も運ぶと、その分の座席が少なくなります。」
「ああ、先程の荷物の様にね。わかったわ。
馬車は、あの倉庫の脇に置いてちょうだい。」
「マリアンヌさん、これで終わりです。
あんちゃん、今度この変わった乗り物にゆっくりと乗せてくれ。
今は仕事だから戻らないといかん。」
とベックさんが言う。
「ああ、分かった。」
ハコブは返事をする。
ベックさんとボルドンさんは、荷物とクロヒョウを運び終え、戻っていった。
ハコブは、マリアンヌさんを乗せて、倉庫脇のスペースまで移動する。
「本当、馬がいなくても、馬車が動いているわ。」
マリアンヌさんは、運転席の脇で、つり革につかまりながら、
前方を楽しそうに見ていた。
「ここで良いですね。」
「はい、お疲れ様でした。」
2人はバスを降り、事務所の方に歩いて行った。
「今日、フラン町から4から5時間ほどで来たんです。
このバスだと、トラブルが無ければ、そのくらいの時間で来れます。」
「すると、フラン町まで往復できるということですね。」
「そうなりますね。」
「となると、フラン町までの便数と出発時間を変えないといけませんね。」
「そうですね。」
「毎日14時発と言うのはどうでしょう?」
「整備が必要なので、4日に1日は運休日とさせてください。」
「わかったわ。それと、車掌が必要ね。剣の腕の立つ者と魔法使い。
時々、Cランクでも倒せないモンスターが出るのよ、あの峠。」
「えっ、そうなんですか?」
「ワイバーン。」
「えっ、ワイバーンって、ドラゴン?」
ハコブはゲームで知っていたワイバーンをイメージした。
「まあ、ドラゴンと言えば、亜種のドラゴンね。空を飛ぶ。
あの馬車の車体と同じくらいの大きさかな。
炎を吐くわね。」
「そうなんですか。」
(そんなのが出てきたら、バスの体当たり攻撃も効かないじゃないか?)
とハコブは思う。
「早急に冒険者を車掌として雇う様にします。」
それから、ハコブは、マリアンヌさんと今後の打ち合わせをして、
紹介してくれた、この駅馬車乗り場のすぐ裏の宿屋で今晩は泊まることにした。




