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第8話 盗賊の少女 5

完全に逃げ道を無くされている。どうしょうもない。ここはもう戦うしかないようだ。

盗賊団に囲まれた僕達を嘲笑うかのように木々が揺れ音を鳴らす。


「ねえ。こういうのって戦わないといけないの?」


メイラがそんなことを言う。


「当たり前だ。戦わないとここから抜け出せないんだぞ」


するとメイラが木に向かって1発のパンチを繰り出した。すると木々はメキメキっと快い音を出したかと思うと、穴が開けていった。


「一応出られるけど、これじゃダメなの?」


「……。出ようか」


こいつ……。戦えば絶対強いのに……

僕達はその穴を使って木の中から逃げ出した。途中盗賊のリーダーの悔しそうな雄叫びが聞こえたが、気にしなくていいと思う。何だかあっけなかった。


「このあとどうする?」


メイラがそんなことを聞いてくる。普通に考えればこのまちに滞在するか、次の町に行くか何だけど……。


「次の町に行ってもいいと思いますけど、当分ギルドありませんよ。大体町と言うよりは村なので」


ギルドがない? ということはレベルが上がってもバイトのままでいろということになるのか。それだけは勘弁だな。


「もう少しこのまちに滞在するか」


僕の意見に残りの二人は賛成だった。この町にしばらく住むとなると泊まるところつまり宿と、お金が必要になる。お金はクエストなんかで稼ぐんだけど……。


クエストにいいものなど残っているはずもなく。


「雑魚モンスターでも狩って、金を手に入れるか」


と、いうわけで町から北に歩いて10分の森。盗賊たちと出会った森より大きいが、ある程度見通しがきき、強いモンスターもいない。ここでひたすらスライムレベルのモンスターを狩ればいい。

そう思っていた時期が僕にもありました。スライムレベル? どこが。攻撃1発で体力の半分以上持っていかれました。攻撃? 効いてない。少しはダメージあるかもしれないけど、目に見えない程度。というか、モルですら結構苦戦している。


「モンスター類は雑魚でも結構の強さがありますからね。 大抵は学校に行って、合計値が500を超えた辺りから卒業して旅立つんですよ」


もるが木陰で休みながら話しかける。今僕たちは少し休憩をとろうと森から出た草原の木の下で休んでいる。


「え? じゃあ何でもるはそんな低いステータスで卒業したんだ?」


「色々ありますが……。一番の理由は盗賊の条件を満たしたからですね。盗賊にさえなれればあとは自分で勉強するなどすればいいですからね。 本当は卒業してすぐにどこかのパーティに入れてもらうつもりでしたけど……盗賊団に捕まっちゃいました」


計画性が無さすぎるだろ。いやいや、この世界ではそういうのが大切なのかもしれない。……そんなわけないよなぁ。


「あ、あとここのモンスターは一番強くない分類に分けられますよ」


「ん? どういうことだ?」


「ええとですね。この大陸の生き物は大体5つに分けられます。まず牛や羊、虫なんかの無知性類。大体こちらが攻撃しなければ相手も攻撃しないし、経験値類は貰えないいわば、家畜みたいなものです」


「次に悪性類。大体のモンスターがこれに当てはまります。知性はなく、自力のステータスを確保しています。あまり強くはありませんが、テスト類などがない分、突然変異などの凶暴なものも生まれることがあります」


「3つ目が人類。テストによってステータスが決まる種類の種族です」


「4つめが属性類。人類と同じように知性があり、大体が生まれて10年くらいで合計点数が1000を超えます。また、寿命が長く人類の5倍まで生き、記憶の成長は死ぬまで続きます。しかし、ある一部のみにたけている場合が多く、ステータスには不釣り合いが起きます。また、相手の気まぐれで、人類側についたり、魔王側に着いたりしています」


「そして最後に魔類。人類の100倍もの寿命と、圧倒的な知性。人類の王族の戦士が、10人集まって子どもの魔類を8人の犠牲を出しながら仕留めたと言う、恐ろしい逸話が残っています」


そう告げると、モルはモンスター狩りに戻っていった。

つまり今までの話をまとめると、人類は知性のあるものの中で最弱ということでは……。

いや、考えるのはよそう。今はとりあえず人類どころか、悪性類にすらてこずっているんだ。先ずはレベルをあげて……そして勉強をして、バイトから脱却しなければ!


「さてと、どうですか? レベル上がりました?」


モルが何か暗い部分もあるような笑顔で話しかけた。


「あの、100匹くらい倒したのに2しか上がってないのですが……」


「僕は1しか……」


モルはニヤリと笑うと


「ふふふ。そんなもんなんですよ。だからあの盗賊の頭ですら30レベルなんです。レベル上げは異常に厳しいのですよ」


だから学校というシステムがあるのか。そこで勉強する方が、レベル上げをするよりも断然効率がいいから。


「さて、空も暗くなってきましたし、そろそろ帰りますか?」


「そうだな。テストを受けるために勉強しないといけないしな」


僕が何気なくそんな言葉を発すると


「え? そんな時間なんてありませんよ。レベルアップから1時間以内に手続きをしないとテストを受けられませんよ」


……はい?


「と、いうわけで町に帰ったらすぐに学校に直行ですね」


モルは笑顔で話しかける。

え、勉強してないと、前とほぼ同じ結果になるんじゃ……。そんな疑問を深く考えるまもなく、僕たちは空が闇に塗りつぶされきるまえに町へと帰還した。









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