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依頼File.2-1 動物園で行方不明になった子供の捜索①

ミエ「休日だからだろうけど人多いね〜」

 何でも屋の四人は動物園に来ていた。しかし、エスプルスィオーネとイルジオーネは背丈がいつもの3/5ほどになっている。

イル「なんで俺が・・・」

シエ「いや、忘れたのか?動物園で行方不明になる子どもが続出しているから、その捜索をしてくれって依頼だろ?」

イル「そうじゃなくて、なんで俺が幼児化しなきゃいけないんだよ!」

イルジオーネの文句の理由は、四日前、依頼人が帰った後に遡る。


イル「どうやって犯人を探し出すんだ?行方不明になったのは子どもだろ?」

シエ「だから、そこは心配しなくても良いと言っただろう?自分は科学者なんだから他人を幼児化するくらいできる」

シエンツァが呆れたように言う。

イル「幼児化?」

イルジオーネが聞き返す。

シエ「そうだ。まあ、自分の薬は体を幼児化させるだけだけどな」

シエンツァが説明を始める。シエンツァによると、その薬は身体を幼児と同程度の大きさ、質量にするものであり、飲んだ量によって効果時間が変わってくるらしい。

シエ「・・・てことで、精神の幼児化が不可能だからもともと精神が幼い人二人に薬を使いたいんだが・・・」

エス「私飲みますよ。一応最年少なので」

シエ「じゃあ、幼児化する二人は決まったな」


シエ「てことがあっただろ?」

イル「だから、なんで俺が最初から幼児化することが確定だったんだよ⁉」

シエ「当たり前だろ、実験台おまえが何でも屋の中で一番精神年齢が低いんだから」

イル「あ゙?」

イルジオーネとシエンツァはいつも通り喧嘩している。

ミエ「親にそんな口聞かない。お母さんも口調強いよ」

ミエティトーレはそんなことを言いながらも、周りに不審な人物がいないか目を配っている。

ミエ(一応カラスを飛ばしてはいるが、念のためだ。気は抜けない)

イル「親って・・・そんな、俺もお前も同年代だr・・・」

シエンツァがイルジオーネの口を塞ぐ。

シエ「お姉ちゃんは大人だね、さすが〜」

エス「はい、もちr・・・うん、お母さんとお父さんを困らせちゃいけないですから・・・じゃなくて、困らせちゃいけないからね」

エスプルスィオーネはいつもの敬語が抜けないようだ。

 3人が不審な人物がいないか警戒していると、突然イルジオーネの弾んだ声が聞こえる。

イル「あ、見てみろ!爬虫類館だって!入ってみようぜ!」

というと同時に、イルジオーネが走り出す。

エス「イルジオーネ待って、一人だと危ないよ!」

エスプルスィオーネがイルジオーネを追う。

ミエ「勝手に走っていくな!」

シエ「精神は子供にならないはずなんだが・・・」

シエンツァはぼやきながらミエティトーレと一緒に二人を追った。


〜*


 爬虫類館は人や半人で混雑していた。入口には巨大なドラゴンのレプリカが置いてある。

シエ「なになに・・・このドラゴンは他の多くの爬虫類と同じく寒暖差に弱くそれを・・・」

ミエ「そんな事やってる場合じゃないだろ!」

ミエティトーレがあたりを見回しても二人の姿は見つからない。

ミエ「はぁ・・・急いで二人を見つけ出そう。何か危険な目に遭う前に」

シエ「あぁ、同感だ。今は身体が傷つきやすい。早く見つけなければ」

二人は案外冷静だった。

シエ「・・・それにしても、どうやって見つける?実験台達あいつらがどこに行ったかの手がかりなんて皆無に等しいが」

シエンツァが危惧するような表情を浮かべる。

ミエ「まだ、二人を見失ってから時間はさほど経ってない。それにもし誰かに攫われていたら・・・」

シエ「何かしら残してくれてるだろうって?」

ミエ「まあ、そうだね」

ミエティトーレは何か痕跡が残っていないかと周りをじっくり見渡しながら言う。

シエ「実験台達あいつらならそうか。さっさと痕跡を探すぞ」

ミエ「じゃあ、二手に別れよう。なにか見つけたら・・・どうしようか・・・」

シエ「あ、そういえば・・・」

シエンツァが白衣の中からトランシーバーを取り出す。

シエ「半径10kmの範囲内なら問題なく繋がるんだが・・・」

ミエ「・・・なんで最初からこれを渡してくれないんだい?渡してくれたらもっと良い戦略を考えたんだが」

ミエティトーレがため息混じりに言う。

シエ「忘れてたんだよ。しかもこいつは脆くてね、すぐにショートを起こすから・・・」

ミエ「まあ、いい。じゃあ、探しに行こう。君は友好系爬虫類の方をいいかい?自分は魔物系爬虫類の方を探してくる」

シエ「ああ、分かった」

 ミエティトーレとシエンツァは同時に走り出した。人混みをかき分けながら、痕跡を探すため目を光らせる。しかし、何の痕跡も見当たらない。二人は焦り始める。

シエ(二人が怪我する前に早く見つけなければ・・・ん、あれは・・・)

シエンツァの目に止まったのはよくあるただのガラス越しの展示場。に、刺さった見覚えのある一枚のカード。

シエ(実験台あいつのだ・・・!)

シエンツァは白衣の中から例のトランシーバーを取り出すと、似合わない大声で叫ぶ。

シエ『こちらシエンツァ・ジュスト、実験台のものと思われるトランプを発見。場所は友好的爬虫類ゾーンの奥まった・・・』

ミエ『こっちの方か・・・いた!』

シエンツァが振り向くとミエティトーレが走ってくるのが見えた。

シエ「ミエティトーレ!随分と走るのが速いんだな」

ミエ「あっち側に何も痕跡がなかったからね、シエンツァと合流しようと思ってたんだけど」

シエ「トランシーバーがあるんだから報告ぐらいしてくれれば良かったのだが・・・」

ミエ「ごめん、それの存在を忘れていてね。・・・で、これがトランプか。確かにイルジオーネのものだ。そして・・・」

ミエティトーレがトランプが刺さっている壁を手でなぞる。

ミエ「この壁、十中八九偽物だろうな」

シエ「そうだな、ガラスに刺さっているくせに他の方向から透けて見えない。おそらく、壁か扉に偽装魔法を使ったってところだろう」

それを聞くと、ミエティトーレが鎌を取り出す。

ミエ「シエンツァ、下がっててくれ。この壁もどきをぶっ壊す」

シエ「やめておけ、魔力を使うだろ。自分の酸で十分だ」

そう言うと、シエンツァは白衣の中から液体の入った試験管を取り出し、それを力強く壁に投げつけた。すると、音を出しながらみるみるうちに壁が溶け、通路が出てきた。

ミエ「君の薬どうなってんの?」

シエ「いや、別に普通の薬だが・・・まあ、さっさと助けに行こう」

 二人はまた、同時に走り出した。通路の中はとても薄暗く、壁も道も舗装されていないため、通路と呼んでいいのかすらわからない。地面には所々にあのトランプが刺さっている。走っていくと奥からは鉄のような臭いがしている。

ミエ「この臭い・・・血か?」

暗い中、目を凝らしてよく見てみると至る所に血痕がある。最近のものと思われる紅に光る血から、完全に乾いてしまって黒く変色してしまっているものまで、様々だ。

シエ「実験台やエスプルスィオーネが怪我をしていないと良いが・・・」

ミエ「そうでなくても、早く見つけてあげないとな」

そんな会話をしていると、急に二人は足を止める。

 ・・・何かいる。地面と何かが擦れる音やカラカラと何か硬いもの同士がぶつかるような音の中に混じって、幼い子どもがすすり泣くような音も聞こえてくる。

ミエ「マズイかもな。奇襲攻撃を仕掛けたいが、暗くて敵の姿もうまく視認できない」

シエ「明るくすることはできるが、奇襲はできないぞ。それでもいいか?」

ミエ「あぁ」

シエ「分かった」

そう言うと、シエンツァは白衣から明るく光り輝く試験管を取り出し、足元に投げつけると、一気に光が闇を退けていく。

??「ギャッッッ!」

 明るくなったおかげで見えないものが見えるようになってきた。

 眼の前にいたのは美しい女の上半身に緑の蛇の下半身を持つ魔物だった。

お読みいただきありがとうございます。藍月夜です。次の話が戦闘メインの話になるので、退屈はしないかなと思います。ぜひ、お読みください。

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