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エッセイ

憧れの万年筆があれば小説が書けるか

 僕が憧れている万年筆があります。いえいえ、『どのメーカーのどの万年筆』、と銘柄を指定するわけではないのです。つまり、端的に言うと、ひとつの銘柄ではとても満足できそうにないのです。


 舶来物にもいくつも素敵なものがありますし、国産メーカーもそれぞれ素晴らしいものを作っているので、どのメーカーのものも一本ずつ欲しい、そう思うのです。


 机の引き出しを開けると、そこには万年筆専用の収納トレイ(それはまるでアクセサリーを収納するビロード張りの入れ物のような)があって、十本くらいの色とりどりの万年筆が僕を待っている……と空想しただけで幸せで気が遠くなりそうです。


 僕は、きっとそれらの万年筆に青いインクを入れるでしょう。けれど、その青は一本ずつ違う色なのです。薄い青から濃い青まで、またその色調も明るいものから暗いものまで、様々な青をそれぞれの万年筆に入れるのです。


 そして、僕はその日の気分や書く内容によって万年筆を選びます。今日は落ち着いた内容を書きたい、そう思った時は深い藍色を、今日は明るくハイテンションに書きたい、そう思った時は輝く空の色のような、いってみればコバルトブルーのようなインクを入れた万年筆を選ぶでしょう。


 あなたなら、何色のインクを選びますか?


 お気に入りの万年筆で原稿用紙に一文字ずつ書いていく。無我夢中になって書いていく。そうすればきっと素晴らしい作品を生み出すことができる……。そう思いつつ、僕はなぜかパソコンで原稿を書いています。


「素敵な万年筆で書けばきっと名作を生み出すことができるはずなのに」という言い訳の余地を残しておきたい。それが僕の偽らざる気持ちなのです。


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