65.海へ(美女たちの水着回、その1)
茂木の別荘に到着した、僕たち。原田先生は来て早々、ワクワクしながら。
「さて、皆で海行くよ!!」
原田先生は皆に向かってそう叫ぶ。
原田先生の指示のもと、水着に着替えるために、各々部屋に移動した。
僕は吉岡先生と一緒の部屋で水着に着替える。男性同士だから当然だろう。
因みに着替える場所は一階部分だ。
何だろうか、男性のバレエダンサーというのは、かなりいい体つきをしている。
「悪いね、輝君、一緒の部屋で着替えることになって。」
吉岡先生はすまなそうに言うが。
何だろうか、水着を着た吉岡は本当に男前である。
そして、彼の水着は競泳選手が着るようなタイプだから、余計にそう見える。
「いえいえ、気にしないでください。」
僕は、遠慮がちに言う。
「うん。なかなか似合ってるぞ。」
吉岡先生は僕の水着を見て感想を言うが。
「いえいえ、吉岡先生こそ。かっこいいと言いますか。」
吉岡先生は僕の言葉を聞いて、ポンポン僕の肩を叩く。
「ありがとう。でも、もっと褒めなきゃいけない相手がいるぞ。輝君。」
吉岡先生は笑いながら、廊下の方を指さす。
廊下には階段があり、上の階に続いて行く。
二階部分は女性たちが着替えとして使っていた。
吉岡先生が指さしたタイミングで、上の階から降りてくる原田を見た。
「おお、さすがは男性陣は着替えが速いな。」
黒ビキニで、白のパーカーを羽織る原田先生。
「まあな。相変わらず、すごく色気たっぷりで、かわいいぞ。ヒロ。」
吉岡先生は原田先生に向かって、素っ気ないが、原田先生が着ている黒ビキニが似合っていることを言う。
原田先生はにこにこと笑う。
「ははっ。良かった。さあ、少年。お前も、ヨッシーの真似をして見な。」
原田先生は手招きをする。
僕はドキッとした。再び美しい人に出会った。
原田と同じく黒ビキニを着ている加奈子。
だけど。重ね着のレイヤードタイプのもので。
上の部分もかなりギリギリだが。下の方の部分は隠し切れないというが、ほぼ全部見えてしまいそうなものだった。もしも、重ね着なしで、下の部分だけの水着だったらと思うと、何だかドキドキする。
着ている黒ビキニは、加奈子の美しい体のラインが強調される。
そして、彼女の髪には、バレエの練習の時の髪型のようではあるが、ヒマワリやハイビスカスの髪飾りが乗っていて。
だが当の加奈子は、内心ドキドキした顔をしている。
「ひ、輝。変じゃないかな。この水着、先生からもらったんだけど。」
「すごい、とても綺麗・・・・・・。」
僕は言葉が出なかった。やっと出てきた言葉だ。
この言葉を聞いて安心する加奈子。
「よかった。ありがとう。」
加奈子はホッとしている。
「ハハハ。結構楽しい時間だったよ。髪も久しぶりに結んであげてさ。」
原田先生は笑っている。
普段も輝いているが、今日は特段と大人の色気をまとった加奈子がここに居た。
そして、続々と着替えを終えた女子メンバーが階段を降りてくる。
「へえ。加奈子ちゃん、髪飾り、すごくいいね。」
「さすが生徒会長。ウチも負けたくないし~。」
葉月と結花が最初に降りてくる。
葉月は白地にピンクの花柄。
結花は海の色が強調された、青い水着。
どちらもビキニだ。二人に関してはそれだけでも十分すぎた。
二人とも、ビキニの間から、隠し切れないほどの、胸の谷間がのぞいている。
「見てみて、輝君笑ってる。」
「どうしたの~。ハッシーにやけちゃった。」
葉月と結花に迫られ、ドキドキするが。
そこは頷き。
「うん。とても、可愛いっ・・・・・。」
僕はそれしか、言葉が出て来ない。
「うん。良かった。」
「ヨッシャ―。」
葉月、結花も安心する。
「あ、あの、輝君。皆。お待たせ。」
次に上の階から出てきたのは早織。
上は白地に水玉、そして下は水玉模様が白で、水玉模様の色がベースになったフリルスカートだ。
「頑張っちゃった。輝君も、皆もいるし。」
早織も加奈子と同じですごくドキドキしている。
上の方も当然、葉月や結花と同じく、早織も胸の谷間がはっきりと目立っている。
「ありがとう。おしゃれだね。」
僕は早織の肩をポンポンと叩く。
「よかった。気に入ってもらえて。」
「ふふふ。楽しそうね。」
「ひかるん嬉しそう。」
その言葉と同時に、史奈とマユが上の階から降りてくるが。
二人の姿を見た瞬間、思わずどきっとなる。今日いちばん言葉が出ない。
黒と紫の間の色をした、大人の魅力たっぷりのビキニを着ている史奈。
覆っている面積も、小さく、水着の生地も少し光沢のあるようなタイプなのだろうか。
「か、会長、凄すぎ。」
これには加奈子も驚く。
「本当、一番背が低いのに。こういうところは大人びているよね。だから、身長が低いの目立たたないんだよね。いつも。」
葉月は加奈子とそんな話をしている。
「あらあら、聞こえているわよ。まあ、でも、一番年上なんだし。これくらいは大目に見てよ。ね。」史奈はそう言いながら笑う。
「ふふふ。輝君も顔を真っ赤にして、ドキドキしてる。」
史奈は僕の方を向いてにこにこと笑っている。
僕は頷く、あまりの色っぽさというか、そんなものに圧倒されて、言葉が出なかった。しかし、史奈が来ている水着の感想は、僕が言葉を言わなくても、わかるようだった。
「ふう。そして、マユちゃんが競泳水着でよかったわ。ビキニを着られてしまうと。・・・・。」
競泳水着を着たマユを見る。
日焼け跡がここからでも伺える。
皆もつられてこっちを見る。
「ハハハ。流石にそこまで冒険はしないかな。ひかるんや皆だけなら、冒険してもよかったんだけど。他の観光客とかもいるし・・・・・。」
マユは遠慮がちだ。
だが、競泳水着でも十分、スタイルが良くてセクシーだった。
「ほら、みんな待っているんだから、恥ずかしがらないの。」
「え?ちょっと。」
心音が風歌を連れて出てくる。
心音は白と青のチェック柄。そして。
風歌は、ピンク色ベースで白が縁どられており、二人とも、人魚姫が着るようなアクセサリーが付いているビキニだった。
「あの・・・・。橋本君。どうかな?」
風歌はとても恥ずかしそうだが。
「とてもかわいいですよ。ここら辺に付いているフリフリのアクセサリーとか。」
「ふう。良かった。」
風歌は少し安心する。
「ねっ。平気でしょ。」
と心音が言う。
そして、心音と風歌も十分すぎるほど胸の谷間が水着からのぞいていた。
「ふふふ。皆さん楽しそうですね。」
藤代さんが最後に出てくる。
彼女ももともとバレエをやっていてスタイルがいいのか。中学生とは思えない。
白色で、いろいろな光沢感のある刺繍が施されているビキニだった。
まさに中学生。本当にピュアな雰囲気だった。
「さて、そろったところで、海に行くぞ。」
原田先生はそう言って、別荘を出る。
僕たちは海、すぐ近くの海水浴場へと向かう。
僕と吉岡で、折り畳み式のテーブルを運び、砂浜に着いたところでそれを建て、ビーチパラソルをセットする。
他にも浮き輪や、膨らますマットなど、各々持ってきた荷物を砂浜に置いた。
そして。
「ヨッシャ、思いっきり遊ぶぞ!!」
「「「「おーっ!!」」」」
原田先生の掛け声に合わせて、僕たちは海に入る。
青い海。水が気持ちい。
バシャーッ。と水をかけられる。
「ほらほら、ひかるん、こっちだよ。」
マユがはしゃぐ。
「あっ。コラ!!」
僕はマユに仕返しをする。
それに呼応して、結花と葉月、さらには加奈子や史奈も加わっていく。
マユは泳ぐのも速い。
「鬼さんこっちだ~。」
マユはそう言いながら、どんどんと、遠くまで泳いでいく。
さすがは体育会系で、競泳水着を着ているだけのことはある。
僕とマユは、海水浴場の海の真ん中に設置されてある。防波堤部分へとたどり着いた。
防波堤を登り始めるマユ。
「はあ、はあ。ハッシー速すぎ。」
「ホント、ここまで来るとは思わなかったわ。」
結花と史奈は追いかけてきたが防波堤部分に上がったところで、息が切れそうだった。
「輝君、待ってよ~。」
「お~い。輝。」
葉月と加奈子の声。
葉月と加奈子はやはり一度浮き輪を取ってきたようで、浮き輪でバタ足をさせながら、一生懸命前に進んでいる。
それを見て、僕は二人を迎えに行く。
「ありがとう。輝君。」
「よかった、来てくれて。」
葉月と加奈子はそう言って、笑っている。
「はあ、はあ、浮き輪があって助かりました。流石に海で、休みなしでの二往復は。」
僕はそう言って、加奈子の方の浮き輪に捕まる。
「えっ。」
加奈子は顔を赤くするが。
「ちょっと、ちょっと、輝君、こっちに。捕まってよ~。」
葉月は僕の手を持ち、葉月の方の浮き輪に捕まらせる。
「ちょっと、葉月、いきなりやられると・・・・・。」
僕は一瞬、水を飲み、溺れて沈みそうになるところを葉月の身体を掴む。
すると。
「えっ。」
「きゃぁぁ。」
しまった、いきなり葉月の胸を掴んでしまった。
葉月もつられて、沈みそうになるが。浮き輪があったので何とかこらえる。
僕も葉月の浮き輪に捕まることができる。
おそらく、一部始終を見ていたのは、僕と葉月と加奈子くらいだろう。
一瞬のことなので、誰もわからなかったが。
「ひ、輝ぅ。」
加奈子は僕と葉月をうらやましそうに見る。
「ごめん。葉月。大丈夫?」
「うん。大丈夫だけど。ここは海。人も周りにいるから、えっと。二人しか居ない場所の方が良かったかも。まだまだ、ドキドキするし、今も、ドキドキする。」
葉月は浮き輪にしっかりとつかみながら恥ずかしそうな顔をする。
「ううっ、でも、今回は私にも、責任があったから、別にいいけど。」
「まあ、そうね。私たちもいきなりだったから。」
葉月と加奈子は、一方はどきどきして、一方は羨ましそうに見ていたが、今はお互い頷いて、事なきを得た。
僕は二人の浮き輪をもって、マユと史奈、そして結花が待つ防波堤へ。
加奈子は一瞬顔をしかめたが。
「輝、私の方も押して。押して♪」
そういって、加奈子の方を浮き輪を強く押して、加奈子の浮き輪を少し長い時間持ちながら、二人を防波堤まで連れて行った。
「おーっ。ひかるん、お疲れ。お勤めごくろう。」
マユはそう言いながら、防波堤に上るのを手伝ってくれる。
「本当。女の子には優しくする輝君ね。」
「あ~あ~。私も浮き輪持ってくればよかった。」
史奈、結花はそう言いながら、僕と葉月、加奈子を防波堤にあげるのを手伝う。
海水浴場で遊泳可能ゾーンはこの防波堤まで。
海水浴客もこの防波堤は簡単に上がれる仕組みになっている。
防波堤の向こうには見渡す限りの青い海が広がっていた。
「うわぁ。」
「すごい。」
「きれい。」
「素敵ね。」
「ひかるん、見えてる?」
生徒会メンバーと、幼馴染で見る防波堤の向こう。
「うん。とても綺麗。」
それはとても綺麗だった。見渡す限りの青い海。邪魔を物など何もない。
「外国につながっているんだよね。」
僕は思わず皆に聞く。
「そうだよ。」
「そうだね。」
皆声をそろえて言う。
「輝君もピアノで世界に羽ばたいたりして。」
葉月はそう言う。みんなも頷く。
「いやいや、世界に羽ばたくのは皆の誰かだったりして。」
僕が言った。
そして、僕は加奈子を見る。
加奈子のバレエも世界に羽ばたけそうだ。現に原田先生は海の向こうの、世界最高峰のバレエコンクールで表彰されている。
「もっと練習しなきゃだね。輝。お互いに。」
加奈子は僕の視線に気づきそう言った。
勿論、他の皆だって、その可能性は十分にあり得る。
防波堤の向こう、海の向こうのそのまた向こうを、この夏休み前までの一学期、本当に良くしてくれた、葉月、加奈子、史奈、結花の生徒会メンバーと、幼馴染のマユとで、ずっとずっと、僕たちは見つめていた。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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