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喫茶『Stern』 〜 月曜日の珈琲 〜  作者: 夏川 流美
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特別なのは私じゃなくても

「女の子と2人で出かけるのって初めてだから、すごく楽しい」



 そう言って無邪気な、無垢な笑顔を浮かべてくれる相手に、曖昧な表情しかできなかった。信号が変わり走り出すバスの中で、逃げるように目線を外へと逸らす。



 私は彼と違う。男性と2人で遊びに出掛けることなんて日常茶飯事だし、一泊旅行にだって行く。だから、異性との出掛けに特別感は何も感じないし、それによって嬉しいと思うこともない。



(私なんかが2人きりの初めてで良いのかな)



 脳裏に過ぎる言葉に目を伏せた。多分、私のおかげで嬉しいわけじゃないんだろうと、どこかで知っていたから。



 私が女だから嬉しいだけ。女だから特別に感じるだけ。女だから初めてなだけ。


 恐らく、それ以上でも以下でもなくて、例えば、彼と初めて出掛けたのが他の女性だったとしても、彼は同じことを言って、同じような反応をしたのだと思う。





 それなのに、そんな私の気持ちを知らない彼の横顔を見て思う。



 私しか知らない人のままでいれば良い、と。

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