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誓いを背に
例え、この世界に隕石が落ちてきて
この世界の何もかもが崩れ去ってしまっても
私たちだけは
永遠に変わらないでいよう。
*
そう誓いあった、過去の戦友がいた。
長い長い戦争の中を生き延び、迎えた朝日に共に涙した、戦友がいた。
嬉しそうに無邪気にはしゃぐ、年相応の姿は朝日よりもずっと眩しい、戦友がいた。
戦友は、誓いを守ることなく逝った。
呆気ない最期だった。あぁ、人とはこんなにも簡単に、脆く壊れ、死んでいくのだとまざまざと思い知った。
痩せこけた頬も、窪んで落ちそうな目も、枯れ枝のような手足も、目に焼き付いて離れない。よく覚えている。
永遠に変わらない、なんて無理だったんだ。
墓の前。冷たい墓石に触れ、さらりと撫でた。
(お前だけ、こんな姿に変わってしまったな。なのに私は変わらないままだよ)
背を向けて、別れを告げた。
変わりたいような、変わりたくないような、そんな複雑な気持ちを秘めたまま、私はひとまず、前に進んだ。




