18. バスで初運航
18. バスで初運行
翌日。
今日は、クレメント町までの馬車、もとい、バス路線の再運航開始の日で、
朝7時半にフラン町の駅馬車乗り場に向かった。
この世界、時間は1時から25時まであることと、10日だけの13月がある以外は、
地球とほぼ変わらなかった。
ハコブは1つ不満があった。
それは、4から5時間の運行なのに、路線バスタイプの車両で、
座席が長距離運行に向いていない。
(せめて、リクライニング等のリムジンタイプの車両で運行できれば…)
と思う。
最後に自分の衣服を点検する。
この世界に来た時、会社の制服を着ており、
結構汚れていたが、昨日、この世界の服を購入し、
その制服のワイシャツは宿からもらったお湯で洗った。
アイロンが無いので、熱湯を入れた鍋で、しわを伸ばす。
万全だ。
バスを宿屋の空地から、駅馬車乗り場まで回送する。
そして、バスを転回場の乗り場につける。
バスの出発は8時で、ちょうどその時間に、教会の鐘が鳴る。
あと1時間弱位、という訳だ。
(このデジタル腕時計、この世界では、1日25時間あって、毎日時間調整しなくてはならず、
使いづらいものな。)
ハコブは事務室に入っていくと、すでに20人程のお客が待合室で待っていた。
お客はまだ来るようで、エリスさんが発券作業で忙しく働いている。
ハコブはエリスさんに、
「新型馬車、準備できています。」
と一言いう。
エリスさんに言われたとおり、荷物の木の箱を12箱、後部座席周辺に積み込み、固定する。
やがて、教会の鐘が鳴る頃には、お客が28人集まっていた。
後部座席を荷物置き場に使っているので、実質座席は29席、何とか足りた。
乗客をちらっと見ると、冒険者風の人、町人風の人、貴族?風の人等、さまざまだった。
「新型馬車の乗車口はこちらです。」
制帽をかぶり、制服を着たハコブは、バスのドアを開け、乗客を案内する。
座席は自由席とした。
「本当に馬の必要のない馬車が走るのかの?」
その様なツッコミも聞こえたが、ハコブは運転席に座り、
外に出てきた、エリスさんに手を振り、発車させた。
バスは町中をゆっくりと走る。
乗客は窓の外の景色にくぎづけになっていた。
そして、門の所に到着すると、カイルが手を上げて立っていた。
エリスさんが事前に話していたのか、
バスをすんなりと通してくれた。
バスは町の外に出ると、ハコブはインカムで、
「馬車は速度を出しますので、立つのは控えてください。」
のアナウンスをする。
ハコブは、乗客が席に座ったのを確認して、時速60㎞/h程で走る。
しばらくすると坂道区間に差し掛かり、道もカーブする様になる。
バスは速度を落とし、時速40㎞/h程度で走る。
途中、ゴブリンや角ウサギなどが出没するが、そのまま、
跳ね飛ばし、これらモンスターを退治していく。
その様子を乗客は眺めていた。
「今までは、馬車が襲われることがしばしばあったが、
こうも簡単に、退治していくとは。」
「早いし、安全だし、快適ね。」
乗客の感想が聞こえる。
峠に差し掛かると、1匹の大きいクロヒョウが現れた。
ハコブは25㎞/h以上をキープし、クロヒョウにぶつかる。
どん、と大きな音がしたが、クロヒョウは車体の下に入る大きさではなかったため、
前面に挟まれ、バスがクロヒョウを押す形で、引きずられる。
フロントガラスにひびが入り、大きな鳴き声を出すが、
やがて倒すことができた。
バスを止め、前面を見てみると、大きなクロヒョウが引っ掛かっており、
マフラーがゆがんでいたが、
ハコブは能力で、フロントガラスのヒビとマフラーを直す。
そして、乗客の冒険者に助けてもらって、
クロヒョウを回収する。
その後、峠を下り、
時々出てくるゴブリンを倒しながら、
坂道が終わり、森林の内の直線街道となる。
一度、この街道は通っているので、分岐点でも迷わず、
クレメント町に到着した。




