69.海産物で晩餐(美女たちの水着回、その5)
海での海水浴を終え、茂木の別荘に戻ってきても僕たちは水着のままであり、軽くシャワーを浴びて、寒く感じる人は水着の上から、パーカーを羽織るなどをしていた。
かくいう僕も、肌の上から直接上着を羽織る。
「ははは。流石に夏でも、海に入ってからの、夕方、夜は寒いよな。」
原田先生はそう言って、僕の肩を叩きながら笑う。
茂木の別荘には家は勿論広いのだが、庭ももちろん広く、プールまで併設されている。
僕たちはそのプールに水を入れて、ナイトプールを楽しみつつ、庭でバーベキューをすることになった。
バーベキューは肉や野菜が定番、勿論そう言った食材も用意されているが。
ここは海。
海産物の食材の方が、肉や野菜よりも多く用意されていた。
さらに、寿司や刺身まである豪華ぶり。
「さあさあ、皆、食べようぜ。」
吉岡はそう言って、僕たちを鉄板の周りに案内させ、テーブルにお皿をそれぞれ置く。
「せーっの。」
「「「「いただきます!!」」」」
全員の声が揃って、鉄板で焼いたり、飲み物を飲んだりと各々食事を楽しむのだが。
女の子だけだからと思っていたが大間違い。
みんな全員、食べ物を取り合う。
「あっ、ごめん、輝君。大丈夫?足りなかったりする?」
葉月が声をかけてくれるが。
「あっ、うん、楽しく食べてる。」
僕はそう言って、自分の分が盛られているお皿に視線を向ける。
肉に、ホタテ、野菜に、イカ。
幸いにも、沢山鉄板に具材が焼かれていたようで。食べ物には困らない。
僕は慌てて他を見回すと・・・。
バレエスタジオの面々、藤代さん、原田先生、そして、吉岡先生のお皿が少ない。
「す、すみません、僕たちなんか、ガンガン取っちゃって。」
僕は、バレエ教室の面々に頭を下げる。
「ふふふ。橋本さんは優しいのですね。そして、さすがは、高校生の殿方と、元女子校の面々です。」
藤代さんは、そういって辺りを見回す。
なるほど、元女子校。そうは言っても男子の数は少なく、クラスに僕一人だけ。
そうなれば、こういう場面では男気は出てしまう。
「それに私も、皆さんがそうであることが分かれば、次からは、たくさん取っちゃいます。」
藤代さんは笑顔を見せた。
「良いんだよ。輝君。遠慮しないで。」
吉岡先生はそう言いながら、どんどんと鉄板に具材を投入して焼き上げていく。
「そうさぁ。少年。私たちには秘密のコレがあるんだよ!!だから食べ物なんか少なくていいのさ♪」
原田先生はそう言いながら、ビニール袋を持ってきて、テーブルにドンっと置く。
ビニール袋の中には、ビール、カクテル、そして、日本酒の瓶とありとあらゆるお酒が並ぶ。
当然だが、僕たちも考慮して、ジュースもある。
だが、明らかにお酒の割合とジュースの割合が、ほぼ同等。
年齢的にもお酒が飲める人間は原田と吉岡しか居ないので。ここにある飲み物の約半数は原田と吉岡のものだった。
「そういうことだ、少年。」
ドヤ顔で飲み物を指さし、肩をバシッと叩く原田。
「あたしとヨッシーはこっちがメインだ!!」
「そうそう、普段、生徒たちやバレエの体型で気を遣っている分、今日くらいしか楽しく飲めないからね。」
原田先生と吉岡先生はウィンクしながら僕に言った。
「さあ、皆、飲み物をジャンジャンついでくれ。当然だが、お酒は飲むなよ。」
原田先生はそう言って、ジュースの入ったボトルを指さし、僕たちは各々好きなものを紙コップについでいく。
「では、心を揃えて、君の瞳に~っ。」
原田先生は思い切ってノリノリで言う。
「カンパーイ」
「「「「カンパーイ!!」」」」
声に合わせて僕たちは乾杯をする。
海産物は本当に美味しく、さすがは海まで来たもんだ。
「あの、ありがとうございます。茂木先生にも、よろしくお伝えください。」
僕は改めて、原田先生にお礼を言う。
そして、ここの別荘の主である。茂木にもお礼を言わないといけない。
「いいって、いいって。少年。」
原田はそう言って、にこやかに笑う。
これまでにないほどの笑顔だ。
「そうだよ。輝君。僕たちは、ずっと前から、それこそ中学生のころからここに来ているんだよ。かれこれ、二十年くらい連続で。」
「そうそう♪ってヨッシー、しれっと二十年というワード使って、年齢バレたらどうするのさ?」
「あっ、ごめん。」
笑いながら楽しい会話をする原田先生と吉岡先生。
「まあ、何はともあれ、お前に来て欲しかった。茂木先生もそういっているよ。むしろ、毎年来て欲しいって茂木先生がね。そういうことだ。少年。」
原田先生は笑いながら親指を立てて、一気にビールを飲み干す。
「いやぁ。やっぱり、今日のご飯にはビールでしょ♪ガンガン酒持って来い!!」
原田先生はお酒を飲むたび笑い顔になる。
原田先生に勧められ、吉岡先生もお酒をガンガン飲む。
「みんなは、飲んではいけないよ。良いかな?」
吉岡先生も口元がほころび、ニヤニヤしながら言う。
「「「「はーい。」」」」
僕たちも一緒になって、二人の酔っ払いに呼応するかのように、酔っぱらっているフリをした。
一斉に手をまっすぐに挙げて返事をする僕たち。
そうして、各々のお皿に盛りつけられた食事を共にする。
「本当に、美味しい。来てよかった。」
僕がそう言うと。
「よかった、輝に喜んでもらえて。」
「はい。私も大勢でここに来るのは初めてで、すごく楽しいです。」
バレエ教室で、前にもここに来たことがある、加奈子と藤代さんが言う。
「輝、沢山食べて、まだまだ、余っているの、原田先生たち、気合を入れて、いつもより多く食材を買ってきちゃったから。」
加奈子はそう言って、炭火が入った鉄板に、まだまだ焼かれていない具材を乗せて残りの食材を焼き始める。
「ふふ、私もお手伝いしますね。といっても、先ほど皆さんがかなり食べる人なので、取り損ねてしまったので。」
藤代さんも、ニコニコと笑いながら、加奈子と一緒に、鉄板の焼き担当を実施する。
「ああ、ごめん。僕もやるよ。」
僕もそういって、鉄板に、食材を乗せていく。
「おーっ、すまなーい。しょうねーん。私たちは、きゅーけいで。」
原田先生は、酒を片手に近くの椅子に座り込む。
原田先生と吉岡先生はすでにお酒の缶をいくつも開けていた。
そうして、鉄板に盛り付けられた食材は、焼き上がり、皆次々と取っていく。
今度は藤代さんも無事に出遅れずに食材を食べれたようだ。
「美味しいです。やっぱり、毎年楽しみにしていてよかったです。」
藤代さんがニコニコ笑う。
こうしてみると、藤代さんは奥ゆかしさもある、大和撫子という感じだ。
「すごい。美味しいね、輝君。」
葉月がはしゃいだように言う。
「ありがとうね。食材焼いてくれて。」
史奈はニコニコ笑いながら、腕を僕の背中に回す。
「あーっ、会長ずるい。」
葉月が笑う。
その隣で、結花、加奈子、さらには早織もこちらを見て、恨めしそうな顔をする。
「今度は私が食材焼くね。手伝ってくれると嬉しい。」
早織がそう言って、僕の顔を見て、鉄板に向かう。
僕は頷き、鉄板に向かう。
「加奈子会長、醤油とか塩ってあったりしますか?」
早織の言葉に、加奈子は。
「冷蔵庫とかにあるかな?もしかしたら、そっちの袋の方に。」
加奈子は原田と吉岡の買い物袋を指さす。
確かにそこにはいくつか調味料があった。
「ありがとうございます。」
早織はそう言いながら、調味料を取り出し。
「ふふふ。こうして焼く前に味をつけると美味しくなったり。特に海のものは。」
そういいながら、短く下ごしらえというのだろうか、下味をつけていく早織。
そうして、焼きあがった食材は。
何だろうか。とても美味しい。
流石は定食屋の娘なのだろうか。下味もそうだが、焼き加減もうまく調整されている。
「おっ、すっげー、いい香りがしたから、とんできたぜー。」
「なになに?おいしくなったんだってー?」
原田先生と吉岡先生も、この味と匂いに反応してか酒を飲むのを辞めこちらに飛んできた。
こうして、食材を調整したりして、僕たちの晩餐が進んでいった。
夕食が進むと、だんだんと、併設されている庭のプールに水が入ってきた。
満杯の水というわけではないが、七割くらいたまったのを見て、水を止める。
プールの水を見て見ると、プールの手入れが、綺麗にされているようだ。
「まあ、ここら辺は、別荘地だし、管理して、掃除を委託してくれる人たちがいるみたいなんだよね。僕も、あまり知らないけど。」
吉岡先生が説明してくれる。
プールの水は七割くらいだが、それでも十分に泳げるし、水にも浸かれる。
「まあ、足がギリギリつくくらいがいいと思うよ。皆ご飯を食べた後だしね。」
原田先生はそう言いながら、水を止め、浮き輪を差し出す。
そして、庭の照明を全開にする原田先生。
「さあ、ナイトプールと行こうじゃないか。」
ナイトプール。夜のプールということか。
僕は少し頷く。
「あれ?少年、知らないのか?ナイトプールって・・・・。」
原田先生は僕に質問するが。
「はい。知らないです。」
「おお。そうか。東京の方だといろいろあって、人気なんだってな、デートとかに・・・。」
原田先生は笑いながら言った。
「まあ、それもそうだな。こういう環境はこっちに来てからだし・・・・・。」
原田先生はそう納得すると。
「まあ、東京の本格的なナイトプールじゃないが、少しでもその雰囲気を楽しんでくれー!!」
原田先生はお酒が入っているせいか、雰囲気をいつもより楽しんでいる。
勿論、いつもそういう感じの人物ではあるが。今日は特に楽しんでいた。
「それじゃあ、輝。楽しもう!!」
ここの別荘によく来ている加奈子がそう言って、プールの中に入る。
手招きをする加奈子。
僕は上着、着ていたパーカーを脱いで、プールに入る。
水が、冷たくて気持ちい。
ただ、食後であり、夜になって、気温が冷えてきているので、自重しないと。
「ごめんね、いつも以上に、原田先生、ああなっちゃって。」
加奈子は笑う。
僕はその加奈子の笑顔に頷く。
「気にしていないよ。むしろ、原田先生も楽しんでいるみたいでよかった。」
加奈子は再び飛び切りの笑顔だ。
「まあ、私は毎年見ているから。慣れているのだけど。輝がお酒に酔っぱらった人をあまり見ていないんじゃないかって。」
加奈子はそう言うと。
「いやいや。僕の伯父さんもお酒好きだよ。」
僕は頷きながら言う。
「よかった。それじゃ、楽しもう!!」
加奈子はそう言って、プールの真ん中へと僕誘う。
原田から差し出された浮き輪をもって、加奈子とともにプールの真ん中へ行く僕。
このプールは確かに東京にあるような、キラキラとした、何色にも輝くイルミネーションがあるわけではないが、無色透明の照明が、僕たちの影を照らす。
「よいしょっと。」
加奈子は、プールの真ん中にたどり着き、浮き輪に自分の身体を預けてプカプカと漂い始める。
「輝。すごく綺麗。」
加奈子は大人っぽく僕に近づいてくる。
何だろうか、クールな大人の女性だろうか。
「夜の景色とか、光とか、すごく綺麗。」
加奈子はニコニコと笑っている。
庭の光は僕たちを照らし出していた。
黒ビキニを着ている加奈子はとてもスタイルが良く、美しかった。
「こら~。加奈子、ずるいよ。いくら、ここに何度も来ているからって、輝君と一緒にどこまでも案内しようとするなんて。」
葉月が別の浮き輪をもってやってくる。
「あらあら~。私も混ぜてくれないかしら・・・・・。ねえ、加奈子ちゃん。」
葉月のあとからついてくる、史奈。
「よいしょっと。」
「ふーぅ。」
葉月と史奈も、加奈子と同じように、浮き輪に飛び乗る。
僕は自然と二人の胸元に目が行く。
二人の破壊力。
浮き輪と胸が密着していて・・・・。弾力があって・・・・・。
「ふふふ。やっぱり男の子。かわいい。」
僕の視線に気づく史奈。
「へへへ。会長を見習って、もうちょっと頑張っちゃおう。」
そういって、少し前のめりになる葉月。
胸の高鳴りが抑えられない。
「ねえちょっと、輝。どこ見てるのよ!!」
加奈子が浮き輪からぴょんと降りて、僕のもとに駆け寄る。
そして。
バシッ。
強く背中を叩かれる僕。
その衝撃で、プールに潜ってしまう。
慌てて、加奈子の腰に抱き着く僕。
「ご、ご、ごめん。ちょっとやり過ぎた。」
顔が真っ赤になる加奈子。
ハアハアと呼吸を整える僕だが。
庭の照明は加奈子を照らしていた。
加奈子の美しいシルエットが浮かぶ。
人魚姫に出会ったのだろうか。
加奈子の黒ビキニはまるで何かが輝いていた。
「あらあら、輝君は、加奈子ちゃんも見とれちゃっているのね。」
史奈が、ニコニコ笑う。
「よかったじゃない。加奈子ちゃん♪」
史奈が、加奈子に向かって言う。
顔が赤くなる加奈子。
「そ、そんなんじゃないから。」
加奈子は恥ずかしそうに顔を赤くしていた。
「何しているんですか?ほらハッシー。」
「おーっ、ひかるん、私も混ぜて。」
結花とマユが駆け寄ってくる。
心音に連れられて、風歌、そして、早織も一緒だ。
「水が気持ちいい。」
心音が楽しそうに言った。
「ここなら、橋本君に教えてもらった泳ぎ、出来そう。」
風歌はそう言って、今日習ったバタ足を披露する。
ここはプール。波もなく、穏やかだ。
「すごい、すごいです。風歌先輩。」
僕は風歌の泳ぎをニコニコしながら笑う。
「にへへっ。良かった。」
風歌は少し安心して、笑顔になる。
「良かったじゃない。風歌。」
心音はニコニコ笑う。
その後は、ナイトプールの真ん中で、僕たちは水をかけあいながら、遊んでいた。
「おーい。お前たち、食材もまだあるから、こっちも忘れるなよ~。」
原田先生は、酒を飲みながら、プールサイドから手を振っている。
酒が進んでいるのか、吉岡先生とともに食材を追加で焼いているようだった。
「「「「はーい。」」」」
原田先生の掛け声にみんな反応する。
こうして、食べたり泳いだりする、庭の晩餐会が過ぎていった。
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