17.この世界の駅馬車システム
17.この世界の駅馬車システム
フラン町とクレメント町を結ぶ便の再開前日、
ハコブはバスの整備を終えて、原付で駅馬車乗り場に向かった。
事務所に入ると、エリスさんが切符の予約票と荷物の依頼票の整理をしていた。
エリスさんにこの世界の乗車システムを聞くと、
まず、馬車の運行路線は、ここ、フラン町の駅馬車乗り場からクレメント町の駅馬車乗り場までで、
クレメント町の乗り場は、マルクさんのおばさんが経営している、クレメント交通商会とのこと。
帰りはクレメント交通商会が販売した切符を購入した乗客を乗せ、フラン町まで乗せて帰ってくるらしい。
「あの、もうすでに3日ほど、運休しているようですが。」
「天候などによって、2週間程運休することもあるのよ、その時は払い戻しね。」
「…。あのう、運行管理者等が怒りませんか?」
「運行管理者?」
「…、何でもありません。」
この世界に、運行管理者はいないらしい。
「それと、明日からこの新型馬車での運航行をしばらく続けること、おばさんと話して、段取りをした方が良くないですか?」
「そうね、叔母の名前は、マリアンヌと言うの。向こうで訪ねてみて。」
「あ、そうだ。運賃などはどうしているのですか?」
「一人、片道金貨3枚と銀貨5枚ね。クレメント交通商会の販売取り分は30%となっているから。
向こうで人数を確認して、運賃を回収してくる必要があるわ。
後は…、そうだ。クレメント町の駅馬車乗り場の地図だけれど、教えておかなければならないわね。」
ハコブは、手帳の1ページを破り、ボールペンと共に、エリスさんに渡した。
「何これ、こんなに白くてなめらかな紙があるの?それとこの透明な棒は何?」
ハコブはボールペンの使い方を教えた。
「これ、便利ね。」
「この世界…国に、この様な筆記用具は無いんですか?」
「無いわよ。ふつうはこの様な羽にインクをつけて書く道具と、羊皮紙が使われているもの。」
「ちょっと待ってください。」
ハコブは外に行き、能力で、この会社(ハコブが日本で務めていたバス会社)の手帳とボールペンを複製できないか、
試したところ、増やすことができた。
早速、手帳20冊とボールペン50本を複製し、事務室のエリスさんに渡した。
「え?もらえるの?高くない?」
「大丈夫です。」
そのあと、切符を見せてもらった。
羊皮紙で、羽ペンのインクで書かれた切符だった。
日付と行き先、客の名前、運行商会の名前、金額を書くらしい。
お客が下りるとき、回収するらしい。
エリスさんは、先程まで、この切符を手書きで準備していたらしい。
あとは、
「遅延や運休の証明書等ありますか?」
「え?…。」
「愚問でした。」
そのほか、この世界の駅馬車システムについて、
ハコブはいくつかエリスさんに質問をし、馬車の整備倉庫に隠しておいた原付で、
宿に戻った。




