190.美ら海という場所
いくつかのお土産を車に積み、再び、美ら海水族館の周辺を散策することになった僕たち。
この水族館の周辺は、色々と観光できる場所がかなり多い。
今日一日は、そこを回ってみようということだ。
早速、先ほど訪問した美ら海水族館の本館を抜け、海辺の方へ。
海辺の方には、いくつか建物があり。美ら海水族館の別館のような建物もあるようだ。その一つの建物の中に僕たちは入る。
「マナティー館、だって。輝君が勝ったぬいぐるみのモデルとなる生き物が居るところだね。」
葉月がニコニコ笑って言う。
「そうだね。」
僕が葉月の言葉に頷く。
「ハハハッ、そうだな。早速、マナティーを見てみるとするか。」
ニコニコと笑う原田先生に連れられて、僕たちはマナティー館の中へ。
水槽の中には、大きな体をしたマナティーが泳いでいる。
「すごい。のんびり屋さんで可愛い。」
水槽の中を見つめる風歌。彼女の言う通り、マナティーはのんびりと動いている。
「本当だね。風歌と同じで、どこか時間を忘れそうになる。」
心音も風歌の言葉に頷く。
「そうっすね。昔が懐かしいっすね。」
結花もニコニコと笑っていた。
「そうだね、結花。あの頃は、時間が無限にあったと錯覚してたね。」
心音は結花の言葉にうんうんと頷きながら、どこか懐かしそうに、のんびり、ゆったり泳ぐマナティーの姿を見つめていた。
「か、可愛い。のんびり屋さん。」
風歌と同じように、顔を少し赤くしながら水槽を見つめる加奈子。
「そうだね。のんびりしたい。僕も一年前くらいまでは、ある意味で、のんびりしてたかも。」
僕が加奈子、そして、風歌の言葉に頷く。
「そうだね。でも、今は、違うよね。」
加奈子は僕の方を真剣なまなざしで見る。
「そうだね。今は、皆のお陰で充実しているかな。」
僕がニコニコと笑って、そう応える。
「ありがとう。輝。あっ、でも、沖縄に居る間は、輝も楽しんでね。」
加奈子は少しドキドキしながら僕に向かってそう声をかける。
「ありがとう。加奈子もね。」
僕はそう言うと、加奈子は顔を赤くして、頷いていた。
「しっかし、マナティーはでかいですな、社長。」
義信がそう声をかけてくる。
「本当だね。さっき僕が買ったぬいぐるみよりも、かなり大きいね。」
僕がそう言うと。義信は親指を立てて笑う。
「まあ、ぬいぐるみっすからね。」
義信は豪快に笑って、僕の肩をポンポンと叩く。
「ハハハッ。そうだな。」
僕はうんうんと頷きながら笑っていた。
こうして、のんびり泳ぐマナティーを、僕たちは、のんびり、そして、じっくり観察し、次の建物に向かう。
次は、マナティー館にほど近い、ウミガメ館という場所。文字通り、ウミガメが飼育されている。
こちらものびのび、ゆったりとした雰囲気で泳ぐ、ウミガメたち。
「ウミガメさん達。こっちものんびりしているね。」
葉月がニコニコと笑って、ウミガメの水槽に近づいていく。
「そうだね。可愛い。」
加奈子もうんうんと頷きながら、笑っている。
「にへへ。カメさん。」
風歌もその水槽へと向かう。
心音、結花も風歌と一緒に、ウミガメの水槽の元へ。
「風歌と同じでのんびり屋さんだね。マナティーもウミガメも。」
心音は風歌の方を見る、結花も一緒に頷く。
「にへへっ、でも、音楽が好き、輝君への気持ちは、いちばん。」
風歌は僕の方を見て、笑う。
僕は照れながら頷く。
「あ。ありがとう。」
「あっ、それはこっちの台詞ですよ。」
結花が風歌の方を不満そうに見て言う。
「あっ、コラッ。」
心音も同じのようで、風歌の方を見て笑っている。
「ひ、輝。一緒に見よう。」
その台詞を聞いていた加奈子。一緒に僕の手を引っ張り、ウミガメの水槽の元へ。
「あらあら、私も一緒に良いかしら、減るもんじゃないんだし。」
史奈もニコニコと笑いながら、僕と加奈子と一緒にウミガメの水槽の元へと向かう。
「本当に、のんびり動くね。」
加奈子がウミガメを指さす。
「そうだね。」
僕がニコニコと笑う。
「竜宮城があるかな?ウミガメの背中に乗って。」
加奈子がうんうんと笑っている。
「ふふふっ、私がおとひめ様ね。」
史奈がニコニコと笑っている。
「ちょっと、会長。」
加奈子が顔を赤くするが。
「ふふふっ、冗談よ。」
史奈がうんうんと頷き、僕の肩をポンポンと叩く。僕はニコニコと笑って頷く。
そんな感じで、ウミガメを観察する僕たち。
のんびりだが、どこか、雄大さも感じながら泳いでいるウミガメたちを目に焼き付けて、次の建物へ。
次は待ちに待った、イルカたちが居る建物へ。イルカの飼育と、イルカショーが行われている場所のようだ。
「さあ。イルカは、居るかな?」
原田先生はノリノリで僕たちをイルカたちが居る建物に案内する。
「ハハハハハッ。」
僕が親指を立ててニコニコと笑う。
「おっ、リアクションありがとな。少年。他の皆は、寒そうな感じだな。特に、加奈子ちゃんと雅ちゃんはな。」
原田先生は皆を見回して言う。原田先生のノリを理解しているのだろうか。同じバレエ教室の面々、加奈子と雅はうんうんと頷くだけだった。
「まあ。俺は好きだけどな。」
吉岡先生が原田先生の肩をポンポンと叩きながらフォローしている。
「ハハハハッ。ありがとな。」
そんな、バレエ教室の二人の先生のリアクションを見ながら、イルカたちを見学する僕たち。
「か、可愛い。」
「うん、うん。すごく可愛い。」
加奈子と風歌がニコニコと笑って、水槽の中を愛くるしそうに泳ぐイルカたちを指さす。
「うんうん。楽しそうに泳ぐね。」
マユがニコニコ笑って、その光景を一緒に楽しむ。
「そうだね。ショーが楽しみだね。」
葉月はニコニコと笑って、イルカたちを見ながら、イルカショーが行われる座席に僕たちを案内する。
葉月につられながら、僕たちもイルカショーを見るため、順番に席に座る。
「やったー。輝君の隣、ゲット。」
葉月がニコニコと笑って、僕の隣に座る。
「私もゲット。やっぱり、楽しそうに泳ぐイルカたちを楽しく見ないとね。」
反対側の隣にはノリノリでマユが座った。
「「あっ。」」
思わず悔しそうな表情をする加奈子と風歌。
「あっ、でも仕方ないか。」
早織もうんうんと頷く。
他のメンバーも同じように頷き、皆で僕を囲むように座って、イルカショーを見ることになった。
イルカたちは大きくジャンプしたり、ボールを鼻や尻尾で巧みに操ったりして見せる。
「すごいね。」
葉月がニコニコ笑って、イルカたちを指さす。
「とっても、可愛い。」
加奈子がニコニコと笑ってイルカたちを見ている。
「はい。」
どこか、顔を赤くしながら見ている雅。イルカが可愛いというのと、自分も誰かの指示で、操られてみたいのだろうか。そんな表情をしながら、イルカショーを見ていた。
そうして、楽しいイルカショーは終了となる。
最後は、イルカたち皆でご挨拶をするのだが、ここで、イルカの鳴き声も披露される。
「ふふふっ、鳴き声もかわいい。」
「にへへっ、本当だ。こうやって鳴くんだ。イルカさんたち、またね。」
コーラス部の心音と風歌。イルカの鳴き声に興味津々のご様子。
僕たちは、風歌と同じように、挨拶をしているイルカたちに手を振り、イルカショーが行われた建物をあとにした。
これで、美ら海水族館の本館と、周辺の建物を一通り巡ったことになる。
そして、この周辺は海を見ながらの遊歩道が整備され、様々な沖縄の文化が見られる場所でもあるので、この後は、この周辺を散策することになった。
遊歩道に併設されている、植物園と、郷土村にも足を運びそれぞれ見学することに。
先ずは、植物園に入る僕たち。
「すごい。何だろう。南国の植物、よく見るけど、やっぱり沖縄で見るのは違う。すごく、大きくて綺麗。」
早織が周辺の木々を見ながら、その一つの木に近づきこうつぶやく。
「すごいね。僕もそう思う。」
早織の方へ僕も近づき、植物の木を見る。木の幹の太さ。そして、上を見上げて、葉っぱの隅々まで見る。圧倒されそうだ。
「はい。すごいですね。本当に、圧倒されそう。」
雅も目を丸くして、そう呟く。
「そうだよね。すごいよね。」
早織は僕と雅の方を見て、ニコニコと笑う。
そうして、一つ一つの沖縄の植物を目に焼き付け、南国の雰囲気をじっくりと堪能する僕たち。
今の時期は、イッぺーと呼ばれる黄色い花と、デイゴと呼ばれる赤い花が開花時期を迎えているという。そんな説明が掲示板に記されていた。
そうして、実際に、イッぺーという黄色い花に遭遇する僕たち。そして、すぐ近くにはデイゴの赤い花が咲いているのが見える。
どちらも木の上に咲いていて、それぞれ、黄色と赤の花々が、神々しく輝いていた。
「すごい。綺麗。」
加奈子がその鮮やかな色に思わず見とれている。
「はい。とても綺麗です。」
雅もその花々を見た瞬間に驚いていた。
「なるほど、これが、イッぺーで、あっちがデイゴですね。」
加奈子と雅が見とれていたイッぺーの木を見て、続いて、向こうに咲いているデイゴの木を指さす僕。
皆は僕の言葉に大きく頷いている。
「ふふふっ、輝君はどっちが好きかしら。私は赤い方が好きかな。」
史奈はニコニコと笑いながら、赤い、デイゴの花を指さす。
「えっと、選べないですね。どっちも奇麗です。」
僕がニコニコと笑って、そう答えた。
「黄色の方が良いよね。輝。」
加奈子が僕の目を見て言う。
「えっと、そうだな。確かに黄色い方が綺麗かな。」
僕がそう言うと、加奈子がこころの奥の方で、やったぁ、というような感じの表情を見せる。
「でも、実は、赤い方の花にも興味があるんだ。」
僕がそう言うと、どこか、心の奥の方で、残念そうな顔をする加奈子。
「あらあら、そうなの。そしたら、後で、赤い花の方にも行きましょう。」
史奈がうんうんと頷いていて笑っている。
そうして、そんな会話をしながら、イッぺーの黄色い花をじっくり観察した後、赤い花を咲かせている、デイゴの方へ。
「これが、デイゴの花。有名な歌の冒頭にもあるんだよな。だから興味があった。」
僕がそう呟く。
「おお。やはり知っていたか。少年。」
原田先生の言葉に僕は頷く。
「へへへっ、私も知ってるよ。」
「にへへっ、有名だね。合唱でも歌う。」
心音と風歌がうんうんと頷く。
そうして、成績優秀の加奈子、さらには葉月、雅もうんうんと頷き、デイゴの花をじっくり観察する。
デイゴの花。沖縄の県花でもある。
同時に、燃えるような赤い花が咲くので、生命力を意味するのだそう。
「ふふふっ。燃えるように、情熱的に花を咲かせているわね。」
史奈がうんうんと笑う。
「うんうん、そうだね。色々と頑張ろう。私も、ここら辺、走りたくなっちゃった。」
マユがニコニコ笑う。
「へへへッ。私も負けないぞ。」
結花がうんうんと大きく頷き、笑っている。
デイゴの花もじっくり観察し、どこかエネルギーをもらって、再び歩き出す僕たち。
そうして、順路通り進むと、海が見える展望台にたどり着く。この植物園には海が見える展望台もあるそうで、僕たちはその場所へ向かい、広大な水平線を目に焼き付けた。
「すごい。水平線がどこまでも。」
葉月がニコニコと笑って、大きく背伸びをする。
「流石沖縄ゎ。」
結花もニコニコと笑って、展望台の柵に両手を置き、身体を伸ばして、海を見る。
他のメンバーも広大な水平線を、目を丸くしてじっくり見ていた。
そうして、次に向かったのは、郷土村と呼ばれる施設、沖縄の民家が再現されているらしい。
赤瓦にシーサー、さらには、家々を囲む石垣と、どれも南国らしさが伝わってくる。
「すごい。色々、南国の知恵がある。」
成績優秀の加奈子、色々とじっくり民家の造りを観察する。
「本当だね。民家にもシーサーが置かれているね。」
葉月は置かれているシーサーの像を指さして、うんうんと頷き、笑っている。
「へへへっ。本当に、どこ行ってもシーサーだね。そこにも、あそこにも。」
マユは、走り回りながら、シーサーの像を数えていた。
「ふう、こういう場所で、スローライフしたい。」
風歌がニコニコと笑いながら、民家の隅々まで加奈子と一緒に観察している。
「あらあら、風歌ちゃん。それは私の台詞よ。一緒に、スローライフしてくれるわよね。輝君。」
史奈が僕の肩に手を乗せてウィンクする。
「ハハハッ。そうだね。そうなれたらいいね。」
僕がそう言うと。
「ああ。また、会長に台詞を取られた。でも、輝は、伯父さんの農家でスローライフかな。」
加奈子がニコニコと笑う。
「そうだね。美味しい野菜もいっぱいだね。」
その言葉を聞いていた早織もうんうんと頷き、笑っていた。
「そうだね。そっちの方が現実的かな。」
僕がそう言うと。
「あらあら、そうだったわね。」
「にへへっ、そうだね。あそこの農家も素敵だね。」
史奈、そして、風歌はうんうんと笑っていた。
そんな感じで、美ら海水族館の周辺の観光を一通り終えて、車に乗り込み、ホテルに戻ることに。
ホテルへと戻ると、夕食の時間まで少し時間があったので、僕たちは再び、ホテルに併設されているプールで、南国沖縄を満喫する。
全員、コインランドリーで洗濯して乾かした昨日と同じ水着を着て、プールを楽しむ僕たち。
水をかけあい、そして、今日見た海の生き物たちのように、のんびりと泳ぐ姿を真似しながら、僕たちはプールを楽しんだ。
その後は、夕食を食べ、入浴を済ます。
今日もあっという間に終わってしまう。名残惜しさはあるが、どこか充実した日々だった。
そうして、部屋でゆっくりしていると、部屋の扉がノックされる。
部屋の扉を開ける僕。
廊下には三人の美少女たちの姿。
「ふふふっ、輝君。元気そうね。準備は良いかしら?」
史奈がウィンクをして、僕の目を見る。
「にへへっ、輝君。来ちゃった。輝君、元気そうだし、楽しめそう。」
風歌が照れながらも、どこか心の中では、情熱的なそんな表情をしている。
「ひ、輝。」
加奈子がギュッと、僕の身体を抱きしめる。
「あらあら、加奈子ちゃん、独り占めはよくないわ。」
史奈がうんうんと頷く。
「うん。加奈子ちゃん、ずるい。私も。」
風歌がさらに僕の身体を抱きしめてくる。
同じようにして、史奈も、抱きしめてくる。
それぞれ三人の身体を抱きしめ、部屋の中に招き入れる僕。
そして。
皆と、激しく唇を重ねる。
「ね、ねえ、輝。えっと。」
加奈子がおもむろになって、ポケットから、袋を取り出す。袋の中身は、ゴム製の例のものだ。
「あらあら、私もよ。」
史奈もニヤニヤと笑って、同じ袋を取り出して僕に見せた。
「にへへっ、私も。」
風歌も一緒で、袋を見せる。
三人が持ってきた小袋はかなり大量にある。僕が所持しているのを合わせれば、かなりの寮になる。
「えっと、こんなに大量に、どうした?」
僕が恐る恐る、三人に聞いてみる。
「せ、先生から、内緒でもらった。いつもバレエ教室でお世話になっているから、って。」
加奈子が顔を赤くして応える。
「ふふふっ、私は、ここまで運転頑張ってくれたから、ボーナスとして。」
史奈がニヤニヤと笑う。
「わ、私は、そもそも、福引で当てて、招待してくれたお礼で、いっぱいもらった。」
風歌がそう応える。
「だからっ。」
「輝。」
「「輝君。」」
三人全員僕の目を見つめる。
「「「私たちと、いっぱい、ねっ。‥‥。」」」
コクっと、頷く僕がいた。
そこから何をしたのかは、言うまでもない。ゴム製の例のものが大量にあったため、いつもよりも長い時間を過ごしたのだった。




