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喫茶『Stern』 〜 月曜日の珈琲 〜  作者: 夏川 流美
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習慣

 爆音で鳴り響いたアラームに肩を跳ね上がらせ、目を覚ます。カーテンを開け、重い瞼を陽の光で無理やりこじ開ける。


 台所に立ち、まずはコーヒーを一杯。朝はきついブラックですっきりするのが良い。


 その後は冷蔵庫から卵を1個とウインナーを取り出し、目玉焼きにして朝ご飯のおかずに。1人分のご飯を用意し、お気に入りの箸を置き、最後に水を並べて朝食の支度が完了。



 代わり映えしないメニューだ。毎日同じメニュー、同じルーティンで過ごしてきた。一人暮らしだから、自分がやらなくては誰もやってくれない。仕方ないから簡単に済ませてしまうわけだ。



 1人寂しく、いただきます、と手を合わせる。時計を確認してから、目玉焼きに醤油をかけていると――




「おはよー、……はやいね」




――別室から1人、現れる。目を見開き、醤油を置き、箸も置き、それから徐に席を立って、いただきますと同じように手を合わせた。



「ごめん! 同棲始めたの忘れてた、自分の分しかご飯作ってない!」



 うっかりしていたどころじゃない。本当に、今の今まで忘れていた。頭から抜け落ちていた。念願の同棲が、昨日から始まったというのに、寝て起きたらすっかりさっぱり忘れていた。



「大丈夫だよ、むしろ朝ご飯作ってて偉いね。俺は自分で何とかできるし気にしないで食べててよ」



 ふわっと笑い、私の頭に手を置く。そういう優しいところ、敵わないなぁと笑みを溢して座り直した。


 目玉焼きを口にしながら、台所の物音を聴く。これからは、1人だった習慣が2人用に変わっていくんだと、どうにもワクワクした。




 そんな朝の始まりのこと。

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