合流
「さて。そろそろ息も整った事だし、仲間と合流したいんだが、準備とか無しにすぐ行ける?」
「あぁ、ウンコだからな。準備するもんがねえ」
「オーケー。じゃあ行こう。」
ウンコとカズヤ、2人は400m先にあるミカーヤの待つ草むらへと歩をすすめた。
歩き始めて10秒、小さな体を必死に転がし、カズヤの歩行速度に合わせていたウンコが、突然立ち止まった。
ウンコが立ち止まった事に気づいたカズヤも合わせるように立ち止まり、ウンコの次を待った。
「――なぁ、急いでるのに走らなくていいのか。手に負えない緊急だから、助け求めにきたんだろ」
「うん。走って体力使い切ったら、抗う間もなく死ぬからな。それに緊急は緊急だが、まだ襲来している訳じゃない。」
「なるほどな」
応えを聞いたウンコは納得して、歩くのを再開した。
「ちなみに、その危機ってのは何だ? 」
「ああそうか、説明がまだだったな。ガンラガンラっていう、バケモンに襲われるかもしれないんだ」
「……? ガンラ……ガンラ?」
「わかんねえか。まぁ、俺もわかんないんだけど。なんか、カラカロロみたいな鳴き声の奴なんだよ」
「あー、デカグマか」
「デカグマ?」
「うん、デカグマ。体長4mぐらいのクマだよ」
ガンラガンラの説明を聞いたカズヤはまず、その異様な巨躯に驚く前に安堵した。
得体の知れない化け物が、己の尺度で測れるような存在に成り下がったからである。
「そうか、デカグマか……。ちなみに勝てる?」
「魔法が当てれたら勝てるけど、タイマンじゃ当たらないと思う」
ウンコの魔法を見て浮かれていたカズヤは、その一言で不安が芽生えた。
まだ人生が無駄に終わる恐怖が、付き纏っていた事に。
「とりあえず、もう1人は動けないんだろ。じゃあ俺達2人でやらなきゃだな。――えーっと」
「あ、自己紹介まだだったな。カズヤだ、よろしく」
カズヤはウンコが自分の呼び方に困っている事に気づいてすぐさま応えた。
「カズヤか、よろしく。俺は……。――ウンコって呼んでくれ」
ウンコの希望にカズヤは困惑した。
「いいのか? それで」
「うん、この姿だしな。アイツらにつけられたとしても、俺の名前だし。大事にしたいからさ」
「――そうか。よろしくな、ウンコ」
(なーんか、似てんだよな。同族の匂いっていうか……。だからか、凄い親近感が湧く)
カズヤはウンコの時折り見せる秘める闇を見て、親しみと警戒を抱いた。
人が良い事は確信したが、時折顔を見せる闇が怖くなっていた。
だがその闇が酷く愛おしく慈愛で包み込みたくなる一面もあった。




