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スイソーガク  作者: ぷるんぷりん
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楽器体験

「楽器体験できまーす!ぜひ吹奏楽部に遊びに来てくださいー!」

部室の前で勧誘していたから場所はすぐに分かった。僕は自分のトランペットを持ってきたけど、吹いてもいいのだろうか。

「お!お前自分の楽器持ってんのか!」

後ろからいきなり大声が聞こえてびっくりする。

「は、はい!」

「トランペットか!俺と一緒だな!俺は2年トランペットパート朝日紀夫!お前吹部入るんだろ⁈よろしくな!」

学ランの下に男前と書かれたTシャツを着ている。ただ、身長が小学生と間違えられそうだ。

「よ、よろしくお願いします!」

「そんな緊張することねぇぞ!今俺よりちっさい後輩探してんだけど、男子は全員でけぇな!」

朝日さんの身長は目測でも160ないことがわかる。男子高校生で160センチ以下はだいぶ少ない。見つけられることを願おう。

「おい朝日!1年に悪がらみするなよ!俺副部長ホルンの稲垣。よろしくな!さっそく楽器吹きたいだろ?ホントは楽器体験をやってるんだけど…部長には内緒な。」

稲垣は遠目ではわかりずらかったが、割と爽やかな青年だ。いたずらっぽく笑い口元に手を持って行ったのは割と様になっている。

僕は稲垣さんの後ろをついていった。すると、割と大きい部屋に出た。そこには式台と沢山の椅子。合奏用に用意されたような部屋だった。

「火野高校は、6年前に全国大会出場までこぎ着けたっていうのは知ってるかな?その時に、用意してもらった部屋なんだよ。まぁそれ以来一回も行ってないけどね。普段は合奏練習に使ってる。今なら人もいないし吹いちゃおうぜ。」

稲垣さんが自分の楽器を出すので、僕も準備をする。正直、いつ月宮北中出身か言うのを迷う。割と言い逃した気がする。

「そういえばさ、名前教えてもらっていい?あと出身中学校。」

ナイス先輩!

「僕は月宮北中出身の文月志気です。」

よし言えた!

「月宮北⁉っていうことは吹奏楽のツキと同級生?もしかして仲良かったりする?」

仲良し以前に僕が吹奏楽のツキの一人ですー!ちょっと惜しいなぁ。

「やっぱ吹奏楽のツキって個性強い?」

「とりあえず自分がモブに感じるくらいには個性強いです。」

「やっぱ、吹奏楽のツキと比べちゃうとなぁ。」

まぁ、そんな自称モブも吹奏楽のツキなんですけどね!なんでこの先輩、吹奏楽のツキと話してる可能性は考えないんだろ。月宮北中吹奏楽部、俺の代全員で12人だけど?吹奏楽のツキ以外誰もいないけど?

「まぁ、この学校には吹奏楽のツキほど個性強い人は誰もいないから安心してね!」

俺が会ったこの学校の吹奏楽部員の朝日さんも稲垣さんも俺的には個性強いと思いますけど?確かにあの11人と比べるトマトもかもしれないけど!ていうか、早宮は吹奏楽のツキの一人だし。

「新入生歓迎会では部長に叫ばせ、万年人手不足の仮入部期間楽器体験はサボり、合奏部屋で吹いてる副部長はどこのどいつだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

この声は部長さんかな?めっちゃ怒ってるし。稲垣さんバレルの速くない?

「誰よ!そんな男!私はどうでもいいのね!(裏声)」

稲垣さん変人だ(確信)

「違うんだ稲子!俺はただ遊び半分で!」

あっこれ部長さんも変人だ(確信)

「あっ。もしかして新入生か?そのトランペットは自分の楽器か。俺は部長の坂田だ。チューバをやってる。」

「よろしくお願いします!月宮北中出身の文月志気です!」

次は自然に出身中学言えた!お願いだから吹奏楽のツキの一人だって気づいて!

「月宮北⁉っていうことは吹奏楽のツキと同級生?もしかして仲良かったりする?」

仲良し以前に僕が吹奏楽のツキの一人ですー!ちょっと惜しいなぁ。

「やっぱ吹奏楽のツキって個性強いのか?」

「とりあえず自分がモブに感じるくらいには個性強いです。」

「やっぱ、吹奏楽のツキと比べちゃうとなぁ。」

まぁ、そんな自称モブも吹奏楽のツキなんですけどね!なんでこの先輩方は俺が吹奏楽のツキだという可能性を全く考えないの?で、このやり取りすごい既視感あるんだけど気のせい⁈

「あっ。楽器の準備ができたら吹いてもいいからな!朝日呼びたかったら教えてくれ!アイツなら3秒で来るだろう。」

一応これでも吹奏楽のツキの一人!音を出したら気付いてくれるでしょう!

僕はチューニングベーの音を出す。チューニングベーとは、吹奏楽において、合奏をする前にチューニングをする音。ベーはドイツ語でB。英語音階にするとB♭。ドレミでいうと、シ♭の音。一人でやるときは、チューナーという機械で音のピッチがあっているかを確かめるが、今日は急いでいたので、いつもの感覚の音の高さで合わせないといけない。数分前の自分に怒りたい。でも、これで気づいてくれたでしょう!

「やっぱ、吹奏楽のツキと一緒にいたら音もきれいになるんだな!」

「もはや、吹奏楽のツキ超えてるんじゃない?」

だから何でそうなる‼僕が吹奏楽のツキの一人なのよ‼ここまでわかってもらえないと逆に不安になるんだけど⁈僕って吹奏楽のツキの一人であってるよね?

そういえば、早宮はどこにいるんだろう?入学してから一回もあってない気がする。

「俺は人手不足の楽器体験のコーチに回るから、稲垣と文月はここで吹いとけ!」

「ありがとうございます!」

「坂田さっすがぁ!分かってるねー!」

✯吹奏楽部ファイル✯

名前:稲垣いながき 浩輝ひろき

学年:高3

身長:169㎝

楽器:ホルン

所属学校;元・堀ヶ浦第二中学校 現・県立火野高等学校

好きな食べ物:タイの本格激辛カレー

頭脳:3

音感:2

音質:2

パワー:2

肺活量:2

最近の悩み:最近、坂田俺にあたり強くない?気のせい?

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