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スイソーガク  作者: ぷるんぷりん
3/3

早宮君がいない

「もうそろそろ部室閉めるぞー。早く出ろー。」

もうそんな時間か。稲垣さんと一緒に吹いてたからかいつもより短く感じる。

「坂田ぁ。今日何人くらい新入生来た?」

「やっぱちょっと楽器やってみたい!っていう人がほとんどだったな。実際入部しそうなのは、未経験の1年2人と、楽器経験ありの2年2人だけだな。1年はほとんど運動部に行きそう。」

あれ?早宮君は部活来てないのかな?なんでだろう。

「あ、あと結構すごいことがあった。花川城西の奴が来た。」

「花川城西ってあの?」

私立花川城西高等学校。全国クラスの偏差値、進学実績を誇る、県トップ校。吹奏楽部はここ数年全国大会に連続出場している強豪校だ。噂によれば、吹奏楽のツキ、卯月(うづき)志穂(しほ)税所(さいしょ)弥生(やよい)が通っているらしい。

「ああ。あの花川だ。制服で分かった。で、本題なんだけど、そいつが言うには、うちに吹奏楽のツキの一人がいるらしい。」

正しくは二人です!でも、ようやく僕が吹奏楽のツキだって気付いてもらえたかな?

「マジか!まさかのうちみたいな高校に来ちゃったの?ていうか、なんで花川の奴が知ってんだよ!」

「なんか、部室まで来た奴は一人だったんだけど、本当は二人で来たらしくて、もう一人の方は玄関で女子に囲まれたらしくて置いてきたって言ってたんだけど、それってうちの玄関なのか花川の玄関なのか重要じゃないか?」

そこはあんまり重要じゃないんじゃない?でも、ここの玄関で女子に囲まれてたならきっとそれは卯月君だ。だとすると、部室に実際来たのは税所君か。なら早宮君の事を知ってるのも納得いく。

「で、そのもう一人の、なんだっけ?ああそうだ。卯月って奴が」

ビンゴ。部室に来たのは税所君で決定だ。

「そいつが早宮葉月っていううちの生徒と喧嘩したらしくて、まぁ、時間帯があれで、見つかっちゃったらしく、今は自宅謹慎中だそう。」

だから早宮君見かけなかったんだ。なるほど理解。でも、そんな夜遅くに喧嘩なんて珍しいな。ましてや早宮君と卯月君は。

「その後は?」

「自宅謹慎中で入部届出てないかもしれないけど、多分吹部入ってホルン吹くから開けといてっていう伝言を卯月って奴から預かってるらしくて言いに来た。そのあとは普通に帰ってた。」

なるほど。ちゃんと伝言預けるのは卯月君らしいな。

「なんだよ!その感じ悪い奴!俺がいたら呼び止めたのに!」

朝日さん!

「まぁ、落ち着けって。早宮の自宅謹慎は明日までらしいから、明後日から吹奏楽のツキがいるぞ!」

なんなら今日もいますけど⁈僕も吹奏楽のツキですけど⁈しかも、話聞く限り税所君とも会ってるし!敷地内に入れたかどうかは知らないけど、卯月君も女子に囲まれなきゃ会える予定だったし!

「そういや、文月って月宮北中出身だろ?早宮がどんな奴か知ってる?」

僕、吹奏楽のツキの中で一番かかわわなかったかもしれないんだよね。早宮君とは。元々早宮君は群れるのが好きなタイプじゃなかったし。ならなんで周りと音で協力する吹部に入ったんだよアイツ。いや、僕も自分から関わりに行くことはなかったか。

「早宮君は、他の吹奏楽のツキと同じで変わった人でした。まず、群れることがあんま好きじゃない人だったので、詳しくは分かりませんが、僕から見た印象はただひたすらに人見知りです。人と話すのが苦手で、教室でも孤立しちゃうタイプですね。そして、部活のさぼり癖は二年間抜けませんでした。パってみるとだいったいスマホゲームやってます。」

正直早宮君の第一印象はビビりみたいな感じだった。だけど。

「音はピカイチです。言葉で説明するのは難しいんですけど、低い音は優しい音。高い音はまっすぐな音。みたいになるじゃないですか?息の入れ方が違うので。それをあんまり感じさせないような演奏だった気がします。」

月宮北中で初めの合奏の時に吹いたのはネズミー映画のメドレー。テンションを引っ張り続けて苦労したが、彼のホルンはそれを全然感じさせなかった。記憶がある。あまり覚えてないけど。

「へ~。話だけ聞いてるとぜんっぜん次元が違うって感じがするなぁ。」

「やっぱ吹奏楽のツキって呼ばれるだけあるな。」

僕も呼ばれてるんですけどね?結構不安になってくるよ。僕ってその12人に含まれてない?もしかして。

「とりあえず、自宅謹慎開けるまで待ってみよう。その間に10人くらい勧誘できたらいいな!稲垣さぼるなよ?」

「そうですよ!稲垣さん!俺今日二人分やったんすよ!」

「朝日のテンションだと、いつも通りにしてるだけで、俺二人分くらいやってそうだなぁ。分かったって坂田睨むな。明日はしっかりやるよ。文月はどうする?明日は他の楽器やってみる?」

そっか。他の楽器できるんだった!ちょっとやってみようかな!

「はい!」


✯吹奏楽部ファイル✯

名前:坂田さかた 修一郎しゅういちろう

学年:高3

身長:174㎝

楽器:チューバ

所属学校;元・堀ヶ浦第一中学校 現・県立火野高等学校

好きな食べ物:納豆ごはん

頭脳:2

音感:2

音質:3

パワー:4

肺活量:4

最近の悩み:あと1㎝身長があれば人権があったことをクラスの女子に教えられた。

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