11.クレメント町の医療ギルド
11.クレメント町の医療ギルド
「新型馬車が通る、そこ、どいてくれ。」
「すみませんが、馬車が通りますので、こちらに避けてください。」
町に入ると、野次馬が寄ってきた。
リリーはバスを降りて、集まってくる人に道を開ける様、交通整理をしてくれる。
リリーと一緒に、エリスさんもバスを降り、道案内をしてくれる。
その後ろをゆっくりとハコブはバスを走らせる。
町に入ってから15分ほどで、医療ギルドに到着した。
医療ギルドは、2階建ての石造りの建物で、木製の看板に緑の十字マークが書かれている物が、
入り口の近くにかかっていたので、すぐにわかった。
(それにしても、十字のマークは、この世界でも医療関係のマークなのかな?)
とハコブは思った。
幸い、医療ギルドの前の通りは広く、そこに停めることにした。
(馬車が通る場合も考えて、寄せて止めよう。)
ハコブはバスを降り、ドアに鍵をかけると、リリーさん、エリスさんと一緒に医療ギルドに入っていった。
医療ギルドに入ると、正面に受付があり、
ハコブは、フラン町の医師からもらった手紙を受付の人に渡した。
「少しお待ちください。」
受付の人は慌てて奥に入っていき、数分後、
一人の女性を連れてきた。
「フラン町の医師の手紙を持ってきたのはどなたですか?」
「こちらの方です。」
その女性はカウンターから出てきて、ハコブの前に立ち、
「私は当ギルドのギルド長、サラと申します。
ミハイルがこのような手紙をよこすということは、緊急なのですね。」
「ミハイル?」
「ミハイルはフラン医療院の院長です。あの部屋で手紙を渡した男性が、ミハイル院長です。」
エリスさんが解説してくれる。
「手紙に書かれている薬はありますので、すぐに準備します。」
ハコブは、預かってきたお金をさらに渡す。
「では準備がありますので、失礼します。」
サラと、受付の人は奥に入っていった。
準備の間、リリーとエリス、そしてハコブは、
受付向かい側の長椅子で、座って待つことにした。
ハコブは1つ、エリスに質問をした。
「先程のギルド長、耳が、なんというか、少し長いというか…。」
「ああ、彼女はエルフ族ですよ。」
(さすが異世界、定番のエルフ族、初めて目の前で見た。)
その様な感想をハコブは持った。
「彼女、有名な薬の調合士ですよ。」
「そうなんですか?」
「彼女の薬で国王も、何度か命の危機を救われたとか、
その様な話があります。」
エリスはそのように話す。
20分ほどして、サラと先程の受付の担当が皮のカバンを持って、
戻ってきた。
「手紙の通り、ベニシリンとミドカイン、ガロナールです。
このかばんをミハイルに渡してください。」
「ありがとうございます。」
ハコブは皮のカバンを持ち、3人は外に停めてあるバスに戻る。
バスは大勢の野次馬で囲まれていた。
リリーとエリスは行きと同じように、野次馬の交通整理を行う。
ハコブは、薬の入ったカバンを、揺れない所に固定し、
2人の開けてくれた道をゆっくりと走る。
行きと同じく、15分ほどで、町の門の所まで到着し、
並んでいた馬車2台の後ろにバスをつける。
町を出るにあたり、門番にカバンを見せて、
フラン町の医療院に薬を大至急運送する旨説明すると、
あっさりと外に出る許可が得られた。
門の外で2人が乗り込み、
ハコブはできるだけ早く、フラン町に戻るため、
スピードを出した。




