レベリング始めました
モフモフの装備に身を包んで、広場のベンチに座ってヒュプはモフモフの子たちと一緒に嬉しそうに戯れる。
そして、右足に雪の結晶みたいにキラキラの足輪を付けたクロムは嬉しそうにばさばさと飛びまわっている。
それは一昨日タミに頼んだ[霜雪ノ足輪]という従魔の装備品であった。
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[霜雪ノ足輪]
種類:防具(従魔) レア度:2 装備:フクロウ 通常種/亜種
雪の力を秘めた足輪。
敏捷+5%
効果:① 氷属性追加(通常種)
② 氷魔法ダメージ上昇(亜種)
③ 装備すると、レベル15を満たした場合進化できる
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楽しそうなクロムを目にすると、フィユはヒュプの太ももにごろごろと甘えてくる。
「アハハ~、フィユも自分の専用装備が欲しいよね」
「グォ~」
「安心して、必要な素材のドロップ場所はもう聞いたぞ。今日はまずクロムの進化を、その後すぐ素材を集めに行く」
「グォ~」
フィユは楽しげにヒュプの頭に乗って、クロムに向かってぶんぶんと手を振る。
クロムは勢いに乗ってフィユの頭に降りて、その白くふかふかな翼を開く。
ヒュプの上はフィユ、フェユの上はクロム。
周りにいるプレイヤーの目線がこのトーテムポールのような様子に引かれ、写真を撮って、掲示板で話題に出し炎上していたのはまた別の話だ。
「アハハ~、流石うちの子~、そろそろ行こう。ビックパンダはもうダメだな。ん……せっかくクロムの氷魔法が強くなったから、グランドトカゲのところで試してみよう!」
「ホ~」
「グォ~」
昨日の大騒ぎによって、パンダちゃんセットをターゲットにしたビックパンダ狩りのプレイヤーが一気に増えてしまった。
ヒュプたちは西門から出て、グランドトカゲの生息地――リプリス洞窟一階に辿り着いた。
「暑い、エルマさんが言ってた場所は確かここだけど、本当に地属性のモンスターしか出ないの?」
空気の中に硫黄の匂いが漂っている洞窟に足を踏み入れると目に映ったのは、黒くなった地面と火に焼かれたように赤くなった壁と天井だった。
そして、黄色の鱗に覆われた体長1メートルくらいある爬虫類のモンスターが舌をチロチロ出して、ヒュプに向かって這って突進してきた。
「ホー!」
クロムは両翼をそっと開いて、先手を取って鋭い氷の矢をトカゲに撃ち込む。一撃だけでHPバーを七割ほど削っていた。
「グォ!」
氷が射出されると同時に、フィユは前に突進して、勢いのままに正拳をトカゲに叩きつける。
トカゲがまだ攻撃をしてないうちに、既にモフモフたちの連携攻撃によって倒されていた。
『レベルが11に上がりました』
『従魔:クロムのレベルが11に上がりました』
『従魔:フィユのレベルが7に上がりました』
「おおお!出た、フィユの正拳突き!そして、クロムの氷魔法も強くなってるぞ!これで俺が手を出す機会もなくなったぞ!アハハ~」
「グォ~」
「ホ~」
洞窟の一階で現れたのは今倒したトカゲと無属性の小型コウモリ[ワイプ]しかいなかった。
クロムの弱点である火属性を持つ敵が出ないなら、全く恐れる必要がないのだ。
そして、グランドトカゲとワイプはプレイヤーを優先攻撃するため、狭い道でクロムとフィユを無視して後衛のヒュプに攻めてくるのは紛れもなく自殺行為だった。
ここはヒュプたちにとって、絶好の狩り場であった。
クロムとフィユは思いっきり大暴れしている。
素材やアイテムの回収に専念しているヒュプにとって、唯一の問題は回収のスピードが全く追い付かないことだ。
「二人とも、早すぎるよ!回収はまだ終わってないのに!もう!」
「グォ?」
「ホ…」
呼び声が聞こえると、フィユは頭を横に曲げると意味不明の表情を浮かべる。
既に慣れているクロムは地面に降りて、「すぐ慣れるよ」と伝えるように羽先で新人のフィユの肩をぽんと叩く。
すると、フィユは悟ったようににやりと笑う。
「グォ~」
「二人とも仲がいいな。これで回収完了~、さぁ、出発するぞ!」
「ホ~」
「グォ~」
分かれ道を試行錯誤して少しずつ進むと、ドーム状の広い部屋にやってきた。
洞窟に入ってから既に一時間以上経過していたため、ヒュプの足は棒のようだった。
「もうダメだ!ここで少し休憩しよう」
ヒュプはそう言いながら、周りをざっと見渡す。
敵の姿がないのを確認すると、地面に胡坐をかいて、両手を広げて優しく呼び掛ける。
「クロム、フィユ、ここにおいで~」
「ホ~」
「グォ~」
ヒュプはクロムとフィユを太ももに置いて、撫でながらさっきの戦果を確かめる。
「えっと、トカゲとコウモリのカード一枚ずつ、登録は…後にしよう。そして、クロムと俺は共にレベル14に、フィユはレベル10に上がった。もうすぐ進化できるぞ。二人とも、よく頑張った!」
「ホ~」
「グォ~」
「アレ、何か俺のやり方[寄生]じゃないの…全く、俺は全然戦えないキャラになっちゃった」
落ち込んでいるヒュプの顔を目にすると、クロムとフィユは地面に降りて、戦いの仕草をしながら、羽先と拳で各自の胸を叩いた。
可愛いモフモフたちの行動を見て、ヒュプは尋ねる。
「戦闘のこと…任せろ?」
「ホー!」
「グォ!」
「アハハ~、二人共頼もしい~、でも俺もいざという時にはできる男だぞ!」
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