悪魔のお話
死にたい
疲れた
もう 疲れた
こんな世界 飽きた
つまらない たいくつだ
だから 死にたい
こんな世界とは さよならしたい
だけど死ねない
私は死にたい 不死身の悪魔
私が貴方と交わした契約
貴方は永遠の死を!
私は永遠の生を!
望んだ
そして交わした あの契約
儀式 誓い 契約 約束
そんな言葉を並べ 貴方と私の一滴の血を
そして私は 永遠の生を
貴方は 永遠の死を
そこで手に入れた 貴方と私が一番ほっしたもの
そして互いに失った 無くしてはいけない一番大切なものを
それは生きるということ
それは死ぬということ
その日から私は 死ねなくなった
その日から貴方は 生きられなくなった
貴方死んでゆく姿を見ても 私は悲しまない
それが貴方の望みだったから
笑ってやった
笑いながらも私は 自分の首を刺し貫いた
その手に持っている包丁で 私は笑い声を叫び声に変えて
途中から声は出なくなった 意識も無くなった
目が覚めると
朝日が上っている
私は声が出なかった 出せなかった
なぜ?
理由は簡単だった すぐに気づいた
細いのどに突き刺さった包丁
それを引き抜く
叫び声は出ない 出せないだけ
心の中で叫んでいた
痛い 痛い 痛い!
また意識が途切れ
次に目が覚めたのは
さんさんと輝く朝日が上りきった時
そこから 私の死ねない
そして死なない
永遠の生
永遠の時間
永遠の私
そこから始まる私の新しい人生
そこから始まる私の新しい経験
まだ気づかない まだ知らない
まだ分からない まだ理解できない
生きる苦しみを
生きる辛さを
私は知らなかった
永遠の孤独と言うさびしさを