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第10話   亀田

 亀田栄助の館山城で士郎は体格のいい男達に囲まれて今、絶対絶命である。


 士郎はひのを逃がすためにわざと注意を引き付けいるが


 ひのは逃げようとせず、それどころか士郎の前に出てきて士郎を守るように大きく両腕を伸ばして立つひのに士郎は大きな声で


「何してんですか、逃げてください。ひのさんを逃がすためにそれがしはここに来たんですよ」


 ひのは泣きながら


「私のせいで外岡士郎さんを殺させるわけいかないじゃないですか!!」


 ひのは亀田に大きな声で


「私はもう二度と逃げ出したりしません。だから外岡士郎さんを殺すのをやめてください!!」


 ひのの言葉に亀田は


「じゃあ、俺と結婚するって事でいいな」


「はい、わかりました」


 士郎は全身震えながらも亀田を指さして


「おい、やっぱりお前が圧倒的に悪い奴だったんだな!!」


 亀田は士郎を睨みつけ


「お前、調子に乗ってると殺すぞ!」


 士郎は本佐倉城を見て


 上手くやったようだな。チビル


 士郎は冷静に


「おい、後ろ見た方がいいぞ」


「はぁ?何言ってんだ!」


 亀田の周りの男達が後ろを振り向き


「殿、城が、城が燃えてます」


「はぁ?」


 亀田は後ろを振り向いた


「おい、何で城が燃えてるんだ!」


 動揺する亀田達に対して士郎は興奮気味に


「やぁほーい!ざぁまーみろ、バーカ、バーカ!!」 


 先程まで隠れていた経丸達が現れて


 凛は真剣な表情で


「私はひのさんの仲間としてあなた達を絶対に許せない!!」


 片倉さんは刀を抜きながら


「俺達の仲間の幸せを奪おうとした奴は何があっても生かしておけないな」


 海老太郎は大声で


「僕らは絶対にお前らなんかに負けねぇからな!!」


 経丸はひのの手をぎゅうっと握って


「だからひのちゃん、一緒に戦おう」


 ひのは嬉しさのあまり泣きながら


「皆さん、ありがとうございます」


「待って、待ってそれがしだけセリフがバカっぽくない」


 経丸は冷静に


「士郎さん、今はそんなことを言ってる場合じゃないですよ。亀田家をぶっ潰すよ!」


 凛はぼっそと


「バカっぽいじゃなくてバカなセリフなんだけどね」


 士郎は凛を指さし


「おい、経丸さん!こいつバカにして来た注意して」


「凛ちゃん、ホントの事言っちゃダメですよ」


「はい、すみません。経丸さん」


「これでいいですか?士郎さん」


「いいわけないだろ‼」


「お前らごちゃごちゃうるさいな!なめんじゃねぇぞ!!者どもぶっ潰せ!!」


 亀田の命令で体格のいい男達が士郎達に襲い掛かって来る。


 経丸が危なげなく四人、凛がなんとか二人を倒し海老太郎も二人、片倉さんが一瞬で五人の男達を蹴散らし士郎は亀田に向かって剣先を向けながら


「それがし達に勝つには人数が足りないんじゃないか?」


 亀田は側近の男に


「おい、全ての城兵に城の消化作業は後だ。こいつらをぶっ潰せと伝えてこい」


「わかりました」


 凛は亀田の発言に対して


「おい、兄貴が挑発するから敵が増えるじゃんか」


「悪い、ついカッコつけたくなって」


「全くどうするのよ」


 片倉さんは凛の肩を優しくポンと叩いて


「大丈夫だよ。むしろクズをまとめて根絶やしにするいい機会じゃないか」


「根絶やしに出来るんですか?」


「雑魚は束になっても雑魚だからね」


 亀田は片倉さんの発言に相当頭来て、片倉さんを睨み付けながら


「亀田家全勢力でお前をぶっ潰す!!」


 片倉さんは一瞬で亀田栄助との間を詰めて首を刎ねた。


 片倉さんが亀田栄助の首をいきなり刎ねた事に士郎達天羽家の皆は驚き亀田家の城兵は


「おい、お前いきなり我が殿に斬りかかるなど卑怯ではないか」


「そうだ、そうだ」


 片倉さんは呆れた感じで


「敵の援軍を待って戦うバカがどこにおろうか」


 亀田家の者達は片倉さんの言葉に何も言い返せない


「若、敵がここに押し寄せるのも時間の問題です。逃げますか」


「そうですね。ここは逃げましょう」


 経丸はしっかりひの手を握って逃げ出した。士郎達もそれに続いたのであった。


 亀田家の城兵が十人位追って来たので士郎は


「片倉さん、どうしますか?」


「士郎君、ここは海老太郎君と二人で食い止めるから全力で若と凛ちゃんとひのさんをお守りしてくれ」


「はい、わかりました」


片倉さんと海老太郎で斬り倒したのであった。


 士郎達は無事逃げ切りチビルと合流した。


 そして士郎達は無事館山城に逃げ帰れた。


 士郎は館山城の大広間に腰を下ろして


「ふぅーやっと逃げ切ったぜ」


 経丸はホッとした表情で


「皆が無事で本当によかったです」


「チビル、お前の放火見事だったな」


 チビルは照れ臭そうに


「たまには派手な事やって目立たないと」


 士郎は笑いながら


「まぁ、良かったなぁ、一生で最初で最後の目立ちかもしれないしな」


 凛が


「一言余計なんだよなぁ。兄貴は」


「そうですね。セリフバカっぽかったのに」


 ひのの言葉に皆が笑う。


 士郎はツッコむように


「おーい!!今のひのさんも一言余計じゃないか!!」


「ナイス一言」


「ありがとうございます」


「ナイス一言じゃねぇわ!凛!!」


「今のはナイスでしたね」


「おい、経丸さんまで」


皆は笑った。


 経丸はチビルに優しく


「稲荷さん、本当に素晴らしい活躍でした」


 凛は経丸の意見に同調し


「そうです、兄貴は余計な事しか言わないんですから」


「余計な事しか言わない事ないだろ!いいことだってたまには言うわ‼」


 ひのは真顔で


「士郎さんはいい事も言ってましたよ」


 士郎はもの凄く嬉しそうな顔で


「えっ!どこでどんないいこと言ってた?」


「すみません。忘れました」


「忘れたんかい‼」


 皆大笑いした。


 皆が館山城に着いてから二時間後に片倉さんと海老太郎も無事戻って来たのだった。


 

 次の日の朝七時、皆は広間に集まり朝食を取る。


 朝食を終えた後


 士郎は真剣な表情で


「ねぇ、ひのちゃん何があったか全部教えてくれる」


「士郎さん、ひのさんもしかしたら人に話したくないことかもしれないじゃないですか。聞くのはよくないと思いますよ」


 経丸の言葉に士郎は冷静に落ち着いた口調で


「気を遣ったり遠慮したりするのは仲間にする事なのか?それがしは違うと思う」


「本当に話したくない部分は話さなくていい。ただある程度の事は話してもらいたい」


 士郎の言葉を聞いてひのは真剣な表情で


「私、全てを話します」


 皆、真剣な表情でひのを見つめる。


「私、あの亀田と言う男に結婚を強引に迫られていました。私は本当にあの男とは結婚したくなかったけど権力者だから従うしかないかと半ば諦めていました」


「でも、自分より強い勢力に屈しず戦った経丸さんの話を聞いて私は、私は、わがままですけど」


 ひのは泣き出し声を詰まらせながら


「経丸さんに助けてもらいたいと思った。だから、経丸様の元に逃げて来てしまいました」


「経丸さんなら私の事助けてくれると思いましたから。そして私の気持ちを一番理解してくれると思いましたので」


「ごめんなさい、私のわがままで皆さんを危険な目に合わせてしまって」


 士郎は大きな声で


「わがままなんかじゃない!!必死に生きようとする素晴らしい行為じゃないか!!」


 経丸はひのをギュッと抱きしめ


「ごめんね、ひのさん。私が変に気を遣ったりするからひのさんも気を遣って助けてって言えなかったんだよね」


「いえ、そういうわけじゃ」


「ひのさん、私はもうひのさんに変に気を遣ったりしないだからハッキリ言わせてもらう」


 経丸は優しい表情で


「これからは困ったことがあれば私達に相談して。これだけは約束して」


「えっ、相談していいんですか」


「いいも何も、私達は仲間だから」


「経丸さん、皆さん私を仲間にしてくれてありがとうございます」


 と言って深々と頭を下げた。


 凛はひのに


「はい、ハンカチ」


「ありがとう」


 ひのは涙を拭いた。


「ねぇ、皆さん。せっかくひのさんが仲間になったから今日の夜、お祝いしませんか」


「いいね!経丸さん。その案最高だよ。なぁ、海老太郎」


 海老太郎は大声で


「最高過ぎて、」


 しばらく間が空くので皆が


「最高過ぎて?」


 と聞くと


「最高過ぎて、」


 もう一度間が空くので


「最高過ぎて?」


 最後めちゃくちゃ大きな声で


「最高です!!」


 海老太郎の言葉に皆、盛り上がった。


「じゃあ、早速やろうぜ‼」


士郎達はその夜、いつもより豪華な料理を皆でワイワイしながら楽しく食べたのであった。





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