1.ここはどこ?
1.ここはどこ?
小さいころから乗り物にあこがれていた中乗運は、
希望の1つだった地方のバス会社の運転手になり、その会社での運転歴が15年になろうとしていた。
ただ、最近は休みが少なく、自宅にあるバイクや車、ジム〇ーのメンテナンスができなく、
少し疲れていた。
今日も、中休勤務の後、夕方、郊外中心部の駅から、乗客のほとんどいない〇×峠バス停まで向かった後、
もう一往復し、最終便として郊外中心部の駅に向かい、その後、営業所に戻り、
改修した運賃の回収と清掃、点検を行ってから帰宅、という、いつものルーチンだった。
ハコブは、1回目の終点、〇×峠バス停まで運転した後、1時間の休憩後の折り返しに向けて、
バスを舗装がされていない、砂利を引いただけの峠のバス転回場の端に寄せた。
(少し今日は疲れて具合が悪いな。中休中、バスの修理を手伝わされて。
ウチ、整備士が十分いなくて、まわっていないもんな。
運転手もだな。
赤字で会社に、新たな人を取れる余裕もないし。
バスも、新車が入らないし。
いつまで続けられるかな、この仕事。
少し休もう。
最近、バイク、いじれていないな。)
ハコブは、MainSWをOFFにして、最後部座席で休むことにした。
ーーーーー
・・・しまった!
ハコブは慌てて起きた。
???
寝た時は夕方なのに、外は明るいな。
?なんか外の雰囲気がおかしいな。
ここは〇×峠転回場…だよな、
そうじゃない…。
ハコブは再後部座席から起き上がり、降車ドアから外の景色を確認する。
当たりの景色は、周りが森で、小さな短い草の広場があり、そこにハコブが運転していた、
路線バスが停まっている、という構図だった。
(あれ?転回場が砂利じゃない。)
ハコブは運転席に戻り、前方を確認する。
(この転回場?から県道△△号線につながる道は…
なんで県道△△号線、舗装されていないの?
草の広場からは、泥の道につながっていた。
ハコブはMainSWを入れ、計器を確認し、コンプレッサー等の動作を確認した後、
ブレーキを解除し、ゆっくりと草が生えている転回場の広場から出ていく。
道幅は県道△△号線より細く、舗装されていない。
泥の道だったが、轍の様なものがある。
ハコブは1速~2速でゆっくりとバスを走らせる。
(ここは〇×峠じゃない。でもなぜ?)
ハコブには、ここがどこか分からなかった。
道周辺の地形も、道のレイアウトも明らかに異なっていた。
もちろん〇×峠バス停もない。
バスを15㎞/h位で15分位ゆっくりと走らせると、下り傾斜が緩やかになり、
相変わらず泥道だが道幅が広くなってきた。
それから20分くらい運転していると、何か緑色の肌の人間の様な生き物が、
写真で見たことのある馬車を襲っている所が目に入ってきた。
(え?なにあの緑色の生き物は?子供?じゃないよな。
馬車、だよな?あれは。襲われている?)