着装、アイアンブラスト!
ある程度、設定を練れたので試験的に投稿です。その内、この前書きは消します
―――西暦2000年、一月一日
『ご、ご覧下さい!あの禍々しい動物、いや、怪物達を!これらの生物は現在、世界各国で現れ、人を襲っています!現在、政府はこれらの生物を駆逐するため、軍の派遣を要きゅ……う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?』
人類は、初めて『天敵』と遭遇した―――
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それは、突然の事だった。西暦2000年、1月1日の0時00分、世界各国に全く同時にそれは現れた。
色は様々。赤や青、黄や緑。様々な地球上の人間を除く生物の形をした謎の生物は、突如人間を襲い始めた。しかも、大きさは人間サイズから10メートル以上の巨大な物も存在した。
後に、『魔の新年』と呼ばれるその日、突如現れた生物により、全人類の二割が犠牲となった。
その日の内に各国、そして国連はコレを特殊災害と指定し、『The.E』と名付けた。殲滅のため軍が動いたが、敗北。戦車の主砲すらモノともせず、空爆もあまり効果はなく、徐々に軍は押されていき、壊滅していった。
そして、時は過ぎ2020年。The.Eは世界の七割を支配し、人間は徐々に数を減らし、住処を追われていった―――
****
「ちょっとお兄ちゃん、今日は軍への入隊試験の日でしょ!?どこに行くの!?」
「ふざけんな!俺は戦いたくない、冒険家になりたいんだ!」
2015年、東京のとある民家。そこでは最早近所の元気っ子兄妹として知られた兄妹が玄関で喧嘩をしていた。
「でも、18歳以上の男の子は軍への入隊が義務付けられてるんだよ?お兄ちゃんは今日から18歳だから行かなきゃダメだよ!」
The.Eとの戦闘で年々軍は戦力が無くなっていったため、どの国も18歳以上の男子へ徴兵制を採用し、The.Eとの戦いを繰り返していた。勿論、ここで喧嘩している今日で18歳の青年、平賀 鋼夜も勿論、この日から日本軍に所属しなくてはならない青年だった。
しかし……
「だとしても嫌だ!俺は冒険家になるんだ!」
この通り、軍へ行くのを全力で拒否していた。しかし、彼がこう言うのも無理はなく、軍へ所属し、戦場へ行く事は殆ど、死に繋がっている。故に、彼のように拒否する人はかなり居る。
しかし、軍へ直接赴かなければ、黒服を着た人達が直接迎えに来るため、逃げることは不可能だった。
「もう少しで迎えが来るから待ってよ!?ね!?」
「こんな所に居られるか!俺は冒険に出るぞ!!」
「あ、ちょっ、お兄ちゃん!?」
「はっはー!俺は自由……」
鋼夜は妹の文香の静止を振り切り、叫びながら振り返った。
その視線の先にあったのは。
「平賀鋼夜だな。昼になっても来ないから迎えに来た次第だ」
「おぅっふ……」
黒い服を着たとんでもなく怖い方々だった。
「あ、黒服さん!こんな兄ですがよろしくお願いします!」
「こんな!?実の兄をこんな呼ばわりだと!?」
「こら、お嬢さん。そんな事を言ってあげるな。彼はこれから君達を守るために戦いに行くんだ」
「だが断る!!」
その瞬間、鋼夜は少し助走をつけ跳躍。黒服を蹴り倒し、吹っ飛ばした。
「ぐぁっ!?」
「さらば!!」
「あっ!逃げた!!」
鋼夜は黒服の人を蹴っ飛ばすとそのままの足で走り出した。が、その先には黒い車。
「逃がすな!」
「なんでしがない男のためにこんなにするわけ!?」
しかし、鋼夜はここで捕まる程ではなかった。無駄に身体能力が高い鋼夜は降りてきた黒服その2の肩を踏み台にし、車の上に乗ってそのまま車の向いてる方とは逆方向に降りてから走り始めた。
「俺は冒険家になるんだ!軍なんかにいられるかってんだよ!!」
「くそっ!追え!!」
「ああ……お兄ちゃんの馬鹿……」
そして、鋼夜は逃走を始めた……
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「で、リアル鬼ごっこならぬリアルかくれんぼしながら逃げてきた訳だが……」
今、鋼夜は近場の公園にある茂みの中に隠れているのだが、その視線の先には先ほどの黒服も合わせて、様々な黒服が沢山いた。クローン、という訳では無いが、みんながみんな、髪の毛を剃ってサングラスをかけているため、よく見ないと見分けがつかない。
「しっかし……こっから先は『暗黒領域』か……もう逃げれねぇぞ……」
そして、この公園から離れて少し歩くと、通称、『暗黒領域』に出ることになる。
暗黒領域とは、The.E達との戦闘に巻き込まれるかもしれないため、住人が退避した場所、さらにそこはThe.E達の支配下に置かれているかもしれない場所だ。そこに行けば、当然死ぬ事だってありえる。だが、人の住む場所に程近い暗黒領域は基本的にThe.Eが出ないため、一応は安全だ。だが、勿論軍の防衛線に近い場所のため、それをこっそり抜けてきたThe.Eとバッタリ……という可能性もある。
既に鬼ごっこを開始してから数時間。遠くに来たものだなぁと茂みの中でボーッとすること数分。
「……仕方ない。彼は諦めるとしよう」
(おっ?)
「そうだな……やる気のない者がいても士気が下がるだけだ……この件は上に報告してみよう」
「どうせ、強制連行が待っているだろうけどな。やれやれ、嫌な職に就いちまったもんだ」
黒服数人はそう話すと、他の黒服に声をかけてから去っていった。
何とか危機は去った。それを確認してからホッと一息つく。
「ふぃ~……学校に通っていた頃が一番平和だったな……あの時は早く学校なんて卒業したいと思ってたが……」
この世界の学校は義務教育こそ変わらないが、高校、大学は基本、女子しか行かない。男子は中学卒業後、家族との最後の時を過ごし、軍へ行くからだ。
お金持ちのおぼっちゃんや政治家の息子等はコネや金で徴兵を避けて学校に行ってるらしいが、鋼夜にそんな金もコネもない。例外として病弱な者は徴兵を避けれるが、鋼夜はこの通り元気過ぎて仮病したところで笑われる。故に、彼も中学卒業後は妹の文香と共に暮らしていた。ちなみに、文香は16歳。元気に高校に通っている。
「さぁてっと、どこに行きますかね」
茂みの中から出てきてグッと伸びをしてから鋼夜は呟いた。
まさか逃げれるとは思っていなかったので、ここから先は完全にノープランだ。
なりたいものは冒険家。後ろへ行けば暗黒領域。暗黒領域は正に冒険には打って付け。
そんなアホみたいな方程式が頭の中で組み立てられ、鋼夜はニヤッと笑うと暗黒領域へと歩き出した。
数十分歩いたところで、明確な区切りなどは分からなかったが、人気がなくなったため、暗黒領域に入ったのだとすぐに分かった。暗黒領域の中にある建物は全てが無人で、空き巣の格好の的……とは言えない。貴重品の類は全て持って避難している。
「けど、食料程度は欲しいな……確か、ウエストバッグにキャロリーメートと水が……」
いつ冒険に出発してもいいように、普段から身につけてるウエストバッグには栄養食品ことキャロリーメート、チョコレート味と水が常備されている。
それを確認すると、鋼夜は辺りを見渡した。特に住宅街としか言いようがない場所だったが、恐らく歩いて数十分、という場所に山を発見した。
小さい頃、まだここが暗黒領域じゃなかった頃の記憶と重ねてみると、あの山は小さいが、子供の遊び場として使われていたのを覚えている。
「懐かしいな……よし、あの山に行ってみるか」
意気揚々と歩き出す鋼夜。まだ冒険とは言い難い冒険だが、これはこれから鋼夜の進む冒険の第一歩。全ての始まりなのだと思えば俄然、やる気が出てくる。
暫く歩き、山には何の問題もなくたどり着いた。この山に頂上という頂上は定められていないが、とりあえず一番高いだろうと思う場所に生えている木によじ登った。
「はぁ……これからどうするか」
家に帰れば確実に文香に軍に突き出される。かと言って暗黒領域をたださ迷っていたらいつか死ぬ。確実に死ぬ。だからと言って普通の場所をウロウロしてたらあの黒服に捕まりそうだ。
詰みだ。溜め息しか出ない。
「……まぁ、今考えても仕方ないか」
木の幹に座ってボーッと目の前を眺める。暫くボーッとしていると、段々と眠気が回ってきたのか、瞼が重くなる。鋼夜はそれに抵抗せず、瞼を閉じた。
―――その瞬間だった。
『グギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
咆哮が聞こえた。犬や猫等の愛玩動物の物ではない。もっとおぞましい物―――The.Eの物だ。
「嘘だろ!?こんな場所にThe.Eが!?」
The.Eは10何メートルもの巨大な物から2メートル位の物までいる。だが、巨大な物が出た上に、咆哮まであげたのなら既に軍が派遣されている。しかし、それがいない事から、この山で生息できる程度の大きさの物が出たとしか考えられない。
The.Eの発生条件は不明。戦ってる最中に新たなThe.Eが何も無い場所から現れたという報告もある。しかし、人の住んでいる場所に直接出てきた、という報告は無い。
元々ここに住んでいたのか、急に湧いたのかは分からないが、鋼夜はすぐに木から降りて暗黒領域を抜けるために走り出した。
「くそっ!今日はついてねぇぜ!!」
走りながら毒づいた。山の中を走り回り、なんとかThe.Eに遭遇せずに済むか?と思った直後、足元の土が急に崩れた。
「うぉぁっ!!?」
しかも、場所は運が悪い事に小さな崖の上。必然的に土と共に崖を滑り落ちた。
「ぐぁっ!!……あいたたた、死ぬかと思っ……いや、死ぬこたァないか」
ぶつけた尻を擦りながら立ち上がる。
「しかし……うわぁ、完全に崩れてら。大体4メートル位か?流石に登れないか」
崖の土を触ってみるが、あまり凹凸はなく、走って壁を蹴ってよじ登るには少し高かった。
「……しゃーねー。こっからでも下山なんて普通にできるか」
それに、さっきの音をThe.Eが聞いていたら、ここに来る可能性もある。
なるべく足音を立てないよう慎重に、ただなるべく早く走って移動を開始した。が、ふと、崖の一部に目が止まった。
大体鋼夜から数10メートル先に洞窟のようなものを発見した。
「……あんなの、あったか?」
幼少の頃の記憶にはあんな洞窟はない。だが、何故かすごく気になる。
「……入ってみるか」
もし、The.Eがこの近くに迫ってきているなら、身を隠さなければならない。洞窟なら、身を隠すのには絶好の場だろう。それがThe.Eの住処でなければの話だが。
「えっと、ライトは……あった」
ウエストバッグからペンライトを取り出し、電気をつけて中に入る。大体洞窟は天井が2メートル程と、なかなか小さかった。まぁ、4メートル程の崖にあるのだから仕方がないだろう。
だが、この大きさならThe.Eの住処だとは考えられない。ここは今の所安全だ。
「……けど、こんな洞窟、ほんとにあったか?しかもそれなりに長いぞ……」
数10メートル程度ではない。500か600メートル、いや、それ以上はある。
身長に歩き進め、特に代わり映えのしない洞窟にうんざりし始めたところで、ライトの光が行き止まりの壁を照らした。
「まぁ、そんなもんだよな……って、なんだ?」
さぁ戻ろうと踵を返そうとした時、ライトが気になるものを照らした。寄ってライトで照らしてみると、それはブレスレットのような物だった。
「なんだこりゃ?ブレスレット?」
何でこんな場所にと思ったが、すぐにそのブレスレットがこの場には異質な物だと気がついた。
汚れていないのだ。こんな洞窟の一番奥に置いてありながら、新品同様に。
ここら辺一体が暗黒領域となったのは八年前。なのに、これは八年放置されたとは思えない。
生活感はゼロ。なのに、ブレスレットだけが落ちている。しかも、一切の汚れがなく、新品同様で。
「しかも、この素材はなんだ?鉄か?いや、にしては硬すぎる……」
ブレスレット自体は銀色の輪っか状で、赤い宝石のような物が嵌め込まれている物だ。だが、硬すぎる。そこら辺の石で殴りつけたり引っかいたりしても傷一つ、汚れ一つつかない。明らかに異物だ。
「……まぁ、着けちゃうんだけどね」
それを何の躊躇もなく腕に嵌める。ブレスレットはすんなりと嵌った。
「ほー……あんまりお洒落じゃないな」
腕を振ってみても、全然動かない。完全にフィットしている。
「……こんなピッタリだったか?まぁいいか」
特にそんな異常も気にせず、改めてライトで周りを照らしてみたが、何も無い。
「んー……まぁ、山を降りてさっさと家に戻るか。文香は適当にあしらっときゃいいしな……いや、暫くはここに住むか。外にはThe.Eが居るんだし迂闊に外には出ない方がいいか?いや、ここは軍に……」
とりあえず、何をしようか考えながら、適当に入口の方へと歩を進める。
その瞬間、ズガァァァァァァァァァァンッ!!と、かなりの衝撃と音が洞窟全体を走り、鋼夜の背中から前へ向けて、風と土埃が走った。
「なっ!?」
驚き、振り向く。そこにいたのは、紫色の体色に、赤色の目をした、2メートルの巨大な狼。
「The.E……タイプ『ウルフ』!!」
『グルオォォォォォォォォォォォォ!!』
The.Eが吠える。その瞬間、鋼夜は弾き出されたように走り出した。
「やべぇやべぇやべぇやべぇやべぇやべぇ!!」
後ろを見てみれば、The.Eタイプウルフは洞窟の壁や天井を破壊しながら突っ走ってきている。崩壊しないのが不思議なレベルだ。
「くそっ!こんな場所で死んでいられるか!!」
タイプウルフは壁と天井を破壊しながら進んでいるため、鋼夜と同じ位のスピードでしか走れていなかったが、逆にそれが恐怖をかきたてる。
数十秒走り続け、出口に転がり込むように飛び込み、外へ飛び出す。そして、その数秒後に鋼夜の頭の上をタイプウルフが飛び越した。
「ッ!!」
すぐに起き上がり、横へ向けて走り出すが、勢いが良すぎてコケた。だが、その瞬間、自分の顔があった場所を鋭い爪が通り抜けていった。
「っぶねっ!!?」
初撃は避けた。だが、それだけ。立ち上がって走ろうとした時には目の前に唸り声を上げるタイプウルフがいた。
「つ、詰んだ……?」
The.Eに対して、民間人が取れる戦法は『逃げる』のみ。戦車でも持ってこない限り、The.Eは倒せない。
「う、うそだ……」
タイプウルフが口を開く。
「こんな場所で死ねるか……」
そして、顔は徐々に迫り……
「死んでたまるもんか!!」
―――その瞬間、声が響いた。
『叫べ!!』
「え?」
『着装と叫べ!!早く!!』
何の声だ。一体何が起こっている。何も分からない。だが、やる事は分かる。
ゆっくりと、何故かスローモーションで迫ってくるタイプウルフの顔を、どうにかする事が出来る。直感がそう言っている。
だから、叫んだ。腕のブレスレットを掲げ、ブレスレットへと。
「着ッ装ッッ!!」
頭に浮かんだ、その名を。護り、斃す、守護者の名前を。
「アァァァイアンッ!ブラストォォォォォォォォォォッッッ!!」
その瞬間、光が右腕を包んだ。その光で、タイプウルフを殴り飛ばす!
『キャインッ!!』
そして、光が弾ける。続いて、左手、右足、右手、体、頭と光が包み、弾ける。
腕と体は銀色に。まさに、特撮ヒーローのような姿に。そして、背中を見れば、剣の柄のような物と銃のグリップのようなものが見える。腰にもマシンガンのようなものが二丁ぶら下がっている。そして、右腕と左腕にはガトリングのようなものが腕の甲に取り付けられ、関節からは蒸気が上がっている。
そして、鋼夜からは見れないが、頭は全体を銀色の装甲が多い、目はバイザーのようなもので覆われ、バルカン砲のような物も上を向いて取り付いている。
「こ、これは……?」
全く持って訳が分からなかった。ただ、言えるのは、これが夢ではなく現実だということ。
「アイアン……ブラスト?」
これが、さっき叫んだアイアンブラストなのか。それは分からないが、おそらくそうなのだろう。
鋼夜の視界には、左下に全身図が小さく表示されており、その上には変な名前が羅列して、その横にはOKと書かれている。
そして、全身図の下にはIRON BLASTと書かれている。
『グルルルルル……!』
だが、目の前には完全に鋼夜を敵とみなしたタイプウルフがいる。根本的な解決にはなっていない。
「って、やべぇ……はやく逃げねぇと」
『ガァウッ!!』
「うわぁぁぁぁぁっ!!」
飛びかかってきたタイプウルフへ向けて咄嗟に手を向ける。その瞬間、腕の甲のガトリングが回転し、青色の弾を発射し、タイプウルフに直撃し、吹っ飛ばした。
『キャンッ!!』
「な、なんだ今の!?ビーム!?」
驚き、全身図を見てみると、腕の甲の部分が赤く点滅し、BEAM GATLING(ARM)の横のOKが一瞬RELOADに変わり、すぐにOKへと変化した。
「ま、まさか、これ、全部武器なのか?」
視界にはサッと見れるだけでもBLASTER SWORD、IRON MACHINE GUN×2、BEAM GATLING(ARM)、BEAM GATLING(HEAD)等、なかなか物騒な物が沢山あった。
「えっと、ブラスターソードってのがこの背中の剣で、アイアンマシンガンが腰にぶら下がってるマシンガン、ビームガトリングは腕のこれと頭の……ああ、これが稼働するのか。で、背中のでっかい銃はブラストガトリング……あ、あと腕に隠し武器のショートソード……武装豊富だなおい……」
だが、これならThe.Eにだって勝てるかもしれない。タイプウルフは鋼夜を警戒し、唸りながら隙を伺っている。
「なら、先手必勝!ビームガトリング!!」
特撮ヒーローっぽく、武装名を叫びながら腕の甲のガトリングをタイプウルフへ向ける。そして、ガトリングが回転しビーム弾が発射される。が、タイプウルフは素早い動きでそれを避け、鋼夜に突っ込んでくる。
「やべっ!ブースターとか……あった!どりゃぁっ!!」
右側の欄にBOOSTERの文字を発見した鋼夜は横に飛び、発動しろと念じた。その瞬間、背中と足から勢いよく炎が吐き出され、猛烈に加速する。
「うぉぉっ!!?」
何とか受身を取りつつ転がって着地。迂闊に使うと結構危ない。
「よし、次!アイアンマシンガン!!」
気合を入れて右腰のアイアンマシンガンのグリップを握る。ロックがその瞬間に解除され、自由になってすぐにアイアンマシンガンを構え、狙いを定める。
「くらえ!!」
タイプウルフへ向けてトリガーを引く。その瞬間、ガガガガガガガガガガッ!!と激しい銃声が鳴り響き、弾丸がタイプウルフへと風を切り裂いて飛ぶ。殆どの弾がタイプウルフに当たり、タイプウルフが吹っ飛ぶ。
「効いてる!じゃあ、必殺技的なものは……これか!」
続いて鋼夜はアイアンマシンガンを腰にマウントし、背中のブラスターソードの柄を握る。ロックが解除され、自由になり、鋼夜はそれを両手で構える。ブラスターソードの刀身がオレンジ色のビームのようなものに包まれる。
「えっと……これだよな。えっと……あ、バックルからコード引っ張り出すのか」
右側に表示されている必殺技的なものを発動しようとしたが、どうやって使うのか分からなかったが、目の前にヘルプ画面みたいなものが表示され、どうやって発動するのかが懇切丁寧に説明された。
鋼夜はその説明通りにバックルからコードと端子を引っ張りだし、ブラスターソードの柄頭にあるコネクタに接続する。
その瞬間、ブラスターソードのオレンジ色のビームが一瞬で青く染まった。
「行くぜ!!」
両足でしっかり地面を踏み締め、走り出し、3歩目でブースターが起動。かなりの推進力を持っていっきにタイプウルフへと突っ込む。
「一・刀・両・断!ブラスタァァァッ!スラァァァァァァァァァァァァァッシュッ!!!」
一閃。タイプウルフの体を一本の青い光が迸り、鋼夜は地面を削りながら着地。ブラスターソードを振り上げ、血を振り払うように振り下ろす。
その瞬間、タイプウルフの体が上下にズレ、上だけが滑り落ち、残った下側の断面から血が噴き出した。
「……か、勝った?勝てた……のか?」
鋼夜の、アイアンブラストの体が光に包まれ、パァンと弾ける。そこにいたのはアイアンブラストではなく、ただの人間である鋼夜だった。
この日、人類の救世主が、その産声を上げた―――
やっぱり第一話は変身させないと、と思って書いていたら何故かトドメまで書いていて、結構長くなりました。
人間じゃ勝てない相手に正義のヒーローが戦いを挑む……まさに王道ですね
アイアンブラストのコンセプトは超科学。対してThe.Eはオカルト。科学対魔術的な感じです
スーパー戦隊とかでお馴染みのヒーローとしての名乗りは少し後になります