クモ狩り
道を遮断していた[グリンブルスティ]は倒されていたが、森と岩場に元々危険なモンスターが沢山いるので、魔法都市に辿り着いたプレイヤーはまだほんの少しだった。
故に、町の外にある森はヒュプが独占している専用狩場になった。
「ホー!」
空中で周りを警戒しているクロムが敵を見つけたように鳴き声を上げる。
すると、道の両側にある木の茂みから、何かが動いているザァッザァッという音が聞こえる。
続いて、脚は鮮やかな黄緑色に、背中には黒地に白く星の柄のある巨大なクモが藪からさっと飛び出した。
「うわぁ!キモイ!」
ヒュプが嫌な顔をした瞬間、クモは口から毒液を射出していた。
既に敵の動きに気付いていたため、ヒュプは襲いかかる毒液を難なく躱す。
しかし、ヒュプとクロムは手を出すつもりがなさそうに、立ったままにクモを見ている。
なぜならば、今回の主役はフィユなのだ。
「グォ!」
フィユは敏捷を象徴する青いオーラを纏って、疾風のようにクモに突進していく。
クモは再度毒液を吐き出して攻撃してくる。フィユは自慢のスピードで、鳴き声をあげるとそれをひょいっと躱して、クモの前にやってきた。
「グォ!」
続いて、体を覆うオーラが青から攻撃を象徴する赤に変わって、得意技の正拳突きでクモの足をバンっと突く。
するとその足がぽきんと折れていた。
耳障りな悲鳴を上げるクモに対して、フィユはそのまま見逃すつもりはなさそうだ。
もう一本の足をしっかりと掴んで、力を込めて空に投げる。
続いて、その丸く小さな右拳をしっかりと握って、そのまま落ちてくるクモの腰に致命的な一撃をバンっと撃ち当てる。
クモがまるで自分が容易く倒されることを信じられないように、最後の悲鳴を上げて腰からぽきんと真二つになって、消えていった。
「やったぜ!流石フィユ!凄く強ぇな!早く戻って、なでなでしてあげるよ!」
敵はもういないのに、フィユはまだ肩の力を抜くつもりがなさそうに、真面目な目つきで周りを警戒している。
ザァッザァッと音が再び響くと、四匹のクモが同時に飛び出して、フィユを真ん中に閉じ込めてしまった。
フィユが急に視界から消えたので、ヒュプは堪えがたい焦燥を感じる。
「フィユ――――っ!!!クロム、早くフェユを助けて!」
「ホー!」
クロムが急いで救援しに行こうとした時、クモたちの真ん中から物凄い気流が外に流れていく。
急にドッカンと猛烈な爆発音が響くと、HPバーが半分しか残ってない四匹のクモがともに下からの突風によって空に吹き飛ばされた。
「ホー!」
クロムの鳴き声が響くと共に、多重の魔法陣が展開される。
中から射出された氷の槍がクモたちを一匹残らず始末していた。
このような衝撃的なシーンが目に飛び込み、ヒュプは驚いて口を利けない。
「う、う、うそで、で、でしょう?こ、こ、これはフィユがや、や、やったの!?」
「グォ~」
勝利の喜びに浸るフィユは笑いながら、ヒュプのもとに戻ってきた。
「グォ、グォ~!」
ヒュプは「早く褒めて」の顔つきをしているフィユを抱いて、優しくその丸くモフモフの頭を撫でる。
「す、すげっ!さっきのは何!?あの[発]って必殺技なの!?」
「グォ~」
フィユはくすくすと笑いながら、頷く。
「流石俺のフィユだ!ただ進化しただけでそんなに強くなるなんて、全然思わなかった。そして…、おいで、クロム」
「ホ~」
「そして、あんな状況ですぐ魔法を撃ったクロムも最高だ!これで、俺たちは無敵だ!」
「ホ~!」
「グォ~!」
こうして、魔法攻撃担当のクロムと近接格闘担当のフィユ、そして可愛い担当のヒュプの森での一方的な狩りが始まった。
太陽が真上に昇った時、森には動く影が1つも見えなくなった。
そう、クモを含めて、様々な虫モンスターが一匹残らずヒュプたちに始末されていたのだ。
「……13、14、15!よーし。これで糸15本揃った!次の狩場に向かって、レッツゴー!」
「ホ~」
「グォ~」
この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。
『面白い』『続きが気になる』と思われましたら、是非ブックマークの登録をお願いします。
拙作を評価していただけるととても励みになりますので、大変嬉しいです。




