22.新、生徒会
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そして、改定前から、もう一度読んでいただいている皆様。そして、他の作品からご覧いただいている皆様。
本当に長い間、そしてもう一度、こんな僕を応援していただき、ありがとうございます。
生徒会室へ入る。この日から新しい生徒会の始まりだ。
「おっ。輝君。優秀だね~。」
生徒会室に入るや否や葉月の声が響く。
とてもテンションが高い。
「掲示板見たよ。十位以内なんてすごいじゃない。」
加奈子先輩が笑う。
「だけど、加奈子は当然、今回のテストでも一位なんだけどね。」
葉月先輩が笑いながら言った。
そんな試験の結果を一喜一憂する会話をしていると、生徒会室の扉が開く。
「ふふふ。新生徒会の始まりね。みんなやる気があって嬉しいわ~。」
加奈子先輩が生徒会長となり、‘元’会長となった、瀬戸会長がお出ましだった。
「か、会長。何でここに。今の会長は加奈子ですよ~。」
葉月先輩が冗談交じりで言う。
「そんなことは分っているわよ。それとも、私が時々ここに来るのは不服なのかなぁ~。」
瀬戸会長。僕の中では当然会長だ。
「い、いえ。そんなことはないですよ。」
僕はとっさに言った。
「うん。橋本君。偉い!!」
瀬戸会長は僕の頭を撫でる。
「も、もちろん来ていいですよ。」
葉月先輩もそれに続く。
「は、はい。」
加奈子は短く返事をして頷く。
「そう。よかったわ。」
瀬戸会長は安心した顔でほっと溜息。
そうして、一呼吸した後。
「さあ、入って、入って。」
瀬戸会長は手招きをして、誰かを生徒会室に促している。
そこに居たのは二人の人物だ。
男女各一名。一人は僕のよく知っている人物だった。
「は、ハッシー。ハロー。その、興味がわいて。来ちゃった。」
同じクラスメイトの北條唯花は緊張しながら入ってきた。
いつもはクラスの一軍女子のポジションで、元気でギャルっぽい口調なのだが、さすがに元会長と、新会長、さらに理事長の娘の前では、緊張している感じが伝わってくる。
そして。
「こんちわーっす。僕は、今モーレツに感動しています。上司ぃ~!!」
ガタイが良く、明らかに運動をしていたような、ぼさぼさ頭の男子が立っている。
上司!?。
はて、ここは生徒会。上司と呼ばれる人はいないはずだが。
「何とぼけてんすか、上司!!」
その男子生徒は、僕のもとへとやってきて、確かに僕のことを上司と呼んだ。
「じ、上司って、僕のこと?」
僕はその男子生徒に、声をかける。
「そうっすよー。いや~。中学の成績が悪すぎて、どこにも行く当てがない、やっとのことで高校に入学できたこの俺様。しかし、入学したら、元女子校。男子は補充要因で、クラスにも男子は僕一人。最初はウハウハ気分だったのですが。次第に声をかけてもらえなくなり‥‥。そんな時に現れたのが、橋本さんです。推薦の演説。モーレツに感動しました。是非、同級生ではなく、上司と呼ばせてください!!」
ああ。そういう意味か。
だが、彼の言動を聞いて、僕の心は緊張している。
「そんな、僕はただ。頑張ろうと‥‥。」
僕は戸惑ったが‥‥。
「いいんじゃない。輝君。男子生徒の友達ができて。君も生徒会に入ってくれるんだよね?」
葉月先輩はその男子生徒に声をかける。
「はい。勿論です。上司と仕事ができて光栄です。あと~。内申点も美味しいと聞いてますんで~。きっと大学受験に役に立つと~。」
「はあ。一言余計だよ。」
葉月先輩はため息をつく。
「そうね。だけど、まず、君は普段から勉強しないと駄目かもね。でもいいんじゃない。人手が増えて助かるのだから。」
瀬戸会長は親指を高く上げる。
「まあ、そうですよね。」
葉月先輩は少しため息をつく。
「加奈子ちゃん、ううん。新会長さんはどう?それでいい。」
瀬戸会長は加奈子に聞く。
「えっと‥‥。はい。大丈夫です。人手が増えるなら‥‥。ありがたいです。」
加奈子はどうやら、この男子生徒は勿論のこと、結花のことも少し苦手のようだ。
真面目な加奈子にとって、見た目がギャルっぽい一軍女子と、ガタイのいい不良男子は流石に人見知りの対象になってしまう。
「決まりね。それじゃ二人とも自己紹介して。」
瀬戸会長の指示で、結花たちは自己紹介をする。
「一年B組の、【北條結花】です。」
「一年E組の、【磯部義信】っす。」
「じゃ、よろしくね。」
瀬戸会長は、そういって、改めて、結花と義信を生徒会室に促し、席へと座らせた。
そんなこんながあり、加奈子先輩と葉月先輩は一呼吸おいて。
「それじゃあ、いろいろありましたが、改めて。新生徒会を始めますか。加奈子。」
「はい。」
加奈子先輩は立ち上がり。
「生徒会長の、二年C組、井野加奈子です。お二人とも、来てくれて、ありがとうございます。」
「そして、副会長の、二年C組、花園葉月です。一年間よろしくお願いします!!」
僕たちはそろって頭を下げる。
「そして、役員として、加奈子と相談した結果、書記は輝君にお願いします。輝君は、北條さんは同じクラスだし、さっきのやり取りから知ってそうだけど、磯部君と会うのは初めてだよね?」
葉月先輩はそう言って、僕を促す。
僕は頷く。
「そうだよね。じゃあ、自己紹介しよっか。」
葉月先輩の指示で、僕は立ち上がり、自己紹介した。
「一年B組の橋本輝です。たったいま。書記になりました。」
僕は深々と頭を下げる。
パチパチパチパチ―。
今日いちばんの大きな拍手が生徒会室に響いた。
加奈子先輩、葉月先輩、結花、瀬戸会長、そして義信が大きな拍手をする。
「そして、まだ来たばっかりということなので、暫定的ではあるけれど、会計として、北條さんと、磯部君にお願いします。一か月くらいやってみて、大丈夫そうであれば、会計ということで、改めて正式にお願いするので、ちゃんと仕事をやってね。というとで良いかな。加奈子。」
葉月先輩はそう言いながら加奈子先輩に伝える。副会長ということで、加奈子先輩の短所をサポートしてくれている。
「うん。そうだね。よろしくお願いします。えっと、瀬戸会長は自己紹介しなくて良いのですか?」加奈子は瀬戸会長に促す。
「ふふふ。元会長で、三年E組の瀬戸史奈です。時々?来まーす。」
うん、時々‥‥。
つまり絶対に毎日来るパターンだな。これは。
僕と加奈子先輩と葉月先輩は顔をそれぞれ見回す。そして、笑顔でうなずく。
どうやら、共通見解で間違いないようだ。
「そういうことなら、会長は北條さんと磯部君のサポート。よろしくお願いします!!」
葉月は笑顔で言った。
その笑顔は裏があるわけでもなく、会長も来てくれるならとてもうれしいというような笑顔の表情だった。
だがしかし、声はどこか低めのトーンだ。
「うん。任されたー。」
会長は胸に手を当てて、てへぺろ~。という表情をしている。
瀬戸会長もとても嬉しいようだ。
こうして、新生徒会の初日が始まった。
僕は黙々と資料を作成し、結花と義信は瀬戸会長や葉月に教わりながらも、業務をきちんとこなしていた。




