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141.朝食ビュッフェ、和食編

 

 翌朝、ホテルで過ごす三日目の朝も少し早めに起床し、皆で厨房へ向かう。


 僕の体内時計も少し慣れたのだろうか。

 昨日と比べて、よりスムーズに、起床することができ、朝食の準備の時間帯に合わせることが出来ていた。


「おはよう。よく眠れたかな。」

 義治がニコニコ笑って、厨房の前で僕たちを出迎えてくれる。


「はいっ。」

 僕は大きく頷く。


「「「はいっ。」」」

 他のメンバーも概ね声を揃えて、返事をしていた。


「うんうん。少し、ここでの生活に慣れてきたようだね。」

 義治は大きく頷き、僕たちにエプロンと法被に着替えるように促す。


 早速、僕たちはエプロンを付け、早織は法被に着替える。

 比較的スムーズに着替えを澄ますのだが。

 それでも、加奈子と風歌はもう少しゆっくりしたいようで、少しもたもたしながら、着替えていると。


「集中するよ。加奈子。」

 葉月の言葉に、一気にギアを揚げる加奈子の姿。

 流石は生徒会長で、成績優秀者。すぐに目が覚めたようだ。


「ほら、風歌も、加奈子を見習って。」

 心音は風歌にそう指示を出すが。


「は~い。ふぁぁ~。」

 と、反応し、案の定、一番遅く、着替え終えたのだった。


 そうして、楽しく準備をし、厨房にいる義治の元へ。


 義治は皆がそろったことを確認して、大きく頷く。


 

「さてと、今日は、和食メインで作って行こう。早織ちゃんはきっと、初めてだろうから、まずは、僕が教えていくね。」

 義治がうんうんと、頷いた。


「はい。よろしくお願いします。」

 早織は、義治に頭を下げ、挨拶をする。


「「「よろしくお願いします!!」」」

 僕たちも、義治に向かって、頭を下げ、朝食づくりの作業を行うことになった。


「まずは、出来そうな、単純な作業から。」

 義治が指さす先に、鮭と鯖の切り身が大量に置かれていた。


「これを焼いていく、夕食は炭火で焼いていたけど、朝食はビュッフェ形式で、色々作らないとなので、グリルでね。グリルはこっちにあるから、鮭はレモンで、鯖は塩で、下味をつけて。」

 義治が、魚を焼くグリルを指さす。指さした方向には、業務用の大型のグリルが置かれていた。


 早織は、鮭、そして、鯖に、下味をつけていく。


「そうそう、全体に行き渡るようにして。」

 義治は大きく頷きながら、早織にアドバイスをしている。


 そうして、下味が出来た魚をグリルで焼いて行く。


「焼く前に、タイマー、忘れないで。」

 義治が、傍にあった、タイマーの設定の仕方を教える。


「昨日までは焼く時間とか、僕が指示していて、言い忘れてたけど、ここに、食材ごとに焼く時間のリストがあるから。」

 義治が、壁に貼ってあるリストを指さす。そこにはグリルやオーブンを使う料理のリストが記載されていた。


 そうして、タイマーを設定して、グリルで魚の切り身を焼いていく早織。


 あとは焼くのを待つだけということなので、次の作業へ。


「次は、そうだな。ちょっとついてきて。」

 僕たちは義治について行き、厨房の裏の通用口へ。


 その、通用口の扉を開けると、いくつか樽が置かれていた。


 その樽の蓋を開ける義治。樽の中には、大量の柴漬けが置かれていた。


「いくつか漬物を用意するよ。まずは柴漬けだね。」

 義治が、柴漬けについて、説明する。

 ここにあるのは漬け終わってお客様に出すものとして、完成しているが、漬ける前の状態も簡単に説明してくれた。


「ごめんね、実際にやって見せた方が早いんだけど、今回は、ここにあるものを使ってね。」

 義治がすまなそうに言ったが、僕たちは首を振る。当然だが、こういった厨房を見せてもらえるだけ、本当にありがたい。


「さあ。ここの漬物も盛り付けて行くよ。来てもらって、わかったけど、場所が遠いので、これを使って。」

 義治が台車を持ってきて、その台車の上に、大皿がいくつか乗っていた。僕たちは、その中の一つのお皿に、柴漬けを大量に盛り付けて行った。


 

 柴漬けが盛られたことを確認して、義治が次の樽を開ける。

 次の樽は、葉野菜を付けたものが入っていた。


「さてと、これは早織ちゃん以外の人に答えてもらおうかな?」

 義治は葉野菜の漬物を指さす。


「この野菜、わかる人は居る?」

 義治がニコニコ笑いながら僕たちに聞いてくる。


「えっと、高菜か青菜と呼ばれるものだと思います。」

 僕は義治に向けて、そう答える。


「おお、すごいじゃないか。橋本君。ここにあるのは、高菜で、隣の樽には、青菜のほうの漬物もあるから、それも盛り付けて行くよ。なんで、わかったかな?」

 義治が僕に聞くと。


「えっと、伯父の家に居候してて、農家なんです。伯母と一緒に漬物もやってて。」

 僕はそう答えると、義治の目の色が変わった。


「そうか。それはすごい。義信から一瞬聞いたのだけど、今のやり取りからするに、ものすごく大きな農家さんだね、きっと。」

 義治はうんうんと笑っていた。


「輝君の家、すごくいいよね。」

 史奈がニコニコ笑う。

「うん、とっても広い農家で、私も最初来たときはビックリしました。」

 葉月がニコニコ笑う。

「はい。あそこに行ったら、何でも忘れさせれくれそう、な感じがして、すごく好きです。」

 加奈子もうんうんと頷いていた。


 他のメンバーも同じように頷く。


「そうか。そうか。僕も一度行ってみたいな。食材の話が色々聞けるかもだし。」

 義治がうんうんと頷く。


「爺ちゃんナイス。社長の家、すごいっすよ。」

 一緒に居た義信も親指を立てる。


「そうか。そうか。その時は、義信からまた連絡するよ。」

 義治は僕に向かって笑っていた。

「はい。是非よろしくお願いします。」

 僕は義治にそう頭を下げたのだった。


 そうして、台車に乗せられた大皿に、一通りの漬物を盛り付け、漬物が置かれている樽の物置の部屋をあとにして、厨房に戻った。


「さてと、次はお味噌汁を準備しようかな。ここからは、他の従業員さんがやっているから、見に行こうか。」

 義治の言葉に僕たちは頷き、他の和食担当の従業員がやっているものを見せてもらうことに。


 先ずは、義治の言うように、お味噌汁から。

 担当している従業員に変わるように、義治が指示する。


 そうして、義治は備え付けられているお玉を使って、お味噌汁を見せる。


「まあ。みそ汁とはいっても、具材はお客様に入れていただく感じかな。ここにネギがあって、それを細かく刻んで。乾燥わかめとお麩があるから、それを大皿に準備してね。」

 義治が並べられた食材を指さす。


 僕たちは感心しながら頷く。確かに、この手のやり方は僕も見たことがあるのだが、細かく刻んだネギはどこか芸術さを感じる。


「すごい。ネギだけど、今まで細かく刻んだどのネギよりも細かく刻んでる。」

 目の色をキラキラさせて頷く葉月。


「本当、私出来ないかも。」

 加奈子も同じように同情する。


「本当ね。細かい所も芸が細かくて、流石料理人という感じだわ。」

 史奈がニコニコ笑っている。

 他のメンバーもネギを刻む包丁さばきをしっかりと見ている。


 そして、義治は使用する味噌も見せてくれた。赤味噌に近い、独特の香りと、うまみの匂いが漂い、食欲をそそりだした。


「さてと、次は、汁物を見せたので、同じ汁物関連で、別の作業場に行こう。その作業場で作る料理は、また別の日に教えるから、今日は簡単にね。実は、この料理は僕よりも義信の方が得意だったりする。昔は僕も作れたけど。今はな。」

 義治のこの言葉に、僕たちは一斉に義信を見る。


「えっ?料理作れたの?」

 僕は義信に言う。


「すごいじゃない、磯部君!!」

 史奈がニコニコ笑う。


「おおっ、ついに、料理長の孫が、映える時ですな。」

 結花がニコニコ笑いながら、義信の肩をポンポンと叩く。


「ま、まあ。正確には、一つの工程が得意ですが・・・・。それでもいいなら、簡単に。」


 そうして、僕たちは義治と、義信の案内のもと、メインの厨房とはまた別の厨房に案内してくれた。


 そこは、小さな部屋で、作業台が二つ設けられていた。

 一つは、広く取られているスペースで、もう一つは、作業台の上に、大きな平たい石が積み重なっているものが存在した。


 そして、その部屋には一人の従業員がいた。


「紹介するね。シフト関係なく、和食担当をずっとしてくれている、副料理長の【上川(かみかわ)】君。簡単に行っちゃえば、蕎麦職人。」

 そういって、義治は、このホテルの副料理長を紹介した。上川さんと呼ばれるその人は、確かに義信に似て、身体が大柄な人だった。


「こんにちは、皆のことは、料理長と義信から聞いてます。僕は、ずっとここのホテルで、お蕎麦を使う料理を作ってます。実は、ここのホテルは日帰り客用に、昼食も提供していて、そこで使う蕎麦もここで手打ちをしているんだよ。」

 上川さんはニコニコ笑いながら、僕たちに説明した。


「皆は、元旦まで、ここに泊るって聞いたから、詳しくは年越しそばを作るときに、説明するね。一応、今日は簡単に、説明すると、蕎麦の粉は、こういう豆粒の原料をしていて、それを、その石臼で細かくして、粉にしていくんだ。」

 上川さんは、この部屋のもう一つの作業台に置かれている、石の積み重なっている置物を指さした。その置物は石臼と言うらしい。

 確かに、石臼に取っ手がついている。


「で、この作業を粉挽きというんだけど、これが得意なのが義信君というわけ。ちょっとだけやって見せたら。」

 上川さんは義信を指名する。

 すると突然笑顔になる義信。


「おう。そりゃあ、仕方ねえっすね。まあ、爺ちゃんもこの作業はもう出来ないと言ってたんで、それで、俺が覚えた作業なんで、皆さんのためならやりましょう。」


 義信は、上川さんから蕎麦粉の原料である、小さな豆粒を受け取る。

 そうして、彼は、その原料を石臼の上にセットし、石臼の上部に空いている穴に入れていく。


「で、この取っ手を引いて、石の重みですりつぶして、粉ができます。」

 義信は取っ手を引く。ゴリゴリと音を立てて、石臼の間から、小さな粉が出てくる。


 僕たちは目を丸くして、義信を見る。

「すごい。」

 僕は義信に言う。


「本当、すごいわね。」

 史奈も目を丸くしながら言った。

 心音と結花は思わず携帯に動画を収めていく。


「そんなにすごくないっすよ。俺は料理はこの作業と魚を仰ぐことしかできないっすから。それなら、皆さんもやってみますか?作業、覚えましたでしょ?」


 義信の言葉に頷き、実際にやってみる僕たち。

 そして、実際にやってみたら、全てを悟った。


 そう。義治がこれはもう出来ないといった意味がよくわかった。そして、この作業は明らかに、おそらく、このホテルのどの作業と比べても断トツに義信向きだった。


 石臼の取っ手が物凄く重い。一回転しただけで、腕が疲れそうだ。


 義治は義信の祖父である。祖父ということもあり、それなりの年齢だ。昔は出来たかもしれないが、だんだんと力が衰えている状態だと、この作業は明らかに、疲労が蓄積されるだろう。上川さんに任せて正解である。


 僕ですらそういう状態である。ということは、他のメンバー、つまり女性陣は・・・・。


「本当だ。これは確かに、磯部君向きだね。」

 葉月がうんうんと、頷く。

「本当、これ、ビクともしない。」

 加奈子が頷く。


「これは流石に、出来ないかも・・・・・。」

 早織は申し訳なさそうに言う。

「大丈夫。大丈夫。この作業は、上川さんや、義信に任せていい。早織ちゃんは、沢山、良いものを持ってるから。」

 義治がフォローする。


「うん。早織ちゃん、大丈夫。これは、私は無理。絶対。」

 風歌はさらに遠慮がちになる。


 そして、ここからは女性陣の中でも、比較的力がある方が参戦するが。

 元ヤンキーの心音と結花も、石臼の取っ手はビクともしなかった。


 そして、運動部出身の史奈とマユ。

「はあ、はあ。これは、さおりんには無理かも。私だって、やっと、数センチ動いた感じだし。」

 マユは悪戦苦闘しながらも、数センチ動かすのがやっとで。


「これは、流石にね。うん。磯部君向きよね。」

 史奈はここに来て、運動部ではあるが、バレーボールの時と同じく、身長の低さが露呈してしまったのか、力が入りづらそうにしており、マユと同じく、やっと数センチ動いたという感じだった。


「はははっ、ちょっとだけでも体験してくれて良かったよ。また、大晦日の時に教えていくね。」

 上川さんはニコニコ笑って、親指を立てて僕たちを見送ってくれた。


 僕たちは上川さんにお礼を言って、蕎麦作りの作業部屋を出る。


 その後にも、義治は他の料理の作業を見せてくれた。

 鳥の照り焼きを焼いて、等分していく作業、サトイモといんげんの煮物の作り方。きんぴらごぼうの作り方。


 そして。

「さてと、時間も無くなって来たし、ここからは君達にも手伝ってもらおうかな。ここで作っているものではなくて、この温泉にあるお豆腐屋さんから仕入れてきたもので申し訳ないんだけど。」

 義治は、そのお豆腐屋さんから仕入れてきた食材を出す。


 豆腐は勿論、湯葉、そして、大量の卵があった。


「温泉を使って、色々なものを作っているよ。みんな見たことあるかな。もしかしたら、湯葉は初めてかな?簡単に行っちゃえば、豆腐を作るときにできる、膜のようなものなんだけど。」

 義治は僕たちにそう説明する。僕たちは頷く。


「そして、卵は想像つくかな。この場所に居て、卵というと。」

 義治は卵を一つ割る。

 そう、出てきたのは温泉たまごだった。


「すまないが、橋本君と、生徒会長さん二人と、陸上部の子、そして、橋本君と一緒にピアノ伴奏している、コーラス部の子で、ここにある大量のお皿に、冷奴の豆腐と、湯葉、そして、温泉たまごを割って、盛り付けてくれないかな?」

 僕、そして、史奈と加奈子、さらにはマユと風歌と今呼ばれたメンバーは一斉に頷く。


「さてと、名前を呼ばれていないメンバーと早織ちゃんは、その間に、この豆腐を使って、湯豆腐の作り方と、揚げ出し豆腐の作り方、教えていくね。それじゃあ、よろしくね。」


 義治の言葉に、僕は頷き。

 僕はひたすら大量の卵を割り続け、小分けにされたお皿に、温泉たまごを盛り付けて行った。


 湯葉の盛り付けは比較的難しいので、加奈子と史奈がやってくれた。

 風歌とマユ、豆腐を盛り付け、冷奴として、小分けのお皿に盛り付けて行った。


 その作業が完了するころ、早織が義治の教えを終えて戻って来た。

 時々、僕も、早織の表情を見ていたが、真剣に話を聞いているようだった。


 戻って来た早織の表情を見ても、どこか実りあることを学んだようで、嬉しく思う。


「よし。こっちも良い感じだな。ありがとうね。朝食は少し、準備が忙しいわりに、大量に用意しなくちゃいけないからね。」

 義治はニコニコ笑った。


 そうして、義治は全員の顔を見回す。


「さて、最後にやるのは、鮮度が落ちやすい食材を皆で準備することだ。朝食はいくらの醤油漬けと、小さく切ったカツオのたたきを準備するよ。いくらはそのま盛り付ければいいとして、問題はカツオを切っていく所だね。途中まで、早織ちゃん、やってみよう。途中からは、昨日と同じく、僕が代わるからね。」

 義治は早織に指示する。


「はいっ。」

 早織は大きく返事をして、用意された、鰹を切っていく。


 少し、昨日の夕食より、速くなり、稼働が上がっているように見える。

 集中する早織。だけれども、周りの従業員より少し遅く、時間が経てばたつほど、そのペースに差が出始める。


 そのタイミングを見計らって。

「うん。昨日より進歩したね。良い感じだったよ。一歩ずつで良いから、これからも慣れて行こう。」

 義治はそう言って、早織に交代を告げ、朝食ビュッフェの準備をすべて終えた。


「よし。和食担当の朝食準備はこれくらいかな。そして、特別シーズンを除いた、夕食、朝食の、一通りの料理は教えたかな。後は、復習をやりつつ、実践をして行こう。お疲れ様。皆も朝食、食べてね。また、義信が迎えに来て、今日は温泉街の散策を案内してくれるからね。」

 義治はニコニコ笑って親指を立てて、僕たちの労をねぎらってくれた。


「「「ありがとうございました!!」」」

 僕たちは義治にお礼を言って、厨房をあとにし、朝食の時とした。


 今日の朝食ビュッフェは当然、和食をチョイスする僕たち。


 ホカホカのご飯に、いくらの醤油漬けを乗せ、僕が大量に割って配膳した温泉たまごの小鉢。

 みそ汁と、きんぴらごぼう。そして、一生懸命焼いた鮭。

 さらには、揚げ出し豆腐に、湯葉、漬物をずらりとお盆に乗せ、朝食を食べる。


 本当にどれも美味しく、流石は一流ホテルの味だった。

 そして、その中に、僕たちも手伝った料理が含まれているということを思うと、とても嬉しく、不思議だった。


 もちろん、誰よりも、成長して、義治や従業員に食らいつこうとした早織の姿はとても眩しかった。


「本当、美味しいわね。」

 史奈がニコニコ笑う。


「うん。うん。早織ちゃん、すごく元気になったんじゃない。気分はどう?」

 葉月が早織に聞く。


「はい。私たちが作った料理がこうして、ホテルに出て来て、とても嬉しいです。まだまだ、学ぶことはたくさんありますが。」

 早織は大きく頷いた。


「大丈夫だよ。さおりん。自信もって。」

 マユがニコニコ笑う。


「ばっちり記録したからね、映像はいつでもLINEに送るから。」

 結花がニコニコ笑って、心音を見る。

 心音は親指を立てて、早織に笑っていた。


「早織・・・・。きっと大丈夫、上手くいくから。」

 加奈子は大きく頷いて、早織に語り掛ける。


「うん。早織ちゃん、今日も、頑張った。」

 風歌はニコニコ笑っていて、少し、ふぁぁとあくびをする。おそらく、今朝も最初は眠そうにしていたので、今になって少し疲れてきたのだろう。

 しかし、風歌の早織へのエールは本物だった。


「み、皆さん、ありがとうございます。」

 早織は深々と頭を下げる。その表情は日に日に明るくなるのを肌で感じる僕たちだった。


 こうして僕たちは、朝食を堪能し、部屋に戻って、ゆっくり、今日の外出の支度をするのであった。

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