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Specters3  作者: 製作:橋元宏平 原案および監修:J 


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10/10

最終話 Humpty Dumpty

「Mother Gooseマザーグース)」 は、古くから伝承されてきた童謡の総称で、特定の作者がいない為、著作権はありません。

「Humpty Dumptyハンプティダンプティ」は「壊れたものは、元には戻らない」の比喩表現(ひゆひょうげん=例え)として使われます。


【少尉視点】

 夜襲事件から、一ヶ月後。

 久し振りに、特殊精鋭部隊「Specters」と「Specters航空支援部隊」の出撃となった。

 今回の任務は、「Boot Camp(ブートキャンプ=新兵訓練施設)の制圧」

 百戦錬磨(ひゃくせんれんま=数々の実戦で鍛えられた)の中将が考えた、「曹長の為の前哨戦(ぜんしょうせん=勘を取り戻す為の小戦闘)」だそうだ。

 俺は新兵相手じゃ全然物足りないけど、戦場を駆け回れるんだったら、なんでもいいや。 

 曹長の体調は、まだ万全じゃないんだけど、今はネコの手も借りたいぐらい、人手が足りない。

 ただでさえ人手が足りなかったのに、夜襲事件で貴重な人員がさらに減ってしまった。

 うちの大将様は、夜襲を受けて黙っているようなヤツじゃない。

 中将も「やられたらやり返す」と、憤慨(ふんがい=不正や不当なことなどに対して、めちゃくちゃ腹を立てる)している。

 なんで、「夜襲事件から一ヶ月後」なのかと言うと、曹長の回復訓練リハビリテーション駐屯地ちゅうとんち修繕しゅうぜんに、それだけ時間が掛かったからだ。


 今回の作戦内容は、以下の通り。

 まず、航空機による爆弾の投下で奇襲攻撃。

 次に、俺が航空機から飛び降りて特攻。

 曹長は、防壁から「Sniper-Rifleスナイパーライフル」で狙撃。

 航空支援部隊は、上空から機銃掃射(きじゅうそうしゃ=機関銃で敵をなぎ払う)。

 中将の戦略通り攻めれば、さほど時間も掛からずに制圧完了。

 やっぱり新兵相手じゃ、呆気なかったな。

 繋ぎっぱなしになっている、無線機に声を掛ける。

「お疲れさん。今、行くから待ってろよ」

 一ヶ月リハビリしたとはいえ、ゆっくりとしか歩けないアイツを迎えに行く。

『Humpty Dumpty sat on a wall♪(ハンプティダンプティは壁の上に座っていた)』

 返事の代わりに、明るい歌声が聞こえてきた。

 聞き覚えのある歌は「Mother Gooseマザーグース」の「Humpty Dumptyハンプティダンプティ」か。


 Humpty Dumpty sat on a wall,

 ハンプティダンプティは壁の上に座っていた、

 Humpty Dumpty had a great fall.

 ハンプティダンプティが落っこちた。

 All the King's horses, And all the King's men

 王様の馬と王様の家来とみんなで頑張っても

 Couldn't put Humpty together again!

 ハンプティを元には戻せなかった!


 これは、歌詞が「なぞなぞ」になっている「なぞなぞ歌」ってヤツ。

「ハンプティダンプティ(『ずんぐりむっくり』を意味するスラング)とは、なんでしょうか?」と、問い掛けている「なぞなぞ」なんだよね。

 誰でも一度は聞いたことがある、超有名な「なぞなぞ」だから、俺でも答えを知っている。

「『卵』だろ」

『あははははっ』

「ふははははっ」

 答えを言い当てたら、曹長が声を立てて笑い出した。

 釣られて、俺も一緒になって笑った。

 そういえば、アイツが声を立てて笑うのも、久し振りじゃね?

 歌声を聞くのも、久し振りだな。

 だいたいその場の思い付きで、クソみたいな歌を唄っていることが多いんだけど。

 別に、既存の歌を唄うことも珍しくはない。

 アイツも、戦場に出たことで、自分を取り戻したのかもしれない。

 俺もアイツも、似た者同士ってことか。

 アイツが背中を守ってくれれば、俺は自由に戦場を駆けることが出来る。

 やっぱりアイツは、俺にとって必要不可欠な存在だと、再確認する。

 防壁に近付くにつれて、敵兵の死体の数が増えてきた。

 行く先々で、地面を埋め尽くすように転がっている。

 死体の損傷は少なく、ほとんどヘッドショット(head shot=頭に一撃必殺)で仕留められていた。

 さすがは曹長、狙撃の腕は落ちてねぇな。

 あまりの死体の多さに、アイツの安否が心配になってきた。

 でもさっき、歌ってたくらいだから大丈夫か。

 怪我くらいは、してるかもしれないけど。


 しばらく歩くと、ようやく防壁に辿り着いた。

 スナイパーライフルを抱いて、地面に伏せている曹長を見つけた。

 曹長に向かって、軽く声を掛ける。

「お~い、待たせたな。帰るぞ~」

 しかし、曹長は身じろぎひとつしなかった。

 不思議に思って、肩を掴んですると、曹長の体が少し横へ転がって、顔が見えた。

 自らが流した血だまりに沈む曹長は、目を閉じたまま穏やかな笑みを浮かべていた。

最後までお付き合い頂きまして、誠にありがとうございました。

少しでもお楽しみ頂ければ、幸いに存じます。

不快なお気持ちになられましたら、心よりお詫び申し上げます。

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