タナのパーティーメンバー
『[エメラルド]1つと[竹の子]5つをNPC:タミに渡しました』
「えっと、うむうむ、素材はオーケー、依頼を承りますよ」
「お願いします。タミさん」
「任せてください~、作成には前と同じで一日かかります。楽しみにしててくださいね。ヒュプくん、そしてフィユちゃん~」
「グォ~」
「では、お先に失礼します」
タミの店から出て、ヒュプは勇者像前の広場にやってきた。
ベンチに座って、スキルと図鑑を確かめる。
「ん…確認してないのは[中毒魔法]だよね」
そう言いながら、スキルの説明パネルを空中に浮かべる。
――――――
[中毒魔法]
LV1:姫百合
敵を中毒状態にさせる。中毒状態になった敵は3秒ごとにHPが1%減る。
CD:5秒
成功率:(プレイヤーLV+スキルLV)/対象LV×25%
ボスに効果がない。
――――――
「うん、ボスに通用しないか…あんまり用がない。次は手元には[グランドトカゲ]と[ワイプ]のカードか。モフモフはあんまり好きじゃないけど、ペットショップを開けば、きっと好きな人がいるよね。じゃあ、登録しようっと」
――――――
グランドトカゲ
種族:爬虫系 属性:地 亜種:有り
体力★★★☆
筋力★★★
魔力★★
精神★★★☆
敏捷★
器用★
洞窟に棲息する硬い鱗に覆われた爬虫類モンスター。
行動パターン:アクティブ(プレイヤー優先攻撃)
ドロップ:[トカゲの鱗]50%、[銅鉱石の欠片]25%、[グランドトカゲのカード]1%
[スロット装備効果]
位置:足 地属性のダメージを15%軽減する
ワイプ
種族:飛行系 属性:無 亜種:無い
体力★
筋力★★★
魔力★★★
精神★★★
敏捷★★
器用★★
洞窟に棲息する小型コウモリのモンスター。
天井の岩の後ろに隠れて、鋭い牙と超音波で奇襲する。
行動パターン:アクティブ(プレイヤー優先攻撃)
ドロップ:[ワイプの血]50%、[ワイプの牙]25%、[ワイプのカード]1%
[スロット装備効果]
位置:武器 昆虫系モンスターに与えるダメージを10%増加する
――――――
「強くなさそうだね。やっぱり、うちの子が一番強いよね~、クロム、フィユ~」
「ホ~」
「グォ~」
「えっと、次は何をしようかな~」
ヒュプはモフモフの子たちを撫でながら、空をぼんやりと眺める。
数日前まで退屈な日々を過ごしていたが、今は既にモフモフたちに囲まれている夢みたいな人生を送っている。
「ゲームって、本当に楽しいんだね。じゃあ、そろそろレベリングを再開しよう。うん!?」
ヒュプが立ち上がって、次の狩場に行こうとした時、後ろからカッ、カッ、カッと小刻みな足音が耳に届く。
ヒュプは即座に後ろを見るが、一人の姿も見えなかった。
「ん?誰でもない…幻聴…かな。でも、今確かに…」
まだ考えている時、冴えた少女の声が響く。
「ヒュュュュュュュュプちゃぁぁぁぁん!」
すると後ろから少女が現れて、ヒュプにぎゅっと抱きつく。
「えっ!うわっ!誰だ!」
ヒュプが直ちに振り返って見ると、真珠のように眩い光を放つツヤツヤの銀髪が目に映る。
そう、この少女はヒュプの双子の妹タナであったのだ。
「ヒュプちゃん、これは運命の出会いだよ~、早くお姉ちゃんって呼んで~」
「るっせえ!放せってば!」
「イーヤだ!ヒュプちゃんは全くあたしと一緒に遊んでないのに!そして…いつの間にパンダになっちゃったの?ふわふわだ~」
タナはそう言いながら、ヒュプのパンダ耳をフニフニと揉んでいる。
「これは…いろいろ~、まぁ、後で教えるよ。早く手を放せ、人の前で恥ずかしいよ!お前の仲間たちがこっちを見ているぞ!」
ふざけている姉妹二人に四人の女性の目が釘付けになる。
その中に、赤いローブを被るセクシー系な魔法使いは非常に熱っぽい目で二人を見つめながら、鼻息をふんふんと吹き出す。
「ウフフ~、いい素材を見せてくれて、御馳走様でした!」
「えっ!」
女性の様子とその言葉でビックリしたヒュプは、即座にタスクの仲間――アーミのことを思い浮かべる。
「ルイーナ、やめなさい!タナの妹ちゃんがビックリしてるわよ」
長い黒髪に腰に二本の刀を差している侍のような身なりをしているヒューマンの女性はルイーナという女性の暴走的な行為を止めて、ヒュプに声を掛ける。
「ビックリさせてごめんね。初めまして、セツナです。あなたはタナちゃんの妹、ヒュプちゃんですよね」
「えっ!いや、俺はこいつの…いてっ!」
タナの兄と言おうとした時、タナに背中をぐっとつねられた。
するとタナが、まるで「お兄ちゃんのことを言っちゃダメ!」と言うように、鋭い目つきでヒュプを睨む。
双子として、ただの目つきだけですぐその意味が分かる。
ただ一人の妹のため、ヒュプは嫌でも苦笑いを浮かべてこくんっと頷く。
「はじめまして、俺はヒュプって言います。タナの…姉です。その、妹がお世話になっています」
「「「「おおお!本物の俺っ娘キタァァ!!!」」」」
「前に言ったでしょう、うちのヒュプちゃんは俺っ娘だよ」
皆の前で怒るのはダメだと思い、ヒュプは「お前!覚えてろ!」と言うような熱い目つきでタナをジーっと睨む。
「へえー、そんな目で見ても事実は変わらないよ~、さぁ、皆挨拶を続けよう!」
やっと落ち着いたルイーナという女性はヒュプの前に来て、挨拶をする。
「ヒュプちゃん、わたくしはルイーナ、あなたと同じ半神族ですよ。さっきはごめんね、あなたとタナが同じ画面に登場して、その破壊力200%の美しい衝撃で失態を晒しちゃいました」
「いや、ルイーナ、それは失態じゃなく、暴走!そして、今も暴走寸前だよ。少し自制心を鍛えたらどう?」
左右二本の角が付いた兜をかぶって、銀色の重鎧を纏ったヒュプとほぼ同じくらいの身長がある女の子はルイーナを説教してから、ヒュプに挨拶をする。
「ドワーフのクルアインですよ。皆は、クルルって愛称で呼ばれていますよ~、クルルと同じちびっ子だから、よろしくね~、ヒュプちゃん」
ゲームを始めてからから、誰と話しても頭を上げなければいけないため、同じ身長のクルルに対して意外な親近感を抱く。
「はい!よろしくお願いします!クルル…ちゃん。この子たちはクロムとフィユですよ」
「おおお!鳥さんとパンダちゃん可愛いです~、抱っこしていいですか?」
「それは勿論ですよ、ね~、クロム、フィユ」
「ホ~」
「グォ~」
クルルはクロムとフィユを優しく抱いて、顔で頬をくっつける。
「アハハ~、モフモフでくすぐったいよ。可愛いです」
「でしょう~、うちの自慢のモフモフの子ですから」
可愛い幼女がお互い挨拶する場面を目にすると、せっかく落ち着いたルイーナは三度目の暴走をしてしまった。
「うふ、うふふ~!行ける、行けるぞ!幼女×幼女プラスモフモフ、早くログアウトで薄い本を描きたい!!!」
「ルイーナ、自重しないといけないわ。さもないと~」
エメラルドグリーンの髪に薄く半透明の妖精の翼が生えたフェアリーの女性は目を細め笑いながら、手をルイーナの肩に置く。
すると、ルイーナの顔に痛がっている表情が浮かんで、おとなしくなった。
「初めまして、あたしはエリスレアです。エリスって呼んでもいいよ。ヒュプちゃん、ルイーナのこと気にしないでくださいね。彼女は、女の子同士のラブコメが大好きなんです」
「えっ!それはまさか……」
「百合のことですよ~、ルイーナには悪意が無いから、許してやってください」
苦笑気味にフォローするのは、同じ幼女のクルルだ。
「分かりました。ルイーナさん、これからもよろしくお願いします~」
「おおお!よろしく~、ヒュプちゃん」
自己紹介と挨拶が終わって、タナは司会のように、まとめる発言をする。
「コホン、では、うちのヒュプちゃん可愛いでしょう?では、ただいま期間限定のフレンド登録イベントが始まるよ!」
「「「「おおお!!!」」」」
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