バトルロワイアル、開幕!
二人が広場に行き着くと、空に美しいメロディーが流れる。
そして、中央の噴水がだんだんと沈下していく。巨大のスクリーンが地下から登っていった。
『それでは、リリース記念イベント!バトルロワイアル、始めます!』
すると、周りからおおおおおといったプレイヤーたちの怒号があわさり、地鳴りとなって広場が揺るがした。
まるで会場の熱気に影響されたように、ヒュプも一緒に手を突き上げる。
「うわぁ!思ったより盛り上がってるな。俺たちもうやろう。おおおおお~」
子供のようにウキウキしたヒュプに対して、タナは恥ずかしそうに一緒に手をあげる。
「全くもうぅぅ~、ヒュプちゃんたら。しようがない、おおおお~」
宴たけなわになる時、アナウンスが流れる。
『それでは、改めてイベントのルールを説明します!皆さんは特別のマップでバトルロワイアル、いわゆる大規模な乱戦のことです。制限時間は二時間。倒されたらすぐリタイアします。倒したプレイヤーの数によって順位を決めます。従魔系のプレイヤーについて、二体の従魔しか召喚できません。ご了承ください。さらに十位までの入賞者には特別の賞品が貰えます!では、五分後にイベントマップへと転移します。装備の確認などはお早めにしてください』
「二体しかか。それならきっとクロムちゃんとフィユちゃんの出番よね」
「確かにスフレにとって、敵は強いんだけど、出るチャンスがあるかもしれないぞ」
「ほほ~、その自信満々な顔、きっと手があるんだよね。でも、一番はもうあたしのものよ!」
「アハハハ~、それはどうかな。互いに頑張ろう!」
最後の調整が終わると、スクリーンに巨大な数字が浮かいて、カウントダウンを始める。
『では、転移まであと10秒……9……8……』
ゼロになった瞬間、街の景色が消えていった。
続いて、ヒュプの目に入ったのは広々とした野原だった。
「ここは……不味い!」
ヒュプが想定したのは、森や町などの建物の多く、隠れやすい場所でしなければいけない作戦であった。
しかし、ここは隠れ場所なんか一つもないのだ。いわゆる、最悪のスタートなのだ。
周りをパッと見渡すと、数百メートルの前に、燃え上るような緑の森が視界に飛び込む。
「あそこだ!よーし、あそこでクロムたちを呼び出して、予定通り作戦を展開しよう!」
ヒュプはそう決めると、足が擦り切れるほどのスピードで森へ駆け出す。
あと僅かで着いた時、大勢の乱れた足音が横から聞こえる。
急いでその方向を眺める。舞い上がた埃の下に、剣士の身なりをして男性プレイヤーは先頭を走る。徐々に近づくと、後ろにキリッとした目つきをして数十人の姿が明らかになる。
「うわぁ!バトルロワイアルってパーティーを組んでる!?まさかここまでか?クソ!」
バトルロワイアルに置いて、あんまり強くないプレイヤーたちがパーティーを組んで、皆の力を合わせて優勝候補のエリートプレイヤーを倒すというかなり普通の戦術だった。
ゲーム歴が唯の数日だけのヒュプはそれを知っているはずがない。
しかし、ヒュプが見たのは、決してそれではない。
なぜならば、先頭を弾丸のように走っているプレイヤー。いや、逃げっているのは、ヒュプの悪友タスクであったのだ。
そして、その背後に追いかけたプレイヤーたちの口から、「タスク、逃げるな!」「待て、殺すぞ!」「ヒュプちゃんと仲良くなんて、羨ましい。じゃなくて、ゆるさんぞ!」などの叫び声がヒュプの耳に届く。
そう、彼は先日掲示板でタスクに天罰を下せると宣言した「ヒュプちゃんファンクラブ(仮)」のメンバーたちだった。
「タスク?何でお前は…」
ビックリしたヒュプを見て、タスクは直ちに進路を変える。
「よ!お前も来てるか?じゃあ、一緒に頑張るぜ!」
爽やかな笑顔で挨拶しながら、森と真っ逆の方向に走り出す。
「おのれ!また可愛いヒュプちゃんに手を出したな、殺す!」
「ヒュプちゃん、その汚らわしい男を俺たちに任せろ!絶対に殺して見せるぞ!」
後ろのプレイヤーたちはそう言いながら、殺気あふれた顔をしながら、タスクに追いかけていった。
そこに残したのは、混乱した表情を浮かべるヒュプだった。
「なにそれ?わけわからないが、一応…ピンチを越えてきたよな」
そう言いながら、顔に苦笑いを浮かべたヒュプは鬱蒼とした森に足を踏み入れる。
隠れやすく生い茂った木の枝を見上げると、ヒュプの顔に自信満々の笑みが浮かぶ。
「クロム、フィユ。これから俺たちのショータイムだぞ!」
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