シンが・・・進化!
双竜から一週間以上たったある日。
しばらくの間特にイベントも何も起こらなくだんだんと今の生活が暇になってきた俺はモンスターの育成をすることにした。
といってもすでに能力が破格なのでもうすることも特にないのだが。
そう思っていつものように魔物を倒していると冒険者の一人からある情報を聞いた。曰くダンジョンというのがあるらしい。ほかにもたくさんあるのだとその人は言った。やたらと詳しいので鑑定したら探索スキルがすごく上がっていたのでおそらくダンジョン専門の人だろう。まあその話はどうでもいいのでおいておくとして、とりあえず俺はダンジョンに行ってみることにした。しかし、ただダンジョンにいっても能力がすべてカンストしている俺がいっても退屈なだけなのでシンにダンジョンをクリアしてもらうことにした。そして今日、ダンジョンに入るために下調べをしてシンをダンジョンに入らせて一週間。シンがダンジョンからでてきた。シンはやたらとぼろぼろだったがランクがSSになっていた。とうとうこの世界の上限に達してしまったのでシンはもう成長しないだろう。そう思ったが、俺の予想とは裏腹にシンは分裂した。そう、スライムみたいに横に伸びて二匹三匹と増殖していったのだ。ステータスはその都度激減していったがスキルはそのままのようで、気づけば一匹のシンが十匹になっていた。ランクは全員同じでCランクだった。
扱いに困った俺はとりあえずの放置策としてシンの分身体にはこれから各地のダンジョンを渡り歩いてもらって面白いことがあれば連絡するようにさせた。連絡用に新たに通信スキルを入れておいたので死なない限り大丈夫だろう。まあ、死んでも別段気にしないが。
そしてダンジョンから出てきた本体のシンは全身から光を発生させてしばらくすると人型になった。というかよっぽど鑑定スキルが高くなければただの人だ。いや、まあただの人というより美形のイケメンになってしまったんだが・・・。
「あのう、シンさんですか?」
俺はおそらくシンであろうイケメンに恐る恐る聞いた。
「はい、マスター。私はとうとう人型になることが出来ました。これもマスターのおかげです!」
シンはテンションが上がっているのかうれしそうに言った。
うん。人型になるのはいいんだけどね。
・・・。どうしておとこなんだよおおおおおお!!!!
こうゆう場合って普通美少女だよね!なんで男なんだよ!しかもイケメンですよ!クソがっ!こんなことならやるんじゃなかったよ!
と内心かなりあれている俺をよそにシンは俺に聞いてきた。
「それで、これからどうしましょうか?ダンジョンは踏破しましたが」
あ、決めてなかったわ。
「あ、ええとね。と、とりあえずダンジョンで手に入れたものはお前の好きにしていいから。今日は疲れただろうからお前は帰って休め」
「はっ」
シンはそれだけ言うと帰っていった。
さて、どうしよう。すごくどうしよう。今まではモンスターだったから扱いが雑でよかったが人間になってしまうと扱いは変えないといけないだろうし。それから一応俺は分身体も千里眼でこっそりのぞいたが全員モンスターだった。
シンは男から見ても美形だ。もちろん目立つ。正直なところ俺がシンを連れていてもメリットなんてない。だって俺だけいれば何でもできるから。目立つ奴を連れているとそれだけで俺としてはデメリットなんだなー。
・・・いっそおいていくか。
一瞬そんな考えが俺の頭をよぎるがやめた。自分の召喚したモンスターから逃げるなんて間抜けな二流召喚しじゃあるまいし。とはいっても解決策が出るわけでもないので、俺はいつもの宿に帰った。
すると、宿の前には人だかりができていた。いやな予感を覚えつつも俺はシンに連絡した。
『この人だかりなに。シン』
『ええっとですね。私が歩いているとなぜか女性が集まってきてですね。まえはこんなことなかったのですが・・・』
そうかよ!クソっ!
『じゃあ隠密スキル使って窓から出てきて。それなら見つからないだろうし』
『わ、わかりました!』
そういうや否やシンが窓から飛び降りてきた。その姿はだれかをお姫様抱っこしてようものなら主人公間違いなしの姿だった。どうして俺よりずっと弱いやつに嫉妬せにゃならんのだろう。
そうしてその間に転移で宿のおかみさんにお金を渡してとっとと俺たちは最初の町に戻った。