蛍の光に
帰り道、坂道を上がっていくと、
途中、信号機がある。
そのあたりで、
切り替わらなければならない。
家に帰るというのは、厳しい。
厳しい現実だ。
家族の話と仕事の話には、
あまりにも落差があって、
それに、頭がついていかない。
気が狂いそうになる。
たぶん、ドラマのような、
幸せな家庭と幸せな仕事は、
二つで一つになるんだろう。
頭が痛くて、気持ちが落ち込む。
そして、ここから、また始める。
ずっと、ずっと、ここから始まる。
雨が降り、雨が流れてきた。
光が目の前を過ぎ去ってゆく。
いつか見た、蛍の光に似て、
頼りなくも、麗しき光が、
ゆらゆらと、ゆらゆらと。
ふう……夏になっていくんだなぁ。
信号の光が変わっていた。