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リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
ギルド資格取得編

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効率的な殺し方

カズヤは走り続けて機会を待った。

ゾンビを最も制圧しやすい状況になるのを。


 この立ち回りは真正面から戦うのに比べて、危険が少なく安定感を持つ。

 しかしスタミナ無制限のゾンビに対し、カズヤの体力は有限。


つまりこの動きは使えて後2回程度。

 カズヤは機会を待つと同時に、新しい作戦を考えていた。



(どーすんのこれ。『百足人間(ラビリンス)』使えば楽に倒せるけど、それだとガリベラと戦えない……。よし。一旦作戦立てる為に、俺の武器の整理だ)


カズヤは走りながら思考を巡らせる。


――まず肉弾戦。これは『血迅』使えなきゃ、ゾンビを倒す事は不可能。無しで考える。


次に武器。剣は相性が悪い。魔剣の能力もわからん。無しで考える。


次にスキル。多少は使ってもいいけど、ガリベラ戦が残っているからあまり使えない。


回数としては『幻体術』が14回かな。2日間の間に訓練したけど、ここらが気絶しないギリギリ。

そこからガリベラ戦を視野に入れた回数引くと、使っていい回数は5回ぐらい。うん、クソ。


『血迅』の方は使える時間は、多分2秒。これはもうダメだ。休憩時間に全然ご飯食べれなかったからね。エネルギー不足。


最後に『百足人間(ラビリンス)』。論外。今の俺だと、1秒使ったらゲロ気絶だ。


つまり。今の俺は『幻体術』5回で、ゾンビを大量に倒せる作戦を立てなきゃいけないのか……。



カズヤは現状を整理した後、走りながら笑った。


「ハァっハァっ……。フッ……。フッフッ。」


 そして振り返り、迫り来るゾンビ3体に向かって剣を投げた。


「――無理だろアホかぁぁぁ!」


 投げられた剣はゾンビ達の横をすり抜け、明後日の方向に飛んでいく。

 武器が無くなったことを認識したのか、無防備なカズヤを見たゾンビ達は速度を上げた。


「クッソ、これで後4回」

『幻体術』


 カズヤは『幻体術』で手を伸ばし、投げた剣を空中でキャッチ。

 そして体を回転させ、遠心力に任せて3体の胴を断裂させた。



「ハァ、ハァ、ハァ。……えっと、2体は上半身、1体は下半身のどこかだな」


 カズヤは起き上がろうとするゾンビ達の手や足を切り落とし、芋虫の様な状態にした。

そして体を刺しまくり魔力核を探す。


(あー、キツい。これ後何回やるんすか。スキルも後4回だし……。――お、一体あった)



カズヤはゾンビを刺しながら、アクタの方を眺めた。


「マジすげえな、アクタ」


 いつのまにか70m程離れていたが、その距離でも分かるほど、アクタの戦いは目を見張る物だった。


バレエの様に嫋やかに、しかし獣の様に荒々しく。

 身を翻し敵の攻撃を避け、隙あらば打撃を叩き込んでいく。


『四肢類々』。カズヤはそのスキルが羨ましく思った。



(あのスキル欲しいなー。でも明らかに人外だから、絶対解析時間かかるよなぁ。それに人外の技だし、使う時のデメリット凄そう……。体変形させる度に、激痛とか……?)



カズヤは職業病に近い思考を巡らせる。

 『四肢類々』があればこんな事ができるのに、こんな作戦が取れるのに。

 あれをすれば、これをすれば、ゾンビ達は簡単に――



「――そうだ! ()()を使えば、ゾンビは全員瞬殺じゃん! 幻体術の回数も4回あれば……多すぎるぐらいだ! ハハッ、流石俺。すぐアクタ呼ばなきゃ」



カズヤは残った2体のゾンビを急いで処理をする。

下半身の方は多少手間取ったが、処理完了。



 カズヤは剣を軽く拭き、アクタの方笑顔で振り向いた。



ヒュッッバッンッ。


(――?)


振り返った瞬間何かが飛んできた。

 その何かは物体としか認識できない速度で飛んできて、カズヤの横に着弾。


けたたましい音と共に砂煙を巻き上げた。


(――アクタが飛ばしたゾンビかな)



カズヤはそう納得して、ゾンビの群れの方を見た。



アクタの姿がどこにもない。


 それどころか、ゾンビ達はカズヤの方へ走ってきている。

その状況から導き出されるのは――



「アクタ! 大丈夫かお前」


吹き飛んできたのはアクタだ。


「痛い……」


アクタは強打した腰を摩りながら起き上がる。


「何があった」


カズヤは困惑した。

 ゾンビは単調な動きしかできず、身体能力もあまり高くない。

 もしまぐれでアクタに攻撃が当たったとしても、ここまで吹き飛ばされるゾンビは存在しない。


 なぜなら、それが可能であろうアンダゴルガの姿はゾンビの中には見えなかったからだ。

じゃあ一体なぜ――



「カズヤん、ヤバいかも。さっき2体ゾンビ倒した瞬間、残ったゾンビ急に強くなった。あいつら魔法とか武器使ってる」


「は? なんで急に……。――もしかして」


カズヤは自分のスキルの事を思い出した。


 『百足人間(ラビリンス)』を使っている時、『幻体術』だけを1〜3本扱う時と比べて、『幻体術』の精度が悪い。

 一つ一つに集中できない為、大雑把な動きになるからだ。


 もしそれが、このゾンビ軍団を操る絶技に適応されていたら……?


アクタが倒したのでゾンビの数は半分を切った。

合点が……いく。



「アクタ、多分絶技の精度が上がってる。こっからは、倒す度に敵強くなっていくぞ」


 カズヤは迫り来るゾンビを眺めながら剣を持ち直した。

 ゾンビ達は次第に速度を上げ、精度が高くなっていってるのを2人に感じ取らせた。



「んー。じゃあまずいね。あれ見て」


アクタが指を刺したゾンビを見る。


「……マジかあ」


――あれは、あの姿は……。

 元ランキング8位のサンザン、そして試験官バネロッサの姿であった。



「じゃあ、あの2人から倒さなきゃじゃん」


「だねえ。これ以上強くなられちゃ困るし、残りの17体無視だね。」



カズヤは剣でサンザンを指差す。


「俺がサンザンをやる。アクタはあの試験官頼む。」


「おっけー。ちなみに作戦とかある?」


アクタの言葉にカズヤは先程思いついた作戦が過ぎる。


「あるにはあるけど。あいつら倒してからじゃないと無理かも。とりあえず、邪魔にならない様に別々で」


「りょーかい! じゃあ私左の方いくね」


アクタは左の平原を指差しながらカズヤの方を向く。


「じゃあ俺は右だな。」


カズヤはそれに頷き反対の平原の方を指さした。

息を整え、混戦の準備をする。


ゾンビは段々と加速していく。

敵が届くまで後6秒。


「――ふう、おーけー。いくか! サンザンのやろう、名前通り散々な結果にしてやるぜ!」


 カズヤは叫びゾンビに近づきながら、右へと走った。


「ごめん、それどういう意味! 何も掛かってなくない?!」


 それに合わせてアクタもゾンビに近づきながら、左へと誘導していった。



(うそーん。もしかして言語とか翻訳されてるだけで、日本語わからない感じ!? ハズ!)

「今のなし! とりあえず、生きて合流しよう!」



カズヤは叫び40mほどゾンビ達を誘導していった。


 カズヤはある程度引き離すと振り返り、ついてきたゾンビを確認。

ついてきたのはサンザンを含め8体。

 7体のゾンビを潜り抜け、サンザンを倒さねばならない。

さもなくば精度が上がっていき、元8位が蘇る。


だが苦難の道にも関わらずカズヤは笑った。

 カズヤの脳を支配しているのは殺し合いのことばかり。

 この障害をただの職質程度にしか思っていなかった。


「よし、かかってこい! デートの予定を入れてんだ! 巻いてこうぜ!」

ゾンビを倒すだけなら、バラバラにした方がいいんですよね。

その方が絞れて効率いいので。


でもカズヤは一応僅かながら良心があるので、その手段は取りませんでした。


もし相手が生きた相手なら、喜んでバラバラにするかもです。

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