15.ハコブ、冒険者ギルドのメンバーになる
15.ハコブ、冒険者ギルドのメンバーになる
ハコブとアンヌは、エリックさんの病室に入ると、
「ねえさん、いろいろと心配をかけるね。
君は、ハコブさんだね。」
そこには、腕を骨折するなど、複数怪我をしていた、エリックさんが寝ていた。
「馬車に急にゴブリンが飛び乗って、思わず近くの棒で追い払おうとしたが、
このザマでね。
私も若くはないね。」
骨折していた腕は、添え木を交換され、包帯でぐるぐる巻きにされていた。
「ゴブリンと戦われたんですか?」
「ああ、若い頃はC級冒険者だったからね。
ただ、あの長い棒を馬車の中で武器として使わざるを得なかったことは、敗因だね。」
「もう、歳なんだから、無理しないでちょうだい。」
「身に染みたよ。」
「でも、ありがとう。今回は助かったよ。」
エリックさんは、改めてこちらを向いて、お礼を言う。
「ハコブさん、すまないね、弟はお礼を言うのが慣れていなくて。」
「そんなことないですよ。」
この時、院長が部屋に入ってきた。
「ああ、ハコブさん。ちょっと話があるんだがいいか?」
ハコブは院長に言われ、部屋を出る。
そして近くの空いている病室に入る。
「ハコブさん、彼らに応急処置をしてくれたそうだが、
質問がある。あの包帯と、黄色い粉は何だ?」
「え?」
「応急処置をした包帯と薬に興味がある。
包帯は伸縮して、白い物だったが、よく考えられている。
患部は平面ではないからな。伸縮した物はどんな曲面の患部でもフィットする。
こんなもの、初めて見た。
それと、黄色い粉だ。
血液が出た所が、粉によって固まっている。
画期的だよ。これも初めて見た。
相談だが、私に黄色い粉の薬、くれないか?
参考にして、作ってみたい。」
ハコブは考え込んでしまった。
日本で作られた、救急セットの薬や包帯を、
この異世界の人々に渡して良いものなのか?
ハコブはこの時結論を出すことができず、回答を保留した。
ハコブは、治療院を出て、アンヌさんに教えてもらった、
冒険者ギルドの方向へ歩いて行った。
それは、昨日倒すことのできたクロヒョウが、まだバスにあり、
リリーを探す為だった。
バスの方へ行くと、リリーがバスの前にいた。
「よう。クロヒョウをギルドに持っていこうと思ったんだが、
鍵がかかっていてな。」
リリーに話を聞くと、倒したモンスターは冒険者ギルドで回収し、
硬貨に交換してくれるらしい。
「じゃあ、バス…新型馬車で行こうか、冒険者ギルドまで。」
「ああ。」
ハコブはバスの扉の鍵を開けると、車内に獣臭が漂っていた。
ハコブは窓を開け、換気する。
そして、バスを冒険者ギルドに向け、走らせた。
町中の通りは、人がそこそこいるが、
バスが通れないほどではない。野次馬も、ほとんどいなくなった。
5分ほどで、冒険者ギルドに到着した。
通りが広いので、バスを端に寄せて止める。
「ちょっと待っていてくれ。応援を呼んでくる。」
そう言うと、リリーはギルドの中に入っていってしまった。
ギルドはこの町には珍しい木造3階建ての建物で、
入り口は広く、冒険者と思われる者がたくさん出入りをしていた。
しばらくして、リリーがエプロンをした、
ギルド職員を連れ戻ってきた。
「これがうわさに聞く新型馬車ですね。」
「ああ、そうだ。この中にクロヒョウがある。」
リリーとしギルド職員は、クロヒョウを運び出していく。
分け前は、9:1で、ハコブが9だとリリーは言う。
ハコブは、いろいろと助けてもらったので、
7:3でと言い、リリーはしぶしぶ了解をした。
「ぶっちゃけ、全額もらってくれても構わないのだがな。」
とリリーは言う。
20分後、リリーに誘われギルドで精算を済ませる。
この時、すでに身分証をもらう確約を町長としていたが、
今後狩ったモンスターの精算も踏まえ、ギルドメンバーになることにした。
ただしランクは、一番下のGランク。
そして、金貨80枚を受け取り、リリーに24枚を渡す。
リリーはーこの後依頼があるということで、ここで別れ、
ハコブはバスを運転して、宿屋の駐車場に戻った。




