悪友タスク
総合評価100ポイントを達成したため。
今日は二話投稿します。
二人は祐と約束した彫像前の広場に行き着いた。
そこに滞在するプレイヤーが先ほどより少ないのを目にすると、ヒュプは少し安心した。
「良かった。さっきの人混みは本っ当にビックリしたんだ」
「まぁ、サービス初日だもの、今プレイヤーたちは町の外へモンスター狩りに行ったんだよ。ほら、あそこで電柱みたいに立ってるバカみたいな奴が祐だ」
タナの指した方向を辿って見ていくと、革製の軽鎧を纏った腰に片手剣をぶらさげている茶色短髪の男性ヒューマンがヒュプの目に映る。
「タスク!こっち」
男はタナたちに向かって歩いてくる。
「祐遅いぞ!」
「わりい、ちょっと遅くなっちゃった。[EGO]は凄いだろう?うわ――っ!!!」
薫とそっくりの金髪幼女が目に入ると、男は驚愕した顔をする。
ヒュプの顔を睨んで、問いかける。
「お、お前、薫だよね?」
「当ったり前だろう。俺の顔さえ覚えられないのかよ!」
「いや、そんな問題じゃねえ、その格好どう見ても女だぞ!お前、どうやって性別変更できないゲームで女になっちゃったの!?」
幼馴染みの祐にそう言われると、ヒュプは少し拗ねた様子で呟く。
「それは……いろいろの原因で。好きで変わったんじゃねえ!せっかくゲームをやったのに、背が伸びるどころか、縮んでしまってもう懲り懲りだよ!」
「いや、そんな説明じゃ俺全く分からんぞ」
「あたしが説明しよう」
タナは薫がヒュプちゃんになった経緯を祐に教える。
続いて顔に近づき、目を細めて耳元で低く抑えた声で話す。
「お兄ちゃんに手を出したら、殺すよ~」
「そんなことするもんか!」
少し距離があったので、ヒュプは二人が何をしていたのか全然わからない。
二人がもしかしたら唯ならぬ関係かもしれないと誤解した。
「お二人とも仲がいいな!」
それを聞いた二人は振り返り、キリッとした目つきで一斉に声を上げる。
「「よくねぇ!!!」」
「うわぁ!ごめん」
「全く、事情は分かった。まずフレンド登録しろ!」
『プレイヤー名:タスクからフレンド申請が届きました。[承認][拒否]』
「へーー。祐のPNもタスクか。つまない」
「いや、俺の方がシンプルだ!お前らの名前は派手過ぎるぞ。どれどれ、ヒュプ?」
「そう、お兄ちゃんはヒュプちゃんよ!あたしとお似合いよね」
タスクは真剣に考える顔をして、
「タナとヒュプってタナトスとヒュプノスか…」
すると、表情が不意に変わって、気持ち悪く笑い声を上げる。
「もし俺が『ハデス』とPNを変更したら……ほほ、さぁご主人様と呼べ!」
「「呼ばねぇぞ(よ)!!!」」
「ドゴッ!」
叫び声と共に、二人の拳骨が同時に鳩尾にクリティカルヒットして、タスクは体勢が崩れるようにうずくまる。
ヒュプはその苦しそうな表情を目すると、タナに問いかける。
「こいつ、何か…痛そうにしてるけど。ゲームで、痛みを感じられるの?」
「うん、感覚同調という機能がある。人間の五感が全て同調できるよ。勿論、痛みが嫌いならオフしてもいいけど、おすすめしない、つまらないもの!」
「うん、わかった。タスクの奴、さっきから全く動かないけど、まさか俺たちのパンチで死んだと言わないよね」
「いいえ、町の中じゃ絶対に殺されないよ。タスク、大丈夫?」
二人が腹を押さえるタスクを助け起こそうとしたところに、祐は復活したように急に立ち上がった。
「あんな軟弱なパンチでよく言うよな。でも、俺の腹筋はそう簡単に破れないぞ!」
「ほほ~じゃ、もう一発受け取れ!」
「わりい!さっきはすまなかった。今後はよろしくな、ヒュプ」
タスクはヒュプの肩に手を差し伸べる。
さっきからずっとタスクを警戒していたクロムは翼でその手をピシッと叩き落とした。
続いて「私のご主人に手を出すな」と示すように大声で鳴き出す。
「ホー!!!」
「いってぇ!何をするつもりだ。この鳥…うわ!クロスケじゃない!」
「そんなだらしない名前を呼ぶな、この子はクロムだ!ねぇ~クロム~」
「ホ~!」
クロムの反応を見て、タナは安心したかのように笑みを浮かべ、
「あたしそろそろ行かないと、何かあったらメールで連絡しよう」
「うん、分かった」
「ヒュプは安心して俺に任せろ!」
タナは自信満々なタスクを無視して、クロムの雪玉のように白く丸い頭を撫でる。
「ヒュプちゃんを頼むよ」
「ホ~!」
「こら!俺を無視するな!」
タナと離れると、ヒュプが尋ねる。
「タスクはβ版の仲間と会いに行かないで大丈夫?」
「それは大丈夫。みんなとは明日会う約束だ。ところで、お前行きたいところあるか?」
「えっと、戦いのやり方はもうタナに教わった。いきなり行きたい場所って言われると……」
ヒュプは少し考えると、さっきの[?]カードを取り出す。
「このカードを鑑定して欲しい、店は何処にあるかわかる?」
「鑑定か、分かった。じゃあ、商店街に行こう!知り合いの店を紹介するぜ!」
「サンキュー!」
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