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リゲイン・ロスト・タレント ―才能を奪われた天才たちの異世界再生バトル譚―  作者: 綜目月 梶才
ギルド資格取得編

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目指すは戦士の極地 1

ザフネが飛びかかり槍を突き刺す。

 その槍は先程と同じように、殺気や気迫が肌で感じられる程込められており、目を瞑ってもどこに来るか丸わかりだった。


(ハァ、結局変わってねえじゃねえか。1位はもう終わりだな、後は2位と3位を殺すか)


 ガリベラは失望した顔で剣を胸元まで持ち上げ、迫り来る槍を弾こうとした。


(――あれ、違えなこれ。なんか、増えてる)


だが直前で気がついた。


その槍は今までの槍とは何かが違う。

 筋肉の動き、目線、動き出しの滑らかさ、全てが刹那の槍と同じだった。


だが気迫だけが何故か違った。

 何か……新しい玩具を買ってもらった子供のように、”やりたい”や”みてほしい”の意欲が先行しているかのような。


 それをひた隠ししようとしていても、感じ取れる程揺れていた。

そう――魔力が。


(やべえなこりゃ)


ガリベラは攻撃を受けるのをやめ、回避を選ぶ。

上体を左に逸らし、最小の動きで槍を躱す。



――だが。その瞬間、槍が速度と軌道を変えガリベラの顔目掛けて飛んでゆく。


(――ッ!)



槍はガリベラの頬を引き裂き、髪を穿つ。


「……合格だ!!」


 ガリベラは極限で進化をしたザフネに喜び、左側に回り込んで剣を横一閃薙ぎ払った。


 ザフネの体勢は酷く前のめり、先程言った意欲の先行のせいだろうか……。


滑り出しは良かったものの、お後がお粗末。

その無様に隙を晒している胴体に剣を滑り込ませる。


「――甘い!」


ザフネが叫び飛び上がった。

前のめりになった体勢のまま空中でだ。


 マリオネットのように体が引き上げられ、足が前方に吹き飛ぶ。


「あッ?」


 ガリベラの目には動いたのではなく、文字通り吹き飛んだように見えた。

それ程までに急激な動きだったのだ。


 下半身を移動させた事により、ガリベラの攻撃は回避。


 そして背面跳びのような姿勢のまま背中側で槍を持ち、ガリベラに再度叩き込んだ。


「いいね! 最高だお前!」


 ガリベラは軌道や速度が不規則に変化する槍を受けるのを諦め、回避に専念。


地面に着地する僅かな間に放たれた7発の刺突。

その全てを後退しつつも回避しきってみせた。


「これで終わりか!」


「そんなわけがなかろう!」


地面に降り立ったザフネが再度突撃。

開いた距離は4m。


槍であれば一突きで届く距離。

 だがザフネは槍を短く持ち、ガリベラ目掛けて投げつけた。


 至近距離での投擲。それにプラスして、槍は速度や軌道が変化する。

 突然の奇策。武器を捨てるなど愚策にも程がある技を前に一瞬止まる思考と、その性能。

避ける事は至難――



「は? アホかよ」


 だがガリベラはその不規則に変化する槍をいとも簡単に避けてしまった。


「リズムが……崩れたな」


 ガリベラが笑みを浮かべ武器を左手に持ち替えて、間合いを一瞬で詰める。


 ザフネはガリベラの攻撃が見えても、腹の傷により反応する事は不可能。

唯一防ぐ方法があっても、それは槍ありき。


生身で防ぐ手も避ける手も存在しなかった。



「じゃ、終わりだな」


ガリベラの攻撃がザフネの首へと滑り込む。

 確かに見えるその致命の攻撃を目に、ザフネは――笑った。



「いつ私のリズムが崩れたといった」


――刹那。ザフネの右腕が剣の側面を弾き、攻撃を防ぐ。


虚を突かれガリベラの思考が一瞬だけ止まる。

その数瞬の隙間を、ザフネは逃さなかった。



吹き飛んだ左腕にさらに拳を叩き込む。

それによりさらに体勢が崩れる。


その崩れて無防備になった胴体に、拳を3発。

ガリベラの顔が歪み、身体が揺れ動く。


――効いている。


 ガリベラが攻撃を防ごうとするが、ザフネは踏み込みさらに1発、2発、3発……


4

5

6

7

8

9

10

11発!


「ガッ……!」

(こいつ、徒手も……!)


 的確に撃ち込んだ拳によりガリベラの身体が広がられ、胴体を無防備に開く。


――好機!!


ザフネがその場で回転。

 遠心力により力を増した後ろ蹴りが、ガリベラの腹部へと叩き込まれた。


「ヴッ、ア゛!」


ガリベラが後方に吹き飛んでいく。


「トドメだ!」


ザフネが左拳を差し向け、人差し指だけを出す。

そして、人差し指で手招きをした。



瞬間。後方に投げ飛ばされていた槍が軌道を変え、ガリベラへと突撃していく。


「――なんっだぁッ!」


ガリベラが体勢を立て直し、槍を弾く。


だが、その槍は軌道を再び変え突撃していく。

今度は速度と軌道を不規則に変え。



「ッッ!」


ガリベラは弾くのをやめ避ける。

だがその槍は再び軌道を変え――


「クッソ!」


 避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても避けても。


槍は追尾し続けた。


「――我が絶技、喰らうがいい!『旋回陣風(ラゴミネル・ショット)』!!」



 ザフネの操作により槍は飛び回り、ガリベラの命を狙い続けた。


 その不規則な動きに惑わされ、ガリベラはどんどん不利な体勢へとなっていく。



いや、不利な体勢へと誘導されたのだ。


「そこだッッ!!」


ザフネの槍が胸へと飛びつく。



だが――直前で()()()てしまった。


ガリベラは槍を持ったまま、笑顔でザフネを見た。


「最高だなお前。ほんとに完璧だわ」


ガリベラはザフネに槍を投げつける。


 槍はザフネの顔に突き刺さる直前で空中で止まり、ザフネの手元に収まった。


その光景を見てガリベラは指差し笑った。


「付属魔法だろ、それ。さっきの技も、不規則に変化する軌道や速度も、付属先に引っ張って操作してたんだろ」


「あぁ。そうだ」


「肉弾戦の時もそうだな。体を引っ張って、無理やり動かしてたんだな。始点の設置は――あの走り回ってた時に、すませた……ってとこか。この短時間で、よく思いついた!」


ザフネは髪を靡かせ、不敵に笑った。


「意識の変化など、短時間で行えるわけないからな。闘気と実際をズラす事にしたのだ。発想は、それだ」



ザフネはウンコ達が逃げていった方向を指差す。


「魔力の残穢が見えぬ貴様ではわからんと思うが、その道には一直線に並べられた魔力の残穢が存在する。恐らくこの地に戻る時、クソ風情が付属魔法で加速する……など考えて設置したのだろう。私はその知恵を借りたのだ」



 ザフネの説明を聞き終わったガラバラは、顔をくしゃくしゃにして身を震わす。


「最ッ高だ、最ッ高だ!お前は最高だ! お前ならいけるだろ! こっからは――本気だ!」


ガリベラの言葉と共に、大気が大きく揺れた。

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