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第14話 脅威襲来

名前が平仮名ばかりで読みにくいとの指摘があったので、カタカナにしています。少しでも読みやすくなったと感じてくださったら幸いです。

体育館に避難してから30分。ひとつの放送が流れた。


『現在町に、不審者が紛れております。 怪しい人物を見かけたら、すぐにその場から離れ近くの建物の中などに避難してください』


この放送は学校のではなく、町全体の放送のようだ。不審者か……。まあそこまで問題でもないんだろうけど。

そう思った次の瞬間、何かひとつの悲鳴が聞こえた。体育館の中がざわついた。そこにいた先生の一人が外に様子を見にいく。先生が体育館から出るために開けた扉からちらりと見えたのには、校門の前に二人の男が立っていることがわかった。先生は体育館の扉を閉めると、校庭の方に走っていったようだった。そして、またひとつ悲鳴が聞こえた。

現在体育館にいる人は生徒が60人ほど、そして先生が2人。先生が少ないのは結構多くの講座が開かれていたらしく、残りの先生や生徒は大講義室に避難しているらしい。

残りの先生は2人、二回の悲鳴、そして帰ってこないもう一人の先生。何人か、いやほとんどの生徒が気づいたようだった。自分達の命が危ないと。

それから体育館内がパニックになるのは早かった。生徒が60人に対して先生は2人、明らかに指示をする人数の方が少なかった。すると何を思ったのか先生の一人が体育館の扉に近づく。そして


「お、俺は逃げるぞ!! こんなところに構ってられるか!」


そう言うと震える手で扉を開けた。そして次の瞬間、その先生の首から上はなかった。

目の前には校門の前で見た二人の男が立っていた。


「さぁて。この中にモルはいるかなっと」


「にぃちゃん。探すよりも呼び掛けた方が速いんじゃない?」


「それもそうだな」


そう言うと二人は体育館の奥の方に歩いてくる。

それを見て誰も何も発しなかった。直感で悟ったのだろう。こいつはヤバイ。と。

二人はステージの上にたつと、こちらを見て話しかけた。


「この中にモルって子はいないかな? いや、居ないならいいんだよ別に」


「そうそう。居なければここのやつら全員殺して他のところにいくだけだからさ」


体育館内の空気が凍った。いるかどうかもわからない人がいない。それだけで殺される。なんと理不尽。なんと不条理。それでも彼らは続ける。


「もしそいつがいるよってなら僕に話しかけてほしいんだ。よろしく」


名乗り出るべきか悩む必要はなかった。名乗りでなければ『死』が待ち受けている。危険すぎる。そしてそれ以上にモルがそんなことを許すわけがなかった。


「私がモルだ」


堂々と怯えることのなくあの二人のもとへ向かう。


「おっ。君がそうなの。会うのは初めてだね。まあ、何だここだと人が多いから外に出ようよ」


そういわれるがままにモルは外に向かった。


「あ、あと君の仲間居たよね。その子もつれてきてくれないかな」


呼ばれた。まさか指名されるとは。まあ呼ばれなくてもいく気だったしまあいいかな。

校庭はとても寒く感じた。実際に寒かった? いやそんなわけはなかった。もう5月、寒いはずがない。

汗が垂れる。じゃあ暑いのか? いやそんなこともない。ただ目の前の何かに恐怖を感じていただけなんだと思う。

校庭には何もなかった。本当に何も。あの出ていった先生すらいなかった。二つの悲鳴は悲鳴のまま、その発した存在がまるでなかったのように消え失せていた。


「さてと、自己紹介をしようかな。僕はイゼン。盗賊団の幹部の一人だよ」


「僕はその弟のミゼン。幹部の中では残念ながら一番弱いんだよ」


幹部。と言うことはあの盗賊団の頭よりは弱いはず。そう思って二人のステータスを見る。


イゼン

国語 612

数学 21

英語 123

社会 9

理科 2


ミゼン

国語 12

数学 11

英語 6

社会 345

理科 31


……。なんだこのきもちわるいステータスは。


「お、お前たちはいったいなんなんだ……。あの頭よりも強いんじゃないのか?」


僕の疑問は相手にとっては全く想像もしていなかったようだった。


「頭? あれきみカカリ様に会ったことあったっけ?」


「え? あのごつい感じの人だろ?」


「あれ? あ、シュウシのことかな。彼は幹部の一人でしか過ぎないよ」


イゼンが話す。え? じゃああの男は幹部だったのか。


「まあ、間違えるのもしょうがないかなぁ。実際ここら辺一帯を仕切ってたのあいつだし」


それならもうひとつ大事な質問がある。


「何でお前たちはこんなにもモルに固執するんだ? ただのしたっぱの一人だろ?」


するとその質問にはミゼンが答えた。


「君は何もわかってないなぁ。モルの能力は見たんでしょ? コピーだよ。コピー」


コピーそれを聞いて固まる。かなり強いと思っているモルの能力だ。


「コピーはね。個人で覚えるスキルのひとつなんだよ。コピー自体はそこまで珍しくもない。でもね、彼女の利用価値はそのコピーがどんなステータスにも使えると言うことなんだよ。大抵は素早さだけ、とか攻撃だけとかなんだけどね。指定してできるのはほとんど見ないんだよ」


そ、そんなに凄いものだったのか。さらっと二回くらい使ったような気がする。


「まあ、あれだ。僕たちはモルさえ連れて帰れば何も問題ないんだけど、君はそうじゃないよね? なら、戦ってみない? 大丈夫、本気は出さないし、もし君がかったら今回はモルを諦めるよ」


「そ、それなら……」


「でも君がもし負けたら、僕たちは問答無用で君を殺すよ」


一瞬。恐怖が体にまとわりついた。プレッシャーが和らいでいたと思っていたのだが。なんとか話し合いでまとまるのではないかと、思っていたのだが。


「試合開始は20分後。それまで僕たちはここにいるから来てね。君はそれまでの間に仲間を集めて、対抗できるだけの強さを取得してね。人数が多い方が有利だよね。じゃあ、スタート!」


さっきまでのフラッグバトルとは違う、完全に命を賭けた恐ろしいデスゲームが始まった。




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