表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月より遠い恋をした  作者: ネコカエデ
43/90

第43話

栗栖くるすさん!どうしたんですか!?」


 腕に包帯?サポーターみたいなものを巻いている。


「いや、ちょっと……その……湿布してるだけだから。怪我じゃない。植菌をする時期は大抵こうなるんだ。桜音おとちゃん、手伝ってくれる意気込みは嬉しいけど、やりすぎないで……」


 私の手には金づちと椎茸の菌。コンコンと開けた穴の中に菌を打っていくのが楽しい。ゴロンと丸太の原木を転がして、反対の方も打っていく。


「私がする量なら、面白くて、ストレス発散になります。栗栖さんほどの量はできません!」


 ズラッとビニールハウスの中に並ぶ椎茸の木。ハウスの中はムワッとした暖かさがあり、椎茸の原木の匂いがする。


 クリスマスの雰囲気って素敵!ロマンチック!と浮かれていた私が次の日に見たものがコレだった。栗栖さんはクリスマスどころではなく、椎茸と戦い中だったらしい。


 しばらくすると、栗栖さんのお母さんがひょっこり現れた。


「ねえねえ!桜音ちゃんはクリスマス何か予定あるの?家に来ない!?」


 は!?と栗栖さんが驚く声をあげた。


「いや……うちのクリスマスって、ただ鶏肉の料理にケーキ食べるだけなんだけど?」


 申し訳無さそうに栗栖さんが言う。


「予定あるなら、良いけどないなら、一緒に可愛い子とケーキ食べても良いじゃない?いつき達は友達呼んで別宅でパーティーするっていうし、つまらないんだもーん」


「だもんって……何歳なんだよ!?母さんが一緒に過ごしたいのかよ!?」


 お母さんとのやり取りを聞きつつ、私は控えめに答える。


「あ、あの……お邪魔ではなければ……行きたいです」


「えっ!?いいの!?クリスマスっていうか、ホントに食べるだけの会なんだよ!?ただのケーキがついた夕飯なんだ」


 ハイと私は頷く。


「誘ってくれてありがとうございます」


 ヤッターと……なぜかお母さんが喜んでいる。栗栖さんがいや、そんなんでよければ良いんだけどさ……と首を傾げる。


「じゃあ……今年はケーキ焼こうかな」


『えっ!?』


 私とお母さんの声が重なる。


「あんた……デコレーションケーキ作るの!?」


 お母さんすら驚いている。


「栗栖さんのケーキ、食べてみたいです!」


 まさか、ケーキまでできるなんて……栗栖さんは分量とやり方さえきちんと守ればお菓子作りは失敗しないよと笑う。料理人の才能がある気がした。


「よし、じゃあ、せっかく来てくれるし、はりきろう」


「すっごく楽しみになってきました。私、お料理のお手伝いに行きます。これも頑張ります!」


 私が意気込んで、菌入れをまた始めると、栗栖さんが、いや、無理しないで!と自分の腕を見せつつ慌てて、言うのだった。


 クリスマス……まさか一緒に過ごせるなんて!夢みたいだった。ハウスの暖かさだけじゃないホカホカとした感じが心の中からした。

読んで頂きありがとうございますm(_ _)mカクヨムでもカエデネコで活動しています。よかったらのぞいてみてください(*^^*)更新はあちらのほうが早いかと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ