66.泳ぐ練習(美女たちの水着回、その2)
「早速楽しんでいるな。少年。」
原田先生が声をかける。
この海水浴場の一番向こうの防波堤部分までたどり着き、海の向こうの、そのまた向こうを見て来て、砂浜に帰って来た、僕たちに声をかけたのであった。
「はい。ありがとうございます。」
「いいって、いいって、それよりどうだったか?防波堤の向こうは。」
「はい。とても広い海でした。」
僕は素直に感想を言う。
「うん。百点満点だな。世界は広い。お前が、リフレッシュして、癒されて、本当に良かったよ。」
原田先生はそう言いながら頷く。
一緒に防波堤の向こうを見た人達も、それに頷く。
「あ~。あ~。折角、頑張って、葉月ちゃんや、マユちゃんに手伝ってもらったのに、海に入って、目一杯泳いだから、もう一回やらなきゃかも。」
一緒に来た史奈が笑いながら僕の方向を見る。
「折角だから、輝君、手伝ってほしいなぁ。」
史奈は原田と話し終わった僕を手招きしながらこちらに来るように言う。
「どうしたんですか?」
僕は史奈に言うが。
「さっき、目一杯泳いだから、取れちゃったと思うの、これ、塗るの手伝って。」
史奈は僕に一つのボトルを手渡す。
そうして、史奈はビキニの上を外しながら寝そべる。
「背中に塗って欲しいな。」
史奈はそう言いながら、僕たちが先ほど準備した持ち場のシートの上に寝そべる。
ドキドキする僕。どうしようか・・・・。
「あっ。会長、ずるい。」
そのやり取りを見ていた葉月。
「ちょっと、何やっているんですか?」
顔を真っ赤にする加奈子。
「いいな、いいな。ハッシー後であたしにも。一緒に海入って目一杯泳いだし。」
そういいながら、史奈と同じように水着の上を外しながら寝そべる結花。
さらにドキドキする。僕。
「良いじゃない、減るもじゃないんだし。」
史奈は得意げにテヘペロ。という表情を作る。
結局、史奈、葉月、加奈子、結花の生徒会メンバー四人の背中にサンオイルを塗るのを手伝う僕。
漏れなく、全員ビキニの上の部分を外しながらシートの上に寝そべる。
おそらく、先ほど防波堤まで行く際に目一杯泳いで、最初の着替えの時に塗ったものが取れてしまったのだろう。
僕も、緊張しながらも、頼まれたことなので、震える手で、サンオイルを塗っていた。
マユはやはり、いつも日焼けをしているのか、そういうのは気にしないようだが。
「まあ、さすがに、少しは気にするかな。後で痛いし。」
そういうので、マユは座りながらではあるが、肩と首に同じようにサンオイルを塗るのを手伝う。
彼女は、競泳水着なので、水着の上を外しながら寝そべるという動作は出来ないようだが。
「あ~あ。ビキニにすればよかったかな。日焼け跡見えても、ひかるん守ってくれそう。」
マユはどこかため息をつくが。
「何言っているの、真由子はそれでいいじゃない。」
「そうね、マユちゃん、結構、野外での運動してて、色気たっぷりの素肌なんだから。」
加奈子、史奈が大きく頷く。
「え~。でもなぁ。」
マユは少し不満そうだった。
しかしそれでも、日焼け止めを塗り終わって、ご満悦だったよう。
「ありがとね。ひかるん。」
マユは得意げにウィンクする。
こうして、先ほど防波堤迄行った、全員の背中にサンオイルを塗り直す作業を終えた僕。
何だろうか、少しドキドキしてしまい。終始、周りに人がいないか入念に確認する僕が居た。
「ふふふ。ありがとう。」
マユ以外からも、そういう声が生徒会メンバー全員から聞こえて、ドキドキする光景が終わる。
僕も少し小休止かな。
そう思ったら。
ツンツン。と、肩をつつかれる。
「あ、あの・・・・・。」
横からの風歌の声。
少しおどおどしている。
「あ、あの・・・・・。」
「ほーら、風歌しっかり!!」
後ろの心音に肩を叩かれる風歌。
「あ、あの、橋本君。私に、泳ぎ方、教えてくだしゃい。」
深呼吸して、一息で言う、風歌。
「えっ。ぼ、僕でいいんですか?マユとかの方が・・・・・・。」
僕はマユの方を見るが。
確かにそう言うことなら、マユの方が泳ぐのは上手い。
「ふふふ、橋本君がいいのよね。」
心音はそう言って。僕の方にウィンクする。
「う、うん。」
風歌は小さく頷く。
「さ、さっき、皆向こうまで泳いで、うらやましくて。」
ああ、まあ、そうなるよな。
「ああ、ごめんなさい。そしたら、そうだね。やってみましょう。」
僕は風歌の方を向いて、頷く。
そして、風歌は今日いちばんの笑顔で頷く。
それを見た心音は、小さく親指を立てる。
そうして、僕と、心音と風歌は出来るだけあまり深くない場所へと移動した。
ここは海。浅すぎると波を受けるし、深すぎると、今度は風歌が溺れてしまう可能性がある。
水面が、胸から腰くらいまでの高さの場所まで移動する。
意外にも、そう言った場所を探すのはそんなに難しくなかった。
防波堤が波をブロックしているため、必要最低限の波しかここの砂浜には来なかったためだ。
「そしたらまずは、浮き輪をもって。」
僕は持ってきた浮き輪を手に持って、バタ足を披露する。
少しではあるが、前に進んでいく。
当然ではあるが、防波堤があるといっても、少し波はあるのでプールに居る時よりも、あまり前に進まないが、それでも、着実に前に進んでいく姿に。
「うぁ。すごいすごい。」
と、風歌が喜んでいた。
そうして、僕は何度か、僕の腰が水に沈むくらいの場所を行き来して、浮き輪を風歌に渡す。
「やってみましょうか。僕がゴールに立っていますので。」
と、ゴール付近に立とうとする僕。しかし。
「ああ、橋本君は傍で見ていて、私が立ってる。」
心音がそう言ったので、ゴールであろう場所に心音が立つことになった。
浮き輪をもって、バタ足を見よう見まねでする風歌。
やはりなかなか進まない。
「まあ、そうなるよね。腿から足を動かして。」
僕は風歌の膝から動いているバタ足を腿から動かすように、彼女の太ももに触れる。
「きゃ、きゃあ。」
一瞬、ドキッとする風歌。
「ああ。ごめん。すぐ立って。溺れちゃうから。」
僕は、風歌を支えて、すぐに立たせる。
腰くらいまで立てる場所に居たので、すぐに体制を立て直して、安心する。
「さっきはごめん。足を膝から動かすんじゃなくて、腰の、太ももから動かすんだ。まあ、最初は、慣れないだろうけど。」
僕は風歌の太ももの辺りを指さす。
「う、うん。」
もう一度、僕は補助をしながら、風歌の泳ぎを確認していく。
少しずつではあるが前に進んでいる風歌。
「すごい、前に進んでいるよ。」
僕はそう言ったので、風歌は少し笑顔になる。
そうして、大分遅いペースではあるが、心音の立つゴール地点まで、たどり着くことができた。
「すごい。やったぁぁ。」
心音は得意げになり、風歌と一緒に喜んでいる。
「やった、私、泳げた。」
風歌はとてもうれしそうに、だが、喜びをそのまま爆発させるのではなく、心の中でそれをとどめておくタイプだった。
出来たことに対して、小さく頷いて、そのまま、立ち止まる風歌。
「あ、あの、えっと、橋本君、ありがとう。」
風歌は笑顔になる。
「いやいや、風歌先輩が頑張ったからですよ。一日でここまで行けるなんてびっくりしました。」
僕は笑いながら言う。
風歌は照れるように笑う。
実際本当にそうだ。よく頑張ったほうだ。しかも一日といっても、ほんの数時間だろうか。
「こ、これで、皆と一緒に、あの、防波堤まで・・・・。」
風歌はドキドキしながら言った。
「それはまだまだよ。橋本君に迷惑かけるだけでしょ。風歌は。でも、よかったじゃない。」
心音は笑いながら風歌の肩を叩く。
「う、うん。ありがとう。橋本君、えっと、ひ、輝君。」
少し深呼吸をして、僕の名前を呼ぶ、風歌。
「ははは。本当に良かったです。風歌先輩。」
僕はそう言って、笑いながら風歌の泳ぎの練習を終えて、みんなのところに戻って行った。
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