初心者キラーをやっつけよう!
自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。
大変申し訳ございませんが、卒論と大学院出願の締め切りが迫られてしまうので、
一週間だけ毎日投稿を辞めさせて頂きたいと思います。
では、改めお詫び申し上げます。
これからもよろしくお願いします。
木立が密生した森は、姿を隠して敵を狙撃する弓使いにとって、絶好の場所だった。
一人で入るという行為は決して良識とは言えない。
ここに足を踏み入れた瞬間、ヒュプは既に数人の弓使いに見つけられていた。
彼らは強いプレイヤーを無視して、ヒュプのような初心者を一人ずつ射殺する初心者キラーである。
彼らは殺す気になれば、瞬きの間にヒュプを射殺できる。彼らはそう思うのだ。
しかし、まるで何かを企んだかのように、誰もヒュプに手を出していなかった。
なぜならば、森のふちで人を射殺したら、すぐ他のプレイヤーに気付かれる。
そうすると、いくらゲーム歴がゼロの新米プレイヤーと言っても、易々と森に足を踏み入れないだろう。
残念ながら、彼らのやり方について、ヒュプはもうタナに聞いていた。
では、イッツショータイム宣言をしたヒュプはというと。
まるで先客たちの存在に気付かなかったように、天真爛漫な幼女みたいに歌を歌いながら、軽く拍子をとるような歩き方で森の奥に向かっていく。
前に50メートルほど進むと、ヒュプはわざと傍の草むらを指して、大声で話す。
「よーし~!ここに隠れて、次の人を狙撃しよう!」
(オイオイ、あの嬢ちゃんの話、聞いたか?)
(面白れぇ。いいぞ、ガキが草むらに入ったら、すぐ本物の狙撃を教えるぜ)
ヒュプはそう言いながら、二枚のカードを重ねて天に向けて突き出す。
「出でよ!クロム、(フィユ)」
妙なのは、クロムの名前を呼んだ後、わざと声を抑えてフィユを呼ぶのだ。
すると、同じ場所で完全に重なった二重の魔法陣から二つの影が現れる。
一つは目に見えないスピードで隣の草むらに飛び込んでいった。
もう一つは真っ白な翼を広げて、ふわりとヒュプの肩に飛んでいった。
「ホ~」
(使い魔?索敵つもりか!そうはさせないぞ……)
(いや、待ってくれ)
(お前、なんのつもりだ?)
(あのまるいだるまみたいな鳥が攻めてくる時にやろう!ガキの前で可愛い鳥を殺して、その絶望を充分に味わわせてから殺せばいいぞ!)
(お前、ほんと性格悪いな……まぁ、こんな嬢ちゃんに何もできるはずがない)
こうして、彼らはクロムを無視して、ヒュプとクロムをジーっと凝視する。
勿論、既に草むらに忍び込んだフィユのことに全然気づかないのだ。
ヒュプは優しくクロムを撫でながら、目線を慎重にフィユがいる草むらに移していく。
「よしよし~」
続いて、クロムの耳元にこそこそと声をする。
(クロム、予定通り索敵を頼むぞ)
クロムはその白く丸い頭を小さく頷くと、周りをそっと見渡し始める。
この作戦の、唯一の不確定要素はクロムが敵の位置を完全に把握する前に、狙撃されてしまうことだ。そのため、ヒュプはいざという時は自分が草むらに入って、[スヤー]を使って敵の火力を引き寄せることに決めていた。
しかし、敵がクロムに対して行動を一切取っていないのは、ヒュプに絶好のチャンスを作りした。
ほんのわずかな時間で、全ての敵の位置を把握したクロムはその真っ白の羽先で誰もいない場所を指す。
ヒュプは小さく頷いて、両手で拳銃を真似して、その方向を狙う。
と同時に、クロムはサイコキネシスでフィユをある弓使いの後ろに移動させた。
(ほう、あのガキは何をするつもりだ?まさか拳銃で俺たちを殺すか?へへへ…!)
スナイパーたちの目線が全てヒュプに引かれて、剣ノ舞の赤いオーラを纏って跳び蹴りを放ってきたフィユのことに全く気付かなかった。
「バン~」
ヒュプの声が出した瞬間、一人の弓使いは脳後部の急所が何かにクリティカルヒットされたように、痛みが首筋から全身に伝わった。体勢が崩れて真っ逆さまに落ちていった。
ボキンという骨折りの音がすると共に、光の粒子となって消えていった。
(おい!あのガキは何をした!なんでそいつは死んでしまったんだ!)
(きっと自分のミスだ。ビックリさせやがって!おい、あの鳥はどこに行った!)
先ほど彼らが仲間の死で少し気を逸らした隙を突き、クロムは既に姿を隠していた。
(早く索敵を…!)
一人の弓使いは索敵のスキルを使おうとしたが、氷の槍にザキュと胸を突き刺された。
急いで木の下へ見ていくと、指で自分を指したヒュプの笑い顔が目に入った。
正体不明の幼女、それと死に対した恐怖によって、彼は消える寸前に大声で叫び出す。
「しまった!あのガキは変な魔法が使える!早く殺せ!」
もし彼らがすぐ索敵のスキルを使ってきたら、きっとクロムたちは難無く見つけられただろう。
しかし、彼らは死んだ仲間と同じ、緊張して全く落ち着かないのだ。
そして、仲間が消える前に最後の叫びで、彼らの最後の理性が崩れてしまったのだ。
このような時、恐怖が抑えられる唯一のものは、怒りだ。
「やろう!魔法使いだろうが従魔使いだろうが、プレイヤーを殺せばいい!」
彼らは怒号を発しながら、弓を構え、ヒュプに矢を放ち続ける。
待ち望んだ雨のような矢を見つめて、ヒュプは得意な笑みを浮かべる。
「よーし、やっと引っ掛かった。スヤー~」
数人の弓使いが一斉に放つ怒涛の嵐のような攻撃を受ければ、高レベルのプレイヤーでもすぐやられてしまうだろう。
しかし、[スヤー]を使ったヒュプは常識外の存在だった。
まるで痛くも痒くもないように、仁王立ちで矢の雨を受けている。
「ホー!」
「グォ!」
弓使いたちの目線が全てヒュプに集まっている時、クロムとフィユは猛烈な奇襲を続ける。
「くわああああ!」
「クソ!グっ…」
「何で俺たちはこのまま死んでしまうのかよ!」
あっという間、周りに隠れた数人の初心者キラーは、一人残らず仕留められていった。
「やった!敵を全部倒したぞ!お前たち、おいで」
「ホ~」
「グォ~」
勝利の喜びに浸ったクロムとフィユはそっと手を広げたヒュプの胸に飛び込む。
「早く褒めて」の顔つきをして、ヒュプの懐で甘える。
「さわさわ、モフモフ、くすぐり……」
「ホ、ホ、ホォォォォ~」
「グォ~グォ~グォォォォ~」
ヒュプちゃんスペシャル撫で撫でコースを堪能したクロムとフィユの顔が真っ赤になって、満足な表情が浮かぶ。
「よしよし~、ちゃんと特訓のようによくやったな。じゃあ、このペースでやろう!」
「ホ~」
「グォ~」
元気いっぱいのヒュプは胸を張って早足で森の奥に向かって行く。
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