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VRMMOで始めましたモフモフ生活  作者: 水無月コトキ
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ウサギ狩り

 昨日に引き続いて[EGO]にログインしていたヒュプが最初にしたことは、クロムの召喚であった。

 ヒュプはクロムの小さく丸いをぎゅっと抱き締めて、モフモフを堪能する。


「モフモフエナジー補充完了!今日も頼むぞ、クロム~」

「ホ~!」


 町から出て、やってきたのは昨日の草原。

 今日の目標は[ドラウジネス]という竪琴(たてごと)と交換するため、ツノラビットの角を20本集めること。


「よーし!クロム、索敵お願い」

「ホー!」


 クロムは羽ばたくと空に舞い上がり、その鋭い目で地面を俯瞰する。

 ほんの数秒間で獲物を見つけたようにある方向に向けて鳴き声を上げると、低空に下りる。


「もう見つけたか、流石クロム。行くぞ!」

「ホー!」


 50メートルくらい進むと、ある小さな丘になっており、そこを登る。

 丘の下を眺めると、ピョンピョンしているツノラビットの群れが視野に入り込む。


「タスクが言ってた、そのウサギの行動パターンはリンク。つまり一羽を攻撃すると全員が反撃をする。ん…クロム一人じゃキツイな」


 ウサギたちに見つからないように、地面に座り込んだ。

 その柔らかく長い草を触ると、あるアイデアが浮かぶ。

 そして昨日習得していた[催眠魔法]の説明のパネルを浮かべる。


 ――――――

 [催眠魔法]

 LV1:子守唄(こもりうた)

 敵を10秒間睡眠状態にさせる。睡眠状態の敵が攻撃を受けるとすぐ目が覚める。

CD(クールダウン):2秒

 成功率:(プレイヤーLV+スキルLV)/対象LV×25%

     対象はボスの場合に成功率は通常の20%

 ――――――


「ふむふむ、ウサギのレベルは確か1だった。俺のレベルプラススキルレベルの結果は4。つまり成功率は1…100%だ。これ、行けるぞ!おいで、クロム」


 ヒュプはクロムを呼んできて、作戦を教える。


「いいか、まず空である程度距離を保って、五羽目のウサギが眠りに就いたら、すぐに残りの相手を奇襲するよ」


 クロムは分かったようにその翼で自分の胸を叩く。


「それ、任せてっと意味だよね。流石クロム、頼むぞ!」

「ホー!」


 クロムは鳴き出して空を飛んで行く。ラビットたちの上空で待機する。

 ヒュプはそのまま地面に伏せ、長い草むらを這ってラビットたちにに忍び込んでいく。

 鬱蒼(うっそう)とした草むらが小柄の体を完璧に隠したため、ヒュプは順調にラビットに接近していった。

 ラビットたちの注意を引かないように、ヒュプはできるだけ声を小さくしてスキルを呼び出す。


子守唄(こもりうた)


 キラキラと薄い霧が現れ、一羽のラビットを覆う。

 するとラビットが眠気に誘われたように、スヤスヤと地面に腹ばいになる。


「やった、次、子守唄(こもりうた)


 一羽目が成功し、ヒュプは直ちに隣のラビットに催眠魔法を施す。

 成功率が100%なら、予想外の状況が起こるはずがないのだ。


「ホー!」


 五羽目のラビットが寝た瞬間、ずっと空で待機していたクロムは猛烈な勢いで低空に下り、得意の風魔法をラビットたちに撃ち込む。

 ツノラビットは野獣系のモンスターであるため、昆虫系のスズメバチのように一撃で倒せなかった。

 なぜならば、飛行系のクロムは昆虫系に強い一方で、野獣系に弱いからだ。

 風刃を受けたラビットが直ちにジャンプしてその鋭い角で反撃する。リンクの特性によって、他のラビットも一斉にクロムに攻めてくる。

 クロムは空を飛べる優勢を利用して、慎重に攻撃を躱しながら、風魔法で敵を撃つ。


 と同時に、五羽のラビットを牽制しているヒュプには最大のピンチが訪れていた。

 それは、残りのMPでは催眠魔法を二回しか使えないのだ。

 レベルアップしてMPを回復することが先か、それともMP切れが先か。

 答えは前者だ。


 クロムが五羽目のラビットを倒した瞬間、まるで希望の光みたいなレベルアップの音が

ヒュプの耳に届く。


『レベルが4に上がりました』

『従魔:クロムのレベルが4に上がりました』

『ツノラビットのカードを獲得しました』


「やった!クロム、こっちも頼むぞ!」

「ホー!」


 激しい戦いはヒュプとクロムの完勝として終止符を打つ。

 ヒュプはひとまず自分とクロムのステータスを確かめるため、パネルを空中に浮かべる。


 ――――――

 名前:ヒュプ 種族:半神族 ジョブ:封印術師

 レベル 3→4

 体力11 筋力3

 魔力16→17 精神19→20

 敏捷13→14 器用14

 幸運8


 スキル:[神化][従魔の盟約LV1][召喚LV1][従魔強化LV1][手加減LV1][催眠魔法LV1]



 名前:クロム〈フクロウ〉種族:飛行系 属性:風、氷

 レベル 1→4

 体力7→10 筋力6→7

 魔力14→19 精神13→18

 敏捷11→14 器用11→14


 スキル:[索敵][ウインドカッターLV1→LV2][アイスニードルLV1]

 ――――――

「新しいスキルはないか…おおお!クロムの風魔法がレベル2になった!これから頑張ってね」

「ホ~!」


 続いての仕事は倒したモンスターからドロップした素材を集めるのだ。ヒュプ自身でしなければいけないことなのだ。


「毛皮3枚ツノ5本、50%ぐらいのドロップ率か。でも、カードを貰った最高だ!あれ、これは?」


 ヒュプは草むらの中から白い毛でできた御守りを拾いあげる。


 ――――――

 [白兎ノ御守り]

 種類:装飾品 レア度:3 スロット:1 装備:ALL

 白ウサギの毛で作った御守り。

 幸運+30。

 ――――――


「レア度3って、スーパーレア装備じゃない。やった!そして、幸運がプラス30って、昨日タスクが言ってた。幸運はクリティカルヒット率を決める。そして、高いと素材やレア装備のドロップ率も高くなる、これを装備したら、きっともっといいものをドロップするぞ!でも、何で灰色のウサギが白兎ノ御守りをドロップするの……まぁいいか。そうだ、図鑑登録も忘れてはいけねぇ」


 [白兎ノ御守り]を装備して、ヒュプはラビットと昨日鑑定したハチのカードを一斉に登録した。


 ――――――

 ツノラビット

 種族:野獣系 属性:無 亜種:無い

 体力★★★

 筋力★★★☆

 魔力★

 精神★

 敏捷★★★

 器用★★☆

 始まりの町の周りに棲息するウサギ型のモンスター。

 素早く移動しながら鋭い角で敵を攻撃する。

 行動パターン:リンク

 ドロップ:[ツノラビットの角]50%、[ウサギの毛皮]25%、[白兎ノ御守り]0.1%、[ツノラビットのカード]1%


 [スロット装備効果]

 位置:武器 幸運+3



 スズメバチ

 種族:昆虫系 属性:毒 亜種:有り

 体力★

 筋力★★★★

 魔力★

 精神☆

 敏捷★★★★☆

 器用★★★

 森や花畑に棲息する昆虫型の攻撃と敏捷の特化型モンスター。

 隠蔽スキルを使い、毒攻撃で奇襲する。

 行動パターン:アクティブ

 ドロップ:[?]50%、[?]25%、[スズメバチのカード]1%


 [スロット装備効果]

 位置:武器 通常攻撃に毒(小)を付与する。

 ――――――


「うん、ハチはあんまり欲しくないな。ウサギは…その小さくモフモフの体に顔を埋めたいな~」


 モフモフの妄想にふけっているヒュプの顔を目にすると、クロムは潜在的な危機を感じ取ったように目つきを鋭くする。まるで何か企んでいるようだ。


「続けてやっていこう!ウサギにちょっと手加減してくれよ、クロム~」

「ホ~!」





 ほとんどのプレイヤーは町から少し離れた場所へモンスターを狩りに行ったため、人が少ない南の草原はほぼヒュプに独占されていた。

 1時間だけで、頼まれた20本の角を集めた。

 しかし、クロムはまるで気合が入っているように、氷魔法と風魔法を組み合わせて、全てのラビットを一撃で倒していた。

 封印のチャンスが全く訪れなかった。


「おかしいね。さっき一撃で倒せなかったのに。ん…多分レベルアップしたクロムが強くなったな。まぁ、もう十分だぞ。クロム、そろそろ帰るよ!」

「ホ~!」


 ヒュプとクロムは楽しそうに町へ帰っていく。

 あと僅かで着く時、隣の草むらから一羽のラビットが跳んで来た。


「ホー!」


 クロムは直ちに氷魔法でラビットを凍結させ、引き続き風魔法を撃ち込む。

 この攻撃でさっきまでずっとラビットを一撃で倒していたが、今回だけ予想外の展開が起こった。

 それは、ラビットが死んでいなかったのだ。


「やった、封印!」

「ホー!?」


 クロムはビックリして鳴き声を上げると同時に、ヒュプは封印カードを空に上げる。

 勿論、その結果はラビットが抵抗せずに魔法陣に吸い込まれていったのだ。


『封印が成功しました』

『[ツノラビット]の召喚カードを獲得しました』


「やったぜ!モフモフゲット!早く召喚しよう!」

「ホー…」


 ラビットを召喚しようとする時、クロムは空から下りてまるで何かを乞うようにヒュプを見ている。

 その哀れな眼差しを目にして、ヒュプはさっきのことを思い出してから、カードを収める。


「クロムはあのウサギが嫌いなの?」

「ホー!」


 クロムはその白く丸い頭で頷いた。

 ヒュプは直ちにクロムを抱き締めて、優しく撫でまわす。


「クロムの気持ちに気付かなかった。ごめんなさい!そのウサギはもう召喚しないぞ」

「ホ~!」


 クロムはそれを聞くと、嬉しそうな鳴き声を上げて、ヒュプの懐に甘える。


「アハハ~!くすぐったいよ。じゃあ、そろそろ帰ろう」

「ホ~」


 その時から、ヒュプは次の従魔はクロムにも満足してもらえるモフモフにしようと決心した。


この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。

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