『ごめん』
『お互い別々に、幸せになろう』
意味を理解したのは、その言葉を言われてから数時間が経過してからだった。既読だけつけて返事はしてないままのSNS。彼女からそれ以降なにもきていない。
僕の何がだめだったんだろう。あの時怒ってしまったからかな。あの時ワガママを聞いてあげなかったからかな。あの時甘えてしまったからかな。あの時あげたプレゼントが嫌いだったのかな。
ぐるぐるぐるぐる、まわる思考はいつまでも落ち着かない。少し冷静になってからSNSを開くと、彼女のメッセージでまた思考が際限なく回りだす。それの繰り返し。
冷たい指先で返事をしたのは、約半日後。『別れたくない』の言葉だけ。半日もしたというのに彼女からの既読はすぐについて、怖くてスマホの画面を消した。
数分も経たないうちにメッセージがくる。
『ごめん』
『僕の何がだめだった? 教えて、直すから』
『ごめん、あなたは悪くないの』
『じゃあなんで? 僕は別れたくない』
『ごめん』
なんでごめんしか言わないんだ。僕が聞きたいのは謝罪じゃなくて、別れなくて済む方法なのに。
大好きだよ、愛してるんだよ。伝わってなかった? 伝えられてなかったのかな。こんなにも好きなのに。ずっとずっと考えちゃうくらい大好きなのに。彼女が笑ってくれるだけで胸がいっぱいになって、とても幸せになれたのに。
もう、だめなんだね。
『わかった、ごめん。
ずっと愛してるよ。
幸せになってね』




