36.新メニューを作る
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母屋のキッチンで、調理が始まる。
早織は、手際よく、野菜を切っていく。
葉月と加奈子は、早織のこの動きに、テンポよくついて行っている。
「私も、八木原さんに負けないようにしなきゃね。是非、輝君と、来てくれるお客様に食べてもらわないと。」
葉月はそう言いながら、早織を意識する。料理という腕前で早織に追いつきたいようだ。
僕にも食べてもらいたい。という葉月の言葉。少し胸がドキドキする。
「葉月先輩がいてくれて、助かります。すごく早くできそう。」
早織はそう言いながら、切った野菜を炒めていく。
加奈子は興味津々に二人の動きを見ては頷き、調理を手伝っている。
「これが、本物の料理人の手際の良さね。」
加奈子はそう言いながら、早織と葉月の作業を手伝っていた。
「加奈子も凄く速いね。」
葉月の言葉に。
「まあ、家は基本一人でいることが多いから。簡単なものを作って、自分で食べて。という感じかな。」
加奈子はそう言いながら、笑っている。
三人の動きについて行けない僕と結花。
「さすがに料理は苦手だなぁ。」
僕はそう言いながら、お皿を準備していく。
その準備を結花も手伝う。
早織、葉月、加奈子の三人はその後も手際よく調理し、切った野菜を鍋に入れ、煮込んでいく。隠し味に、リンゴやラズベリーソースなど、フルーツの果汁を入れていく。
「これで少し甘口にできるんだよね。辛いのが苦手な人も食べられるから。ただし、カレー粉は中辛の物を使うよ。そうすることで、辛いのが好きな人も親しみを持てる感じで。」
早織は笑っている。どんなのが出来上がるのか楽しみだろう。
隠し味に使用した、ラズベリーソースはまだまだ余っている。
「デザートで使うよ~。ここからは私も得意ね。」
葉月がウィンクしていった。
早織と葉月は、デザート作りに取り掛かる。
そして野菜もまだまだ余っている。農家の伯父の家だから当然だ。
「まだまだ、野菜も余っていて、もったいないから、こっちの野菜は私が料理するね。」
加奈子はそう言って、厚めの鍋を用意し、野菜を小麦粉にまぶして、油で揚げていく。
「天ぷらだね。」
僕は加奈子に言うと。
「そうだね。」
と得意げになる加奈子。
「あ~あ。加奈子も料理しちゃった。私も頑張るよ~。」
そういいながら葉月も、ラストスパートで、デザートを早織と一緒に作っていく。
メインディッシュよりも、デザートなど、お菓子作りの方が得意な葉月。そして、デザートに関してはすでに、お客様に出している料理を作っている早織。
ここからは二人の得意分野だ。
「お二人とも、手際がいいですね。」
早織も、自分の動きについて行った、葉月と加奈子を見て、自分も負けないようにと思ったのだろう。定食屋で働いている血が騒いでいる。
そうして、料理は完成していく。
鍋の蓋を開けた途端、カレーの匂いが一気に広がる。
「すごい。おいしそう。」
僕は素直な感想を言った。
「本当。ここに来てよかった。」
早織は満足そうだ。
「ねっ。ねっ。カレーをアイディアに出してよかったでしょ♪」
そう得意気に話すのは結花だった。
「そうですね。ありがとう。北條さん。」
早織は結花に頭を下げる。
だが、葉月と加奈子は、結花を少し睨んでいるようにも見えた。確かに、提案しただけで、料理が苦手て、僕と一緒に、テーブルの準備をして、あとはぼんやり見ていただけだった。
その様子を料理しながらでも見ていた、葉月と加奈子の心の内も頷けるが。
「ううん。八木原さんが、頑張ったからだよ。お疲れ様~。お店で出せるといいね。ごめんね。アタシ、料理苦手でなにもしなくてさぁ。」
その結花の言葉に、葉月と加奈子の表情は完全に緩んでいた。
「いいえ。きっと北條さんが居てくれなかったら‥‥‥‥。」
早織は少し涙目になるが。
「一緒に食べよう。きっと美味しいって。」
結花はそう言いながら、早織の肩をポンポンと叩く。
僕はそれぞれお皿に料理を盛り付ける。
メインは季節の野菜のカレーライス。そして、加奈子が揚げていた、天ぷら、さらには、まだまだ野菜が余っていたので、あり合わせで作ったサラダ。
そして、早織と葉月が作った、ラズベリーソースのアイスクリームとパンケーキが並ぶ。
あまり、統一されてない食卓だが、新メニューを考える食卓にとっては十分すぎるほど、豪華な料理が並んだ。
「「「「いただきます。」」」」
僕たちは料理を食べ始める。
僕の口の中で、ものすごく広がる味だ。
「すごくおいしい。」
僕は素直に感想を言う。
「本当?良かった。」
早織はそう言いながら笑っている。
どれも本当に美味しく、早織の店での新メニューに使えそうだった。
「全部試してみたいね。」
結花はそう言った。
「本当?良かった。デザートも試したい?八木原さん。」
そう聞いているのは葉月だ。
料理だけは、お菓子作りだけは誰にも負けない自信があるのだろうか。
「そうだね。デザートが一番使えそう。このラズベリーソースなんか、チョコレートソースの他に、ラズベリーソースのアイスクリームとかを出したりして。」
早織はそう言って、笑っている。
「ありがとうございます。葉月先輩。」
早織のお礼は葉月を満足させたものだった。
少し自信がついたのだろう。
料理は得意と思っていた、葉月の目の前に現れたのが、早織だったから。
「生徒会長が作った、天ぷらやサラダも、アレンジを加えれば使えそうです。天ぷら定職にするだとか、天丼のソースを作るとか、サラダのドレッシングを工夫するとかで。」
早織は笑いながら言っている。
「よかった。いつも一人で料理して、一人分のおかずを作るだけだったからね。」
加奈子は早織にそう言ってもらえて少し嬉しそうだった。
「橋本君。今日はありがとうね。‥‥‥‥‥‥。」
早織は僕に向かってお礼を言う。
「気にしなくていいよ。お互い様。」
僕は笑顔で返す。
「あのね‥‥。えっとね‥‥。」
早織は少し戸惑っている。
そして。
「あの、橋本君。またここに来ていい?畑の野菜、私のお店で使いたいの。」
早織は陰キャで眼鏡をかけていたが、その瞳の奥からものすごい熱意を感じた。
そして、この声も、本当に力があった。
「もちろん。」
僕はそう言った。
「もちろんだよ。お嬢ちゃん。たくさん持っていきなよ!!」
背後から、伯父の声がした。
「うまそうなもん作ってくれて、俺も感謝だよ。お店もやっているとのことなので、お金とかこまけえ話は、また後でな。まずは、お客さんが来るように頑張れよ!!」
伯父はそう言いながら、笑っていた。
「はい。ありがとうございます。」
早織は、今日の一日ですっかり自信がついたようだ。
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