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第31話 メイレイ 1

「君たちの力を見せて貰おうか」


そう言うとメイレイは手を上にかざした。すると、手が輝き始めた。これはマジでヤバイ気がする。そう思い、急いで後ろに下がる。しかし時すでに遅し。メイレイは自分の拳を胸の前に持っていくと、ぼそりと呟いた。


「エターナルワールド」


その瞬間、メイレイから視力を奪い尽くすほどの光が放たれた。僕はとっさに目をつぶった。どうやらなんとか間に合ったらしく、目が苦しいという感覚はない。

しばらくして目を開ける。するといままでいた屋敷が消えていた。 消えたいた? いや正確には何も無くなっていた。ただ暗い空間が有るだけだった。


「目が見えなくなったのか……?」


そう思いながら下を向く。するとどうだろう自分の体ははっきりとみえる。そして、気づいた。どうやら何か別の空間に閉じ込められたらしい。

しかしそこには何もなかった。出口も、そして敵やメイラさえも。この空間には全くもって何も存在していなかったのだ。

声をあげながら歩く。僕にできることといったらそれしかなかった。ただやみくもに歩いていてはいけない。数十歩歩いたら向きをかえる、と言うことをしっかりとしておけばいざというときにもとの位置に戻れる。しかし、その空間は歩くにはあまりにも何もなかった。何もない暗闇、いや、自分の体は見えているから、暗闇と言うよりは、闇の世界。その途方もない存在は、僕の体を蝕んでいっているような気がした。

気持ちが悪い。いったい僕は何をしているのだろう。気がつくと足が止まっていた。いや、それだけでない。どこをどうあるいてきたか忘れてしまっていた。

メイラはどうしているだろうか。僕と同じようにこのような空間には閉じ込められているのだろうか。それとも、メイレイと戦っているのだろうか。メイレイと戦ったら、多分メイラが負けることはないと思う。ただ、メイラが勝つということは絶対にあり得ない。メイラもここに閉じ込められたにしても、そうでないにしても、僕はここからでなければならない。

そう思うとなんだか力がわいてくる。続く一本の道を追いかけるように。ひとつの目標を見つけた。すると、うっすらと暗い空間に白い線が見え始めた。

その線をゆっくりと追いかける。何だかどんどん心が軽くなっていく気がした。気がつくと、その世界は真っ白な世界へと変わっていた。

奥の方を見ると何か扉がある。しっかりとした扉だ。近づいて扉を開けようとする。しかし開かない。扉をよく見ると鍵穴があった。どうやら鍵を探さなければならないようだった。


「鍵っていっても……こんな世界にありそうには無いんだけど……」


すると何やら声が聞こえてくる。


「ほう。もうそこまでついたのか。思ったより早いな。じゃあこれならどうかな」


その声はメイレイのものだった。


「おまえ! ここはいったいどこなんだ!」


そう叫んだ瞬間、何かが落ちるような音がした。その音のした方を向く。正直振り返らなければよかったと後悔した。そこには不気味に太った牛が倒れていたのだ。


「何だ……こいつ」


するとその牛はゆっくりと起き上がった。何か得体の知れないものが込み上げてくる。ただ不気味なだけではない。心臓を奥から抉りとるような恐怖。ただの家畜に抱くはずの無い感情。


『さあ。剣をとれ』


メイレイが語りかける。確かにここでじっとしているわけにもいかない。例え敵が強かろうと、自分で頑張らないと何も起こらないのだから。


牛はゆっくりと突進してくる。それは軽くかわせるものだった。右に動いて突進を避けた。しかし、その瞬間、鈍い衝撃が体に伝わってきた。体が地面に叩きつけられる。何故だ……。かわしきれているはずだ。タイミングがずれていることもない。そんな疑問を抱きながら牛の方を見る。すると牛にあるはずの無いものがうねうねと動いていた。

『それ』は牛の胴体から直接飛び出ていた。操ることができるのかは分からないが、明らかにその攻撃は僕の方を向いていた。つまり少なくとも敵と見なされているということだ。

僕は剣をしっかりと握りしめ、牛と対峙した。牛からは荒い鼻息が出ている。牛はやはりゆっくりとこちらに突進してくる。しかし、今度は避けない。正面から剣で受け止める。牛は器用に角の部分を利用して、刃を止める。そして、牛の側面から出てきた何本もの『それ』はセツナを襲った。

セツナは5mほど飛ばされた。お腹に不快感が表れる。強い衝撃を受けている。

セツナはそれでも立ち上がり、ゆっくりと、その牛よりもゆっくりと立ち上がった。




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