表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
喫茶『Stern』 〜 月曜日の珈琲 〜  作者: 夏川 流美
36/60

誓いを背に


 例え、この世界に隕石が落ちてきて


 この世界の何もかもが崩れ去ってしまっても


 私たちだけは


 永遠に変わらないでいよう。








 そう誓いあった、過去の戦友がいた。



 長い長い戦争の中を生き延び、迎えた朝日に共に涙した、戦友がいた。



 嬉しそうに無邪気にはしゃぐ、年相応の姿は朝日よりもずっと眩しい、戦友がいた。







 戦友は、誓いを守ることなく逝った。






 呆気ない最期だった。あぁ、人とはこんなにも簡単に、脆く壊れ、死んでいくのだとまざまざと思い知った。


 痩せこけた頬も、窪んで落ちそうな目も、枯れ枝のような手足も、目に焼き付いて離れない。よく覚えている。




 永遠に変わらない、なんて無理だったんだ。




 墓の前。冷たい墓石に触れ、さらりと撫でた。



(お前だけ、こんな姿に変わってしまったな。なのに私は変わらないままだよ)



 背を向けて、別れを告げた。


 変わりたいような、変わりたくないような、そんな複雑な気持ちを秘めたまま、私はひとまず、前に進んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ