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VRMMOで始めましたモフモフ生活  作者: 水無月コトキ
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PKに追い詰められる

 山頂でのハーピー狩りが始まってから一時間程度経過した。

 しかし、そこには退屈な顔をしながら、行ったり来たりしているヒュプ一人しかいなかった。

 いつも傍を離れないクロムとフィユはというと。

 数十メートルの上空でハーピーたちと戦っているのだ。

 初めの数羽は順調に倒していたが、同胞の死に方を見て、ハーピーたちはまるで知恵を持つように、空からヒュプたちをジーっと見据えて全く降りて来なかった。

 そのため、クロムはサイコキネシスでフィユを連れて、ふわりと空を飛んで、空中戦を始めていた。


「はぁ……何で俺だけ飛べないの!?」


 ヒュプが文句を言った時、黄色い羽が空からひらひらと落ちてきた。


「あっ、素材がキタァァ」


 ウキウキしているヒュプはその羽を拾って、空に向かって大声で叫び出した。


「クロム、フィユ!頑張ってぇぇぇぇ!!!!」


 今はアイテムを拾うことと応援以外に何も出来ないのだ。

 無聊をかこったヒュプは、崖の下を眺めると、砂丘のようにゆるやかに起伏している草原が視界に入る。

 そして、その緑したたる大地で白くふわふわの体毛に覆われたヒツジたちはゆっくりと暖かい日差しを楽しんでいる。


「おおお!あのヒツジってモフモフで可愛い!そして、真っ白だから、クロムたちをきっと満足させられるだろう。じゃあ、後であそこに行こう」


 ヒュプはそう決めると、マップを開け、最短ルートを探す。

 と同時に、タナからのメールが届いた。


 ――――――

 テーマ:無し

 ボスを倒したよ

 昨日のイノシシよりでかいハリネズミだ

 今すぐ会いに行く、ヒュプちゃんの居る場所教えて


 送信者:タナ

 ――――――


「倒したか、これで一安心。タナは来るか、つまり……クルルちゃんたちも一緒かも。はぁぁ…ルイーナさんは暴走しないといいな~」


 ――『俺は今、岩山の山頂で待ってるぞ』


「じゃあ、送信~!ん…イノシシよりでかいハリネズミか?どうしてさっき見つかっていなかったんだろう?まさか召喚したばかりか!つまり召喚した者はまだこの辺りにいるかも…」


 まだ考えているうちに、空からクロムの鳴き声が聞こえる。


「ホ~」


 地面に降りたフィユは、後ろから二本の羽を取り出して、嬉しげにヒュプに渡す。


「グォ~」


 ヒュプはフィユをぎゅっと抱いて、顎のあたりを撫で回しながら、褒めてあげる。


「サンキュー、フィユ。これで素材は全部揃った。クロム、もうすぐその帽子を手に入れられるぞ!」

「ホ~」


 和やかな雰囲気が流れていた中。

 急に山道の方から複数の足音が聞こえる。

 最初はタナたちが来たと思ったが、だんだんと近づくと、その重さは女性のでなく、男性の足音だと確信した。

 ボスを召喚した者の可能性があると思って、ヒュプは直ちにクロムたちを連れて、岩の後ろに隠れた。


「お前ら、早くこっちへ!」


 地面の土石を踏み荒らす足音がだんだんと近づいてくると、数人の男性の会話が聞こえる。


「せっかく[グリンブルスティ]の召喚に成功したのに、あんな小娘たちに倒されたなんて、イベント上位独占の計画が全部無になっちまった。今回はあの小娘に死の味を味わわせる!」

「そうだそうだ!俺たちはPK(プレイヤー・キラー)だ、あいつらの甘いやり方との差を教えてやろう!」


 PK――プレイヤー・キラー。ゲーム内の他のプレイヤーを攻撃する行為を言い、またその行為を行うプレイヤーはプレイヤー・キラーと呼ばれている。

 [EGO]においてデメリットが多いので、PKはなかなか見られないのだ。


 彼らが山頂にやって来たが、そこにはもうヒュプたちの姿は無かった。


「おい!例のパンダの小娘は本当にここにいるのか?誰もいねぇぞ!」

「本当だ、この目ではっきり見た!なんでいきなり!?」


 ヒュプが思った通り、昨日のイノシシを召喚した者は、この人たちだった。

 ヒュプは首を少し突き出して、外の様子を見る。

 敵は三人、剣士と弓使いの二人、そして魔法職の一人である。

 そして、三人とも強そうな武器を持って、威圧的な雰囲気を放っている。


 ヒュプは見ただけでもすぐ分かる。それは自分たちの力で絶対に敵わない相手だった。

 ここまま隠れるのはダメだ。なぜなら、弓使いは[気配探知]という索敵のスキルがあるからだ。

 つまり、見つかるのは時間の問題だ。

 唯一の逃げる道がもう遮られてしまう今、戦いが唯一の活路である。


 自分一人なら、パンダちゃんセットのチートみたいな防御力と回復力で何とかできるが、そうすると、クロムたちがすぐ敵のターゲットになってしまう。

 クロムたちが倒されると、デスペナルティで丸一日は召喚出来なくなる。

 それは死ぬ訳じゃない、明日にまた元気満々の姿を見せてくれることはわかるが、どうしてもモフモフのクロムたちを敵にやられたくないのだ。


 僅か数秒間で頭が回って、ヒュプはクロムたちのカードを取り出して控えめな声でクロムに話をする。


「クロム、フィユ。早くカードに戻ってくれ」


 ヒュプの話が耳に届くと、クロムとフィユは「私たちがいないと、お前はどうすんの?」のように不安そうな目つきでヒュプをジーっと見つめる。


「心配すんな。忘れたか、俺は不死身だぞ。そして、タナたちはもうすぐ来るぞ。戦いが終わったら、すぐ呼び掛けるぞ!」

「…ホー!」

「グォ…」


 まだ心配していたが、ヒュプの真剣な顔つきを見て、クロムたちがこくんっと頷く。


「召喚解除」


 するとクロムたちが光となってカードに戻っていった。

 カードを道具欄に入れて、ヒュプはなんとなくほっとするような気がする。


「さって、タナたちが来る前に俺の実力を試してみよう!」


この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。

『面白い』『続きが気になる』と思われましたら、是非ブックマークの登録をお願いします。

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