森での激戦
初心者キラーを確実に片付いた後、もうすぐ森の奥に行き着くヒュプにとって、新たな難関に訪ねられた。
それは、森の中心部に行われたプレイヤーたちの揉み合いが既に白熱化したのだ。
まだある程度の距離があったのに、見たことのない派手なエフェクトが既に次々とヒュプの視界に飛び込んでいった。
「うわぁ!あの技って強っぽい。まともに戦ったら、とても勝てないんだ。ちゃんと戦術を練らないと」
そう決めると、プレイヤーたちの目が互いの相手に引かれている間で、ヒュプはその小柄の体型の優勢で茂みの中を慎重に動いて身を隠しつつ、プレイヤーたち近づいていく。
ヒュプがここに来る途中で、クロムとフィユは得意の奇襲で数人の弓使いと魔法使いを倒したため、そこで互角している20人以上のプレイヤーは剣士や槍使い、そして格闘家などの近接職である。
ヒュプの目的はギリギリとプレイヤーの中心に近づいて、催眠魔法とクロムたちのコンビプレーで奇襲をかけるのであった。しかし、ハープの攻撃があと僅かで乱闘中のプレイヤーたちに届かれるが、既に茂みの縁に着いてしまった。
(クソ。ここまでか……油断は禁物だ。落ち着いて、俺)
ヒュプは直ちに別の戦術を考えている時、見たことのある人の姿が目に入る。
(あっ、あいつだ)
それは、前に岩山の山頂で[グリンブルスティ]カードの奪い未遂の三人のPKの剣士だった。彼は今、ちょうどサラサラの黒髪に中華風の空手をしている少女と戦い合っている。
少女は地面をしっかり踏み込んで、急に姿が消えていって、瞬きの間に、剣士の横に現れる。
「瞬動拳」
少女は拳をしっかりと握って、疾風の如く右拳を剣士の脇腹に突き当てる。
「くわぁぁ、クソ!」
ダメージがまるで一点から全身へと拡散していったように、体勢が崩れた剣士は地面に膝をついて、片手で腹を押さえる。
(おおお!あれが格闘家か!?すげカッコイイ!)
(グォ!)
瞳がキラキラと光ったヒュプに対して、クロムと一緒に木の上に隠れたフィユはそのふにふにした肉球を鉄拳のように握って、嫉妬したように口を膨らんで、「格闘なら私の方がもっと強いよ!」と示すように拳を空振りした。
(ホ…)
クロムははぁと溜息をつくと、「あいつは悪気がない、許してくれ」と宥めるようにその真っ白な翼でフィユの肩を叩いた。
苦労したクロムに対して、フィユは「分かった、あいつはいつもこうだ。あなたも結構疲れたね」と言いたげそうに少し頷く。
(ホー)
(グォ)
「安心して、一撃で楽にしてあげる」
少女はそう言いながら、武術の構えを取る。
しかし、ヒュプは剣士の顔から妙な笑みを見取る。それは決してもうすぐやられてしまう人間の顔でないと思う。前のことを思い出すと、即座にクロムに「あいつの仲間はきっとこの辺りに隠れてるんだ。早く索敵スキルで探して」の手まねをする。
ヒュプの思った通り、剣士の仲間としたPKの弓使いと魔法は既に武器で少女の背中を狙っている。彼らの顔から見取ると、物凄い威力の魔法とスキルは既に準備完了したそうだ。
「ホー!」
「グォ!」
危機一髪の時、クロムに射出された氷の槍が弓使いの腹をザキュと突き刺された。続いて、空から勢いよく跳び蹴りしてくるフィユはパッチリと魔法使いの首筋に蹴りをつける。
「「くわぁぁぁ!」」
急所がクリティカルヒットされた二人は驚愕の色さえ浮かべないうちに、光の粒子となって消えていった。しかし、鋭い矢と風の刃が既に放たれ、空気を切り裂いたほどスピードで少女の背中へと飛んで行く。
「危ない、避けろうぅぅ!」
切羽詰まってしまう時、人を助けため、ヒュプは隠れていることが全く忘れ、大声で注意を喚起した。
そのおかげで、少女は即座に地面を蹴り、ギリギリやられる寸前にピョンと宙を跳んで、その拳から凄まじく赤い闘気を放ち、一瞬だけ3倍に増幅していった。
「はぁー!気功弾」
そう叫びながら、その拳を地面に振り回すと、気の塊が拳から発射され、砲弾のように勢いよく剣士に飛んでいった。
赤いエフェクトが剣士の体に当たった瞬間、ドウンと爆発の音が響くと共に、剣士がそのままに始末されていった。
しかし、ヒュプの叫び声がその場にいたプレイヤー全員の耳に流れ込んでしまった。少女を除いた乱闘しているプレイヤーたちは急に手を止め、周りを眺めると、戦っている少女と剣士の姿、そして衝撃的なことが目に飛び込んだ。
それは、死因不明で消えていく魔法使いと弓使いだったのだ。
先の奇襲が完璧に成功した後、クロムは即座にサイコキネシスでフィユを木の上に移動させて、一緒に隠れながら、ヒュプの次の指示を待っている。
プレイヤーたちにとって、これは隠れた誰かにやられた以外の可能性が全くなかった。
そもそも、何時か闇の中に隠れている誰かにやられてしまうリスクを冒しながら争う人がほとんどいないだろう。
故に、皆は目線を全て大きな音が出ていた茂みを取り囲んでいった。
このような絶体絶命な状況は誰にとっても、チェックメイトと言われると同じだろう。
しかし、この嬉しい誤算のおかげで、二十数人のプレイヤーは皆ヒュプの攻撃範囲に足を踏み入れた。
(この距離なら、あれが使えるかも)
ヒュプはそう思いながら、[禁断の魔力]で[グリンブルスティ]カードの範囲攻撃の能力を身に纏う。
ハープを抱いて、弾き始めようとした時。
「さっさと出なさい、卑怯者!」
「オノレー!我々を図ったつもりだな!姑息な真似を!」
そもそも、バトルロワイアルはどんな手段を取っても、確実に敵を倒せばいいのだろう。
ヒュプは奇襲の戦術を想定した時、すでに人々に悪口を浴びせる覚悟を持っていた。
しかし、今の状況はどう見ても、知らない人の救いだろう。
そのような屁理屈でひどい目にされたヒュプは少しずつ腹立ち始め、じれったいという目つきでプレイヤーたちをジーっと睨む。
(いいんだ!俺を怒らせた罪を存分に味わってくれ!)
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