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107.コンタクトデビュー

 

 文化祭の係りが決まり、係の担当の割り振りが、無事に各クラスに配布された。

 その後に迎えた二学期の中間試験。


「文化祭もあるから、楽しむためにも、猛勉強してね。」

 試験直前の生徒会、加奈子にそう送り出されて、僕たち一年生生徒会メンバーは真剣に中間試験に臨んだ。


 そうして順調に、中間試験に臨み、なかなかの手ごたえを感じる僕。

 夏休みに少し予習しておいてよかった。


 一学期の範囲は既にやったことがあるということを巧みに利用し、そこから勢いをさらにつけていた僕だった。


 なぜならば、ここまでの僕の日々はとても忙しく、目まぐるしいように過ぎていったからだ。

 合唱コンクールに始まり、ピアノコンクール、そして、文化祭の準備と毎日が光の速さで過ぎていった。


 そのお陰で、勉強の時間が減ってはいたのだが、それでも、一学期のときに、少し貯金しておたから、今がある。


 二学期のこれまでの内容も、スーッと頭に入ってきているようだった。


 そんなお陰で、大きく悪い点を取るような科目はあまりなく、二学期の中間試験の最終日を迎えた。


 そして、中間試験の最終日。僕は、いや、ここに居るクラスメイト達がかなり驚いた。


「えっ?」

「うっそ~。」

 クラスメイト達は、驚いている。


 教室に入ってきたのは皆が驚くほどの可愛い子だった。


 それを見て、うんうんと頷く僕。

 僕は普段から、色々な場面、まあ、そのほとんどが、例の夜のひと時なのだが、夏の海辺での出来事や、生徒会での休憩時間にその顔は見たことがあるので、驚くことは無かった。


 だが、初めて見る人たちにとっては、かなり驚いたようだった。


「えっと、八木原さんだよね?」

 クラスメイトの反応に、頷く早織。


「えっ、コンタクトにしたの?」

 矢継ぎ早の質問にコクっと頷く早織。


「すごく可愛い。絶対そっちの方がいいよ!!」

「ホント、ホント。凄く美人になった。」

 クラスメイト達は、ニコニコと笑って、そして、大興奮していた。



「ねっ、八木原さん。こっちの方が良かったでしょ。ハッシーや、生徒会の皆が言うように。」

 早織の後ろから教室に入ってきたのは、同じ生徒会の結花。


 早織は結花に向かってコクっと頷く。


「う、うん。そうだね。まだ、慣れないけれど。」

「でしょ。でしょ。さあ、八木原さんも心機一転できたし、頑張ろうね。」

 結花はニコニコ笑っていた。


「あ、ありがとう、ございます。北條さん。」

 早織は少し恥ずかしそうに結花に頭を下げる。それはすごく新鮮だ。


 そう、早織は、校内合唱コンクールのあの時以来、確かに、コンタクトの方がいいと僕たちは話したのだが、なかなか踏み出す一歩が出来ずにいた。


 しかしながら、僕たちは色々な時で、眼鏡を外しているときも見たことがあるので、あまり言及はしなかったのだが。

 今回、黒山との一件があり、早織は思い切ってコンタクトに切り替えた。


 昨日、学校が早く終わった後に、結花と一緒に眼科に行ったらしい。


「ほら、ハッシーが出迎えている。」

 僕はニコニコと笑いながら早織と結花を手招きする。


「お、おはよう、輝君。」

 早織は僕の顔を見つめるが、何だろう。僕はさらにドキドキしている。


 確かに、眼鏡を外した早織は何度も見たことがあるのだが。

 コンタクトにしたからだろうか。


 瞳がいつもより大きく、クリッとしていて、ものすごく可愛い。


 そして、おそらく結花に手伝ってもらったのだろう。

 髪の毛を少し手入れして、きりっとした表情になる。


「どうした?ハッシー。」

「いや、ごめん、コンタクトにすると、瞳が大きくなったりするから。それで、すごくドキドキした。というか。」


「おーっ、さすが。」

 結花はニコニコ笑って、親指を立てる。


 何だろうか、こうしてみると、地味だった早織がどんどん可愛くなってきている。


「さあ。八木原さん。きっと、楽しいことが待ってる。ということで、先ずは、形からイメチェンしてみた。」

 結花は早織の肩をポンポンと叩く。


「う、うん。」

 早織は頷く。


「ねっ、ほらほら、ハッシーも笑ってるよ。好きな人を見る満面の笑みで。」

「えっ、そ、その・・・。」

 早織は少し恥ずかしそうな顔をするが。


「とても良く似合ってる。良く決断したね。早織。」

 僕は早織とハイタッチする。


「う、うん。ありがとう!!」

 早織はとても元気になった。満面の笑みで、ハイタッチをした。


「さあ。八木原さん。とりあえず、形は変えた。後は、八木原さんの腕をたくさん磨いて、アイツを見返そう!!」

「は、はいっ、ありがとうございます。北條さん。輝君。」

 早織は大きく頷いた。


 こうして、早織はニコニコ笑いながら席に着き、中間試験の最終日の科目を各々受験した。


 最終日の科目も手ごたえばっちりである。

 そうして、二学期中間試験全科目終了する。


 そして後日、僕の順位は、二学期も上位十番以内に張り出されることになるのだが、それはまた今度のお話。


 試験最終日の今日、この日も学校は午前中で終わるのだが。


 今日この後の時間は文化祭の準備期間デーとなる。


 学校で設けている、準備期間デーの最初の日だ。


 ということで、今日はそれぞれの係りの顔合わせと何をやるのかを決める。


「終わったね。輝君。」

「うん。」

 早織が声をかけてくれる。


「北條さんも、終わったね。」

「ハハハッ、なんか疲れたなぁ。でも、そうは言ってられないね。」

 結花がニコニコ笑う。


「改めて、家庭科部を手伝ってくれて、本当にありがとう。」

「ううん。大丈夫。早織が元気になって本当に良かった。」

 僕は大きく頷く。

「本当だよ。八木原さんはこれが一番!!」

 結花はニコニコ笑った。


「それじゃあ。」


「「「行こう!!!」」」

 僕たちは、家庭科部の集合場所である、家庭科室へと向かったのだった。







今回もご覧いただき、ありがとうございました。

少しでも続きが気になりましたら、下の☆マークから高評価とブックマーク登録をよろしくお願いいたします。

そして、ここで、早織はコンタクトデビューをするということで、今までの文章に若干修正、調整が入るかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

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