新スキル
イベンドの前日。
三日前にまだ静かな魔法都市は既に活気あふれている町になった。
町の中央にある高い塔の入口に、かなり困難なダンジョンから目指して来てくれたプレイヤーが沢山集まってきた。
では、主人公のヒュプはというと。
満面に喜色を湛えて、ナミの店から出ていった。
そして、白く丸い頭に待ちわびた帽子をかぶったクロムは嬉しそうに飛び回っている。
「ホ~」
「全く、クロムはまだまだ子供だね。アハハ~」
「グォ~」
「メェェ~」
ヒュプは人の少ないところにあるベンチに座って、百科全書ほどの厚さのある本を取り出して、膝の上に置く。
「全く思わなかった。この図鑑が貰えるなんて。じゃあ、早速装備の効果を確かめろ」
ヒュプはそう言いながら、ワクワクして二つの装備の説明を空中に浮かべる。
――――――
[ルイズ・ファストのモンスター図鑑LV1]
種類:メイン武器 レア度:5 スロット:0 装備:封印術師
4000年前のモンスター研究者ルイズ・ファストが数十年の時を掛けて作られたモンスター図鑑。禁断の魔力を秘められている。
魔法攻撃力+5 魔法防御力+5
スキル[禁断の魔力]図鑑に登録したモンスターのスロット効果を一種だけ身につける。効果は何度でも交換できる。同じ効果は一日つき一回しか付けられない。
[ネビュラハット]
種類:防具(頭) レア度:2 スロット:1 装備:ALL
ホシクモの糸で作られた星々の魔力を秘められた帽子。
魔法攻撃力+8
スキル[マジックチェンジ]対象1体のMPと自分のMPをチェンジする。
成功率:プレイヤー(スキル使用者)LV/対象レベル×10%
ボスに効果がない。対象が従魔(又は従魔は使用者、対象はプレイヤー)の場合、成功率は100%になる。
――――――
「やったぜ!これは待ち望んだMPの消費が軽減できる装備だ!確かにナミが言った通り、クロムにピッタリだな」
フィユを空中で自由自在に動かすため、ほとんどの時間はサイコキネシスを継続的使わなければいけない。クロムはMPの負担を軽くするため、いくら攻めるチャンスを掴んでも、前のように魔法が激し勢いで撃たれないのだ。
[マジックチェンジ]を使ってヒュプのMPと交換すれば、フィユと共に戦っても、驟雨のような魔法攻撃ができるようになる。
そのMPはヒュプに対して、チートみたいな睡眠状態に入ると、スヤスヤと回復したのだ。
「そして、この図鑑があれば、前でドロップしたイノシシのカードも使えるようになるぞ」
眉の辺りに興奮の色を見せたヒュプは、新しい図鑑を装備してから、[グリンブルスティ]のカードを登録していった。
――――――
グリンブルスティ
種族:野獣系 属性:地、光 亜種:無い
体力?
筋力?
魔力?
精神?
敏捷?
器用?
神話に登場する黄金毛皮で身を守る巨大なイノシシ。
ボスのモンスターであるので、封印できない。
行動パターン:アクティブ
ドロップ:[黄金の毛皮]30%、[恐るべき牙]30%、[勝利ノ剣][グリンブルスティのカード]0.5%
[スロット装備効果]
位置:武器 通常攻撃の距離と与えるダメージが半分になり、プレイヤーを中心とした範囲攻撃になる。
――――――
「これがあれば、イベンドに上位入賞できるかも!もうワクワクするぞ!」
ヒュプにとって、賞品なんかどうでもいいのだ。重要なのは、上位入賞すれば、インタビューを受けるチャンスがある。インタビューを利用して、もうすぐオープンするペットショップを宣伝つもりだったのだ。
そう決めると、傍に嬉しそうに遊んでいるモフモフの子たちに声を掛ける。
「お前たち、そろそろ行くぞ!特訓を!」
「ホー」
「グォ」
「メェェ」
そうしてついにイベンドの日がやってきた。ヒュプはイベンド開始前に最後のステータスを確かめるため、半透明のパネルを空中に浮かべる。
――――――
名前:ヒュプ 種族:半神族 ジョブ:封印術師
レベル 18→22
体力16→18 筋力5→6
魔力34→38 精神36→40
敏捷28→32 器用26-29
幸運8(+50)
スキル:[神化][従魔の盟約LV2→LV3][召喚LV2][従魔強化LV2→LV3][手加減LV2][催眠魔法LV2→LV3][石化魔法LV2→LV3][毒魔法LV1][眠るパンダちゃん][スヤー][パンダちゃんの瑞夢][禁断の魔力]
装備:
頭:[パンダちゃんのズキン]
体:[パンダちゃんのシャツ]
左手:[ルイズ・ファストのモンスター図鑑LV1]
右手:[ドラウジネス]
足:[パンダちゃんのショートパンツ]
靴:[初心者のクツ]
装飾品[白兎ノ御守り][パンダちゃんのイヤリング][空欄]
名前:クロム〈オオコノハズク〉種族:飛行系 属性:風、氷、念
レベル 18→21
体力20→22 筋力13→14
魔力48→54 精神45→51
敏捷32→35 器用32→35
装備[霜雪ノ足輪][ネビュラハット]
スキル:[索敵][ウインドカッターLV3][アイスニードルLV3][フリーズランサーLV1][サイコキネシスLV2→LV3][ステルス][マジックチェンジ]
名前:フィユ〈トウキパンダ〉種族:野獣系 属性:無
レベル 15→19
体力23→27 筋力37→42
魔力11→13 精神18→21
敏捷42→50 器用23→27
装備:[若竹ノ髪飾り]
スキル:[跳躍][パンチLV3][キックLV3][剣ノ舞][鋼鉄ノ構][韋駄天ノ足][発LV1→LV2]
名前:スフレ〈レインブルビ〉種族:野獣系 属性:光
レベル 1→7
体力10→19 筋力6→9
魔力15→27 精神13→22
敏捷7→11 器用7→11
スキル:[守護][レイLV1][ヒールLV1]
――――――
「これで準備完了!あとは特訓のようにうまく敵を倒せばいいぞ。そういえば、タナは遅いな、約束の時間はもう……」
「ヒュュュュュュュュプちゃぁぁぁぁん!」
澄んだ少女の呼び声が耳に届くと同時に、ヒュプは真横から走って来たタナに勢いよくぎゅっと抱きつかれる。
「お前、遅い!もうすぐ始まるぞ!」
「アハハ~、ごめんね。ちょっと時間を掛けちゃった。えへ~」
天真爛漫な笑顔を振りまくタナに対して、ヒュプははぁっと溜息をつく。
「、お前らしいな。さぁ、早く会場へ行こう。皆が待ってるぞ」
「うん。会場へゴーゴー!」
こうして、やる気満々の姉妹二人は中央広場へ向かっていた。
この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。
『面白い』『続きが気になる』と思われましたら、是非ブックマークの登録をお願いします。
拙作を評価していただけるととても励みになりますので、大変嬉しいです。




