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VRMMOで始めましたモフモフ生活  作者: 水無月コトキ
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初封印

 樹木が茂った林で、二人はゆっくりと歩を進める。

 日光が樹木の間に差し込んで、ヒュプの肌をキラキラと光らせている。


「暖かい~、モフモフの子は何処にいるかな~」

「全く、ヒュプちゃんはまるで子供みたい」

「失敬な!俺は兄だぞ!そして…」

「今はあたしの方が高いよ。ヒュプちゃん~」

「るっせえ!」


 タナは笑いながらヒュプの体を見つめて、ふと思いつくことがあった。


「その身長、まさかドワーフを選んだかしら?」

「えっ!マジ!ステータス!」


 ヒュプは慌てふためいてステータス画面を呼び出す。


 ――――――

 名前:ヒュプ 種族:半神族 ジョブ:封印術師

 レベル 1

 体力10 筋力3

 魔力13 精神16

 敏捷11 器用12

 幸運8


 スキル:[神化][従魔の盟約LV1][召喚LV1][従魔強化LV1]


 装備:

 頭:[空欄] 

 体:[初心者のジャケット]

 左手:[初心者のモンスター図鑑]

 右手:[空欄]

 足:[空欄]

 靴:[初心者のクツ]

 装飾品[空欄][空欄][空欄]

 ――――――


「へー~、あたしと同じ半神族を選んだよね。流石ヒュプちゃん!」

「俺は誰だと思ってんだよ?そして、ちゃんを付けるな」

「いやだ!ゲームの中であたしはヒュプちゃんの姉よ。早くお姉ちゃんって呼んで」

「イーーーーーッヤ!」




 和やかな雰囲気が流れていた中。

 木の葉を掻き分ける音と共に、ある客が不意に訪れた。


「ホー!」


 二人の前に現れたのは、全身が灰色の羽に覆われた縫いぐるみのような丸くモフモフのフクロウであった。

 フクロウの姿が目に映ると、タナは即座にビックリして叫び出す。


「クロムちゃんだ!」

「色が違うよ!俺のクロムならもっと可愛いぞ!でも、この子もすげー可愛いな!」


 そう、このフクロウは薫の縫いぐるみ「クロムちゃん」とそっくりだった。

 ヒュプは眉の辺りに興奮の色を見せて、声を上げる。


「もう決めるぜ!初めての従魔はこの子だ!」

「オーケー!それじゃ、まずはカードを取らないと!」


 タナは気合を入れて、二本のダガーを取り出す。

 カードがないと封印できない。つまり、和解の道など最初から存在しない。

 戦闘開始。






「ヒュプちゃん、後ろに下がって!」

「うん、分かった、気を付けて」

「心配無用だよ、この程度の敵ならちゃっちゃと倒して見せるよ!」


「ホー!」


 フクロウは低空に下りると、その鋭いくちばしでタナに向かって攻めてくる。

 タナはそのまま立って攻撃を待ち構えている。

 クチバシは空を裂きタナに突き刺さる。

 しかし、突き刺されたはずのタナの姿は陽炎のように儚く消えていった。


「どう~、あたしを殺したと思った?」

「くらえっ!」


 声が響くと、虚空がぶれてタナが姿を現すと、

 ダガーをフクロウの体に突き刺す。


「ホ…」


 フクロウは最後の声を出すと、HPがゼロになって消えていた。


『フクロウのカードを獲得しました』


「よーし!ヒュプちゃん、カードがドロップしてきたよ!」

「やったぜ!流石俺の妹だ!ていうか、相変わらず無慈悲だね。色が違ったけど、可愛いモフモフを殺して心の痛みを感じないか!」

「はいはい、ごめんね。でも、もう殺す必要はないよ。早く登録して捕まえに行こう!」


 ヒュプはタナの差し出したカードを受け取る。それを使うと手元の図鑑に飛んでいく。

 図鑑を開くと、フクロウの写真が付いた説明が目に映る。

 ――――――

 フクロウ 

 種族:飛行系 属性:風 亜種:有り

 体力★☆

 筋力★

 魔力★★★☆

 精神★★★

 敏捷★★☆

 器用★★☆

 始まりの町の周りの森に生息する猛禽類。索敵と牽制を得意する。

 木の枝で待ち伏せて音もなく飛び、風魔法で奇襲する「風の忍者」。

 行動パターン:アクティブ

 ドロップ:[?]50%、[?]25%、[フクロウのカード]1%

 

 [スロット装備効果]

 位置:頭 魔力+2%

 ――――――


「へー。こいつの力がこんなに弱いって知っていたらさっきはそのまま受ければよかったのに…」

「でも、この子は魔法が得意だそうだ!さっき魔法を撃っていなかったのは本当に幸いだったな。ところで、亜種って、レアものなの?」

「そうよ。普通より成長率が高い、そして一部のモンスターがダブル属性を持つらしいよ!」

「おおお!亜種ってどんな色かな、まさかクロムと同じ?もうワクワクするぞ!」

「そう簡単に会えないわ。β版の知り合いはあるモンスターの亜種を探すため一週間掛けてたよ」

「えええ!一週間だと!でも、諦めちゃダメだぞ!」

「全く、ヒュプちゃんは思ったより楽観的だね。そう言えば、さっきの戦いでレベルアップしたよね」

「そう言われたら、さっきは確か「ディンッドン」の音を聞いたぞ!」

「それはレベルアップだ。早く確認して、新しいスキル覚えるかもよ」

「おおお!分かった、ステータス!」


 すると、ヒュプの前に半透明のパネルが浮かび上がる。

 ――――――

 名前:ヒュプ 種族:半神族 ジョブ:封印術師

 レベル 1→2

 体力10 筋力3

 魔力13→14 精神16→18

 敏捷11→12 器用12→13

 幸運8


 スキル:[神化][従魔の盟約LV1][召喚LV1][従魔強化LV1][手加減LV1](NEW)

 ――――――


「手加減って?」

「そう、このスキルでモンスターを攻撃すると、たとえ致死量のダメージを与えても絶対1HPを残すよ!」

「なるほど、封印専用のスキルだ!早くモフモフを……」


「うわ――っ!」


 ヒュプはそう言いながら顔を上げると思わず声を上げる。


「ヒュプちゃん、何を急に!」

「上だ、クロムだ!」


 タナは急いでヒュプの指がさした方向に沿って見ていく。

 すると雪よりも白いフクロウは木の枝に止まって、怒りの目つきで二人を睨む。怒った顔つきで目をギラギラさせる。



「亜種だ!そして本物のクロムちゃんだ!」

「この子欲しい!」

「当たり前だよ。せっかく亜種が出たんだから、そのまま逃がすわけないよ!」

「に、逃げられちゃうの!?」

「そう、亜種は攻撃を受けたらすぐ逃げるよ。心配はいらない、あたしに手があるよ」


 タナはそう言いながら、慎重にフクロウに少しずつ近づいていく。

 タナが攻撃範囲に足を踏み入れると、フクロウはすぐ翼を開いて、激しい勢いで急降下していく。


「ホー!」


 と鳴き出すと氷の礫が射出され、タナに飛んで来る。

 タナは迅速にしゃがみ込み、攻撃を躱したが、フクロウが既に目に前に飛んできていた。


「よーし、引っ掛かってきた!鮮血の牢獄(ブラッディプリズン)!」


 タナの声が上がると共に、暗赤色のオーラが地面から飛び上がり、縄のようにフクロウをがっちりと縛っていた。


「おおお!凄い戦い方だ!」

「感心してる場合じゃないよ。早く攻撃しなさいよ、その新しいスキルで」

「えっ!分かった」


 本を持ってフクロウに近づいたヒュプ。

 縛られて動かないが、その殺気立っている目つきが全く変わらなかったフクロウ。

 ヒュプはそのモフモフの顔を優しく撫でて、言う。


「ごめんな。ちょっと痛いかも、我慢してください!ごめんなさい!……」

「ホー!」


 ヒュプは謝りながら、ぎゅっと目を閉じてその硬い本でフクロウの頭に殴りかかる。

 図鑑は物理攻撃力がないので、僅か3ポイントの筋力で数回殴った末、フクロウのHPバーが1になっていた。


「目を開けて、この子はもう瀕死状態になった。早く封印を」

「やっと終わったか、ごめんね、モフモフちゃん、すぐ終わるよ。封印!」


 地面に魔法陣が輝き、フクロウを中へ吸い込んでいく。

 ウサギの時と違って、フクロウは光の粒になって魔法陣に吸収されていた。


『封印が成功しました』

『[フクロウ・亜種]の召喚カードを獲得しました』


「やったぜ!モフモフゲット!」


 ヒュプは顔に満足げな笑みを浮かべて、跳び上がった。


「一回だけで亜種を封印できるのは初めて見た、流石ヒュプちゃん、早く召喚してみて!」

「うん、分かった。出でよ、モフモフ!」


 召喚カードを持って手を上げると、地面にさっきと同じ魔法陣が現れて光が輝く。

 ある白い影が現れると、そっと閃くと消えていた。


「えっ、モフモフの子は…何処に行っちまったんだ?」


 ヒュプは即座に慌てふためいて、周りを見回って姿を探す。


「何で俺を見てるんだよ!早く一緒に探してくれ!」

「分かってるよ。もう、どこに行っちゃったのよ!」


 タナはそう言いながら頭を上げると、怒りに燃えるようにヒュプを睨むフクロウが目に映る。

 即座に注意を喚起しようとしたが、フクロウが既に激しい勢いでヒュプに飛んできていた。

 

「危ない!早く避けて!」

「えっ!」


 それはもう手遅れ。ヒュプはフクロウに胸を攻撃されてしまった。

 ヒュプは痛みを耐えて、フクロウを優しく抱き締める。

 しかし、フクロウの目つきはまださっきと同じ、怒りに燃えるようにヒュプを睨む。


「うわぁ!この子恨みを抱いてるよ!」

「るっせえ!あんな酷い目に遭うと、きっと怒るぞ!」


 ヒュプは優しくその白いボディを撫で回しながら、謝罪を口に出す。


「ごめんね、痛かったでしょう。もう大丈夫だぞ」


 フクロウは理解したように怒りの炎が消えて、その柔らかい羽先でヒュプの頬を撫でていく。


「アハハハ~くすぐったいよ。もう俺のことを許してくれたよね!」

「ホ~!」


 フクロウは嬉しい鳴き声をあげ、空を飛んで楽しんで舞い踊る。

 続いてヒュプの肩に降りて、そのモフモフの顔で頬をくっつける。


「この子はヒュプちゃん好きよね。そうだ、早く名前を付けて」

「それは当たり前だろう。この子の名前はクロムだ。よろしく、クロム!」


 フクロウは満足しているように、両翼を開いて冴えた鳴き声をあげる。


「ホ~」


この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 兄弟の掛け合いや仲の良いところは見ていてほっこりしました。VRMMOということで、現実とは違う世界感を描写するのは中々難易度が高いことだとは思いますが、頑張ってください! [気になる点] …
[一言] 最初のモンスターはフクロウ、頭の上で待機ということはなかなか自分では見られないということだから対策が必要かな。
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