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第26話  両雄

 妻女山にドドドドドと大きな足音が近づいてくる。


「来たぞ、海老太郎君」 


 片倉さんの言葉に海老太郎は


 大声で


「構えてくださーい‼」 


 不動軍の別働隊の騎馬隊がどんどん近づいてくるが海老太郎は冷静に大きな声で


「引き付けてくださーい‼」


 海老太郎はタイミングをはかって腕を大きく振り騎馬隊を指さして大きな声で


「今だ、放てー‼」


 海老太郎率いる弓矢隊は一斉に矢を放ち敵兵を討ち取って行く。虎雲の軍勢は海老太郎率いる弓矢隊の一斉攻撃に脆く簡単に崩れていく。


 その様子を見た。片倉さんは大声で


「不動の軍勢はたいしたことない!!皆の者かかれ!!」


 片倉さんの命令で天羽軍の兵達は一斉に襲い掛かる。


 それを見た金崎O-太は


「俺らも天羽軍に続くぞ!!」


 O-太を先頭に金崎軍は虎雲軍に襲い掛かる。


 あっという間に壊滅状態に陥った虎雲は大声で


「何やってんだ!!さっさと敵を蹴散らせ!!」


 と怒鳴り散らす。


 しかし、横にいた大地は


「これ以上進めば全滅します!!」


 その言葉に虎雲は


「全滅してでも突き進め!!」


 大地は大声で


「それはあまりにおかしな命令だ!!」


 虎雲は大地の胸倉を掴んで


「おかしくねぇ!!兵の命より手柄だ!!俺はこの戦で手柄を立て英雄になるべき男なんだ!!こんなところで怯むんじゃねぇ!!さっさと戦え!!」


 大地は胸倉を掴まれた手を振り払い戦っている兵達に向かって大声で


「この状況で戦い続ければ無駄死にするだけだ!!全軍撤退せよ!!」


 虎雲は拳で思いっきり大地の顔をぶん殴り


「何勝手な命令を出してる。大将は俺だぞ!!」


 大地はそれでも真剣な表情でを睨みつけて


「部下の事を考えぬ無能な大将の意見など僕は聞けません!!」


 虎雲は2,3発大地を顔を思いっきり殴って


「後で殺す!!」


 そう吐き捨てた。




 金崎O-太は


「敵の大将首見えたぞ!!」


 虎雲は


「引くしかないな」


 撤退しようとしたその時


 いきなり五十代位の体格のよい男が兵を引き連れて現れた。その男こそ日ノ本一、最強の武将、武士疾風だ。


 武士疾風は皆に


「さっさと蹴散らすぞ!!」


「はっ!!」


 武士疾風の登場により状況が一変した。


 最強の武将、武士疾風が馬に乗りながら片腕で大長刀を振り回し一気に海老太郎率いる兵をなぎ倒し怒鳴るような声で


「一気に踏みつぶせー!」


金崎、天羽別働隊連合軍の兵達は武士疾風の圧倒的な強さを見せつけられて誰もが


こいつが日ノ本一の武将、武士疾風か格が違いすぎる。


この状況で片倉さんは冷静に  


「全軍撤退せよ」


 金崎、天羽連合軍の兵達は金崎に戦が始まる前にまんがいち、武士疾風が現れたら速やかに撤退せよと命令されていたので片倉さんの指示で全軍撤退を開始していたが海老太郎は転んでしまう。


 ヤバい!!焦ってもう一度転ぶ海老太郎に敵はドンドン迫って来る。その様子を見ていた片倉さんは


 (ヤバい、このままじゃ海老太郎君が討ち取られる。)


 片倉さんは速やかに海老太郎の前に行き馬に乗って向かってくる武士疾風に斬りかかった。


 勝負は一瞬でついた。


 武士疾風は斬りかかってくる片倉を目には見えないくらい速い槍さばきで返り討ちにし、片倉さんはその場で全身から血を吹き出しながら倒れ混んだ。


 武士疾風は片倉さんを斬り倒してすぐ、金崎国子がここにいないことに気づき


 (ヤバい、お屋形様が窮地に陥った)


 味方に向かって


「ここに金崎国子はいない!!急ぎお屋形様の元へ向かうぞ」


 不動軍別働隊は何がなんだかよく理解しないままとりあえず急いで武士疾風を追いかけた。


 武士と片倉さんの凄まじい勝負に突っ立って見ている事しか出来なかった海老太郎は慌てて片倉さんの元にかけより


「片倉さん!!大丈夫ですか!片倉さん!!」


 片倉さんは必死に声を絞り出して


「大丈夫だ、問題ない」


「大丈夫じゃないですよ!僕のせいで」


 海老太郎は泣きながら慌てて片倉さんの体から吹き出している血を止めるために傷口を自分の着ている衣服を破ってそれで縛り付けた。


 片倉さんはチビルに


「稲荷君、俺達が撤退したこと若達に伝えて」


「わかりました」


 連合軍の撤退を確認したチビルは人をかき分けながら最短距離で金崎国子の元に行き撤退したことを伝えに向かった。




 その頃、金崎国子と経丸と士郎は不動軍の本陣を突破し  


 遂に三人の前に不動武虎と虎太郎の姿があった。


 虎太郎は経丸、金崎国子の前に出てきて大声で


「俺が相手だ!かかって来い‼」


 金崎は冷静に


「ここは二人に任せます!」


 士郎と経丸は気合を入れて大きな声で


「わかりました!」


 金崎は虎太郎の攻撃を交わしながら颯爽と不動武虎を目指して突き進んだ!


 虎太郎は経丸を睨みつけながら


 こいつをすぐにねじ伏せて俺は兄貴の元に向かわなければ


 虎太郎は経丸の心臓めがけて長槍で突っ込んで来る。


 経丸は間一髪でよける。


 経丸は虎太郎に斬りかかったが虎太郎は簡単によけ、士郎のあばら骨を思いっきり長槍でぶっ叩いた。


 士郎はあまりの衝撃に一旦倒れ


 痛い、痛すぎる・・・


 経丸は慌てて士郎の元に駆け寄って


「動かないで」


 士郎はそれでも脂汗を掻きながらあばらを抑えふらふらしながら立ち上がり


 経丸は


「無理しちゃダメです。立たないで」


 士郎は止める経丸に


「大丈夫ですから」


 士郎は虎太郎に


「すげぇ、威力だな。お前」


 虎太郎は士郎に


「くたばっとけば楽なのに」


 士郎は真剣な目で虎太郎を見ながら


「俺は絶対に経丸様を守り抜くんだ!!」


「お前根性あるな!敵だが尊敬する」


 士郎に襲い掛かろうとする虎太郎の前に経丸は大の字で立ち塞がり


「もう勝負は付きました‼私の負けです!」


 士郎はフラフラの状態で


「経丸さん、俺まだ戦えますよ」


 経丸は強い口調で


「士郎さん!ここで無理をすれば死んじゃいますよ!!」


「戦わないで経丸さんを危険に晒すぐらいなら戦って死んででも経丸さんを危険に晒さない方がいい」


 右手を優しく包み込むように握って泣きながら


「私、士郎さんに死んでほしくない!!」


 士郎はボロボロと泣きながら


「経丸さん、泣くのはズルいですよ」


 虎太郎は経丸に向かって


「大事な仲間の看病をしてやれ」


 虎太郎は颯爽と不動武虎の元に向かって行った。




 不動武虎の元に一人で着いた金崎は不動武虎に鋭く思いっきり刀を振り下ろす。


 不動武虎は間一髪で鉄製の軍配で防いだが鉄扇が砕ける



 不動武虎は驚きながらも冷静に次の金崎の一撃を防ぐために刀を抜き


 金崎の鋭い攻撃を刀で防いだが刀は弾き飛ばされる。それを見た金崎国子は


「これで終わりです‼」


 金崎は大きく振りかぶる。


「グサッ!」


「あっ!」


「と、とら!!」


 虎太郎は金崎国子に長槍を突き刺されながらも金崎国子を睨みつけながら


「俺の兄貴は日の本一最強の軍団大将不動武虎だぞ!!簡単に死ぬわけなかろう」


 そう言って虎太郎は最後の力を振り絞り金崎の胸を長槍で突きさそうとするが金崎は間一髪右腕でガードした。


「くっ、仕留めきれなかったか」


 虎太郎はそう言って倒れた。


「と、とら!!!」


 不動武虎は虎太郎に駆け寄り虎次郎を抱きかかえ


「しっかりしろ!!おい、とら」


 金崎国子はこの隙に不動武虎に襲い掛かろうとしたが


 金崎と不動武虎の間に割って入るように息を切らしながら勢いよく駆けつけてきたチビルが


「金崎殿、別働隊が迫って来てます」


 金崎の目線の先には金崎軍を蹴散らして向かって来る武士疾風を先頭とした騎馬隊の姿があった。


 武士疾風は怒鳴るように大声で


「お屋形様―‼今お助けしまーす‼」


 金崎は敵軍の別働隊を見て稲荷に


「この戦これまでのようですね。経丸さんに撤退するように伝えてください」


「はい」


 金崎は妻女山から全力で駆け抜けて情報を提供してくれたチビルのおかげで判断が早かった。この判断が遅かったら退路を失い金崎と経丸は命を落したであろう。


 天羽、金崎連合軍は撤退した。


 この戦は引き分けに終わったが金崎軍三千不動軍四千五百の死者を出した。二十五%も死者を出す異例の戦いとなった、この戦により両軍の兵力は大きく削られたのであった。


 引き上げる金崎軍を不動軍は追わずに川中島で留まった。


 不動軍は勝ち鬨を挙げたのであった。


 引き上げた金崎、天羽連合軍の本陣は無事に士郎達と合流しひとまず金崎家の領国越後の春日山城に天羽、金崎連合軍は撤退したのであった。


 両雄の決戦はこれにて終焉したのである。


 この戦で経丸は金崎国子に圧倒的な強さを目の前で見せつけられて士郎達は日ノ本一最強の武将、武士疾風の前に手も足も出なかった。



















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