激戦の後
激しい戦いが終わったが、緊張した雰囲気は消えていなかった。
「グォ!」
先ほど何も知らないままクロムに飛ばされたため、フィユは頭を抱えながら、クロムをジーっと睨む。
「ホ…」
自分が理不尽なことをやってしまったため、クロムはヒュプの後ろに隠れる。
ヒュプはフィユを抱き上げて、優しく撫でながら褒める。
「フィユすげえな!お前のお陰で、タナは助かったんだ~、さっきは、クロムはああするしかなかったんだ。さぁ、怒らないで~」
「そうよ、男ならつべこべ言わずに、そんなことさっさと水に流せ!」
「セツナさん、フィユちゃんは女の子よ。ほら、頭に可愛い髪飾りを付けてるでしょう?」
「えええ!本当なの?ずっとモンスターは全てオスだと思ってたんだ。ごめん、フィユちゃん」
「グォ!」
フィユは泣きそうな顔をして、自分の頭を指す。
続いて腕を組んで、まるで「自分に謝れ!」と表すように頭を横に振る。
「クロム、早く出てきて、フィユに謝ってくれ」
ヒュプがどんなに呼んでも、クロムはずっと震えて後ろに隠れている。
タナはクロムを後ろからしっかりと抱き締める。
「ホー!」
「ねぇ、クロムちゃんは男だよね。男なら自分の過ちを直視すべきだよ~」
そう言いながら、クロムを抱きかかえてフィユの前に立った。
「ほら、フィユちゃんに謝って」
目を丸くして怒るフィユに向かって、クロムは恥ずかしそうに頭を下げる。まるで「さっきはごめんなさい。許して」と伝えるように鳴く。
「ホ…」
そのお詫びに満足しているように、フィユは嬉しそうにほほが緩んで、「もう大丈夫だよ」と示すように手でクロムの丸く白い頭を軽く叩いた。
「グォ~」
「ホ~」
仲直りしたモフモフたちを目にすると、ヒュプたちはにっこりと笑った。
タナが言う。
「もう大丈夫だよ。じゃあ、恒例のドロップチェックしよう!誰かレアドロップしてきたら早く申告してよ。あたしは外れの牙~」
「はぁぁ、またあれか。私は外れの皮よ。レアドロップなんて、存在しないよ」
他の三人はセツナが言った通り、皆外れだった。
確かに、レアドロップの確率は盲亀浮木なのだ。
しかし、それは幸運値が低い場合のことだ。
最後は幸運値58のヒュプの番だ。
「えっと、その豚のカードだ。ボスは捕まえられないよね。やっぱり…外れかな」
ヒュプが何気なくポツリと呟いた。
すると、皆が一斉に谷中に響き渡るような大きな声を上げる。
「「「「「レアドロップ、キタァァァァ!!」」」」」
ヒュプは皆の反応によってびくっと体を震わせる。
「えええ!これ、レアドロップなの!まさかボスも封印できるの!?」
「ヒュプちゃんのバカ!前に言ったでしょう?カードのもう一つの役割!」
「あ!確か…装備のスロットに入れることだよね。えっと」
――――――
[グリンブルスティのカード]
位置:武器
スロット効果:通常攻撃の距離と与えるダメージが半分になり、プレイヤーを中心とした範囲攻撃になる
――――――
「うわぁ!めっちゃ強えな!これがあれば、ハープで範囲攻撃ができるぞ!」
ヒュプはそう言いながら、カードを[ドラウジネス]のドロップに入れようとする。
タナは即座に押しとどめる。
「バカ!そのカードは一度入れると、抜けなくなるよ!」
「えええ!マジ!?」
「だから、レア武器を手に入れてからカードを入れればいい。わかった!?」
「うん、分かった…」
「じゃあ、そろそろ出発す……うわっ!ルイーナ、鼻血が出てるよ!」
「ふふふ~、タナ×ヒュプ、禁断かつ美しい姉妹愛!ここは天国だ!アハハハハ~!」
「「「「「ルイーナ〈さん〉!!」」」」」
衝撃によって天国に行ったルイーナを呼び覚ましてから、ヒュプたちは再び魔法都市へ向かって行く。
「では、出発~!これで道が通じたことはすぐ広まるよ!」
「ふふふ~、さすがタナだわ。これで、あいつらの企みはもう滅んだわ。タナちゃんは本当に正義感が強い子ね~」
タナを褒める言葉が耳に届くと、ヒュプはまるで自分をほめられたように顔に喜色を浮かべる。
「イヤイヤ、あたしはただ、あんな卑怯なやり方にむかついただけよ。ところで、ヒュプちゃん、来週のイベント一緒に来るよね?」
「えっ!いや、俺はそういうつもりは……」
元々、ヒュプがこのゲームをする理由はモフモフと一緒に遊んで、自分のペットショップを開くことだ。バトルロワイアルのことは全く考えていなかった。
「へぇー。ヒュプちゃんもクルルと皆と一緒に参加しようよ!」
「ごめんね、クルルちゃん。俺元々戦闘系じゃないから。それと、皆と戦うなんて、自信がない…」
「ヒュプちゃん、そんなことは気にしなくても大丈夫だわ。わたくしたちは元々味方同士で戦うつもりはないわ」
「そうだ。味方同士の戦いは他人に有利になるだけだ。ヒュプちゃん、一緒に参加しようよ!そして、クロムちゃんとフィユちゃんも参加したいよね~」
「ホ~」
「グォ~」
クロムとフィユのやる気満々の顔と皆の期待する顔を目にすると、ヒュプはワクワクしたようにやる気が出る。
「うん、分かった、俺も参加するぞ!」
「「「「「やった!イエーイ!!」」」」」
「ホ~」
「グォ~」
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