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喫茶『Stern』 〜 月曜日の珈琲 〜  作者: 夏川 流美
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何も言わない

 ずっとこのままでいい。




 寄り掛かった彼の肩から、息遣いを感じる。ゆっくり吸って、静かに吐き出していく酸素。


 包み込まれた手からは、彼の熱を感じる。じんわり広がっていく暖かさに、これ以上ない安心感を覚えて。握り締めれば握り返してくれる。隣にいるのだと伝えてくれる。



 変わらなくていい。

 時が止まってしまえばいい。

 そうすれば彼は決して私から離れることがないから。






 ねぇ、私、怖いんだよ。



「好きだよ」


「あぁ、ありがとう。俺もだよ」



 そう答えてくれるのは言葉だけで、視線は私と交わらない。微笑んでくれることすらない。


 本当は、私のことがもう好きじゃないんだと分かっていた。


 でも、彼は何も言わないから。隣に居ようとすれば居てくれるから。



 だから、離れたくなくて。

 だから、怖かった。


 いつ告げられるか分からない別れを、待つだけのこの時間が


 私は、怖いよ。

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